脳神経外科医の絶対数の不足と技量不足!!!

10月4日、東京都の36歳の妊娠9ヶ月の女性が江東区亀戸6丁目の五の橋・産婦人科病院を訪問。五の橋・産婦人科病院の担当医師は、患者が吐き気、下痢、激しい頭痛を訴えたので、異変を察知し、脳神経外科があり、分娩も可能な病院を探して電話した。最初、墨田区の墨東病院に電話し、断られた。やむを得ず、次々と7つの病院に電話し、救急搬送を申し込んだが、全部、断られたと言う。結局は墨東病院で帝王切開で分娩後、脳神経外科の当直医によって脳出血に対する手術が行われたが、3日後の10月7日に、出産したわが子の顔も見ることなしに死亡した。

この妊婦が五の橋病院から墨東病院へ移されたのは、五の橋病院へ到着後、1時間20分経ってからであった。この1時間20分がこの妊婦の命取りになった。この女性の死亡が厚生省へ報告されたのは2週間経った10月21日以降であった。この件については(参考2)を参照されたい。(参考1)によれば、厚生省は10月24日以降、女性の受け入れを断った7病院のの聞き取り調査を行った模様である。その結果はどうであったかは知らない。

ただ、10月22日頃のTV放送の報道で、墨東病院で受け付けた医師と五の橋病院の電話をした担当医(女医)との間の会話の応答内容を放送する番組があった。墨東病院側は、脳外の係るべき病状とは思わなかったと主張し、五の橋病院の担当医(産婦人科医)は確かに吐き気、下痢を伴い、激しい頭痛を訴えており、脳外科の範疇の病気であることを訴えたと主張している。

筆者はこれを聞いていて、これは明らかに墨東医院側の医師が逃げ口上を言っていると見て取れた。医師というものは、仮に軽い病状であっても、最悪の状態を考えて行動すべきである。患者が激しい頭痛を訴えているということを聞けば、脳神経外科の関与すべき領域の病状であると考えるのが良心的である。当日の墨東病院の脳外の医師自身に、難しい患者を避けたいという底意があったとしか思えなかった。

五の橋病院の担当産科医の主張が正しく、墨東病院の担当医の言い分は逃げ口上である。ただ墨東病院の担当者がそう言わざるを得なかった重大な理由があると思う。それは
(1)脳神経外科医の技量不足と人員の不足のため、高度な手術ができない、
(2)脳神経外科には、難しい手術、かつ緊急手術は避けたい、特に周産期の女性の手術は避けたい意識が強い
ことによるものではないかと疑う。これらが克服されない限り、同じことが繰り返される。

要は脳神経外科医の不足と技量不足である。

********************(終わり)*********************

(参考1)妊婦死亡で厚労省が拒否病院聴取 24日から (2008.10.23 22:40)
このニュースのトピックス:救急搬送受け入れ問題
 厚生労働省は23日、国として事実関係を検証するため、診療を断った7病院に対し、聞き取り調査をする方針を決めた。都と共同で、24日から順次行うという。舛添要一厚生労働相も同日午前、都立墨東病院を視察する。 
 調査対象は墨東病院のほか、慶応大病院(新宿区)▽日赤医療センター(渋谷区)▽順天堂医院(文京区)▽東京慈恵会医大病院(港区)▽東京慈恵会医大青戸病院(葛飾区)▽日大板橋病院(板橋区)。新たに拒否が判明した東大病院(文京区)や、妊婦のかかりつけだった「五の橋産婦人科」(江東区)も調査する予定。緊急時の受け入れの照会回数などを調べ、妊婦を含む救急患者の受け入れ態勢の実態を検証することにしている。
 厚労省は診療拒否した病院が、産科医療の基幹的施設などである事態を重くみて、調査に乗り出すことを決めた。

(参考2)【妊婦死亡】舛添厚労相vs石原都知事 批判の応酬(2008.10.24 23:12)
 妊婦死亡問題の責任の所在をめぐり24日、舛添要一厚労相が東京都を、石原慎太郎知事が国をそれぞれ批判した。
 舛添厚労相は閣議後会見で、都立墨東病院への調査にあたり、当初、都が「準備ができない」と受け入れを拒否しようとしたことを明らかにし、「都の姿勢に怒りを覚える」。また、「死亡から2週間以上も厚労省に報告があがってこないのはどういうことか。情報をあげてくれれば国も手を打てる。都にも責任がある。都には任せられない」と痛烈に批判した。
 これを受け、定例会見で石原知事は「反省してもらいたいのは厚労省。大臣様だ」と反論。「医者の数を増やすのは国の責任。国に任せてられないんだ。舛添くん、しっかりしてもらいたいよ」と苦言を呈した。

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