日立製作所・原子力温存に涙ぐましい努力

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野田民主党政権は、一時、国内電力需給を、原子力に依存しないことを、避ける政策を採ろうとしていたかのように見えた。しかしそれが、いつの間にか、30年以内に原子力発電をゼロにして、再生エネルギー発電に大部分を依存しようとする政策に転換したかのように見える。連日にわたる首相官邸前の原発反対の市民運動と、新聞による世論調査の結果、国民の60%が、『30年以内に原子力発電ゼロ』政策に賛成しているとの報道に恐れをなしたのであろうか。事実、野田首相は、国際会議の場で、原発ゼロ政策を鮮明にした。

このような国内情勢のために、今や日本の原発メーカーは、国内での原発保守や受注で定期的に入る収入の道を閉ざされてしまった。 国内企業の場合、例えば電機企業では、製品の種類ごとに大きく部門が区分されており、それぞれの部門ごとに独立採算制に類する事業形態が採られている。他の部門と同様に、原子力部門は、その部門のみで、受注、設計、製造、検査、及び発送の一連の部門が、協力して作業を行う。国内で定期的に入る収入の道が閉ざされてしまった以上、この原子力部門を閉鎖してしまうことは、これまで支払った投資と、営々として培った技術を捨ててしまうことになると同時に、開発に携わった技術者の持つノウハウを溝に捨てることになってしまう。

これは、企業にとって膨大な損失であると同時に、日本の損失でもある。さらに問題は、原子力事業の運営の空白を作ることは、日進月歩の技術に遅れをとることになり、後で取り戻そうとしても、重大な困難を伴うことである。これは航空機産業、特に戦闘機の設計製造などがそうであるのと、全く同じである。

原子力発電装置の製造の場合、事業を継続すること自体が重要なのである。日立製作所は、このための手法として、600億円をかけて、英l国の子力発電会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収し、国内で中止状態になっている原発事業を海外で拡大することを狙っている。 10月27日の朝日新聞デジタルの記事『(参考1)』はこの辺の事情を詳しく報道している 。

『(参考1)』の言葉を借りれば、
海外では韓国やロシアなどが国を挙げて原発輸出を推し進める。日本の原発メーカーは事故の重荷を背負いつつ、国内以上に激烈な競争へと突き進もうとしている。
日立製作所の健闘を祈るや切である。

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(参考1)日立、英の原発会社買収へ 500億円超、輸出拡大図る (朝日新聞デジタル 2012年10月27日03時00分)(http://digital.asahi.com/articles/TKY201210260637.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201210260637)日本メーカーの主な海外案件
 【藤田知也】日立製作所は、英国の原子力発電会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収する方針を固めた。ホライズン株式を持つドイツ電力大手との交渉がほぼまとまり、買収額は500億円超になる見通し。ホライズンは英国の2カ所で最大6基の原発を建てる計画を進めており、日立は国内でストップしている原発事業の海外での拡大を図る。
 日立は30日に開く取締役会で買収を決め発表する。2006年に東芝が米大手原発メーカー・ウェスチングハウス(WH)を約6200億円かけて子会社化した例はあるが、日本企業が海外の原子力発電会社そのものを買収するのは異例だ。
 買収にはWHや仏アレバ、中国国営企業も名乗りを上げていた。関係者によると買収額など日立の条件が他社を上回り、26日までに株主2社との交渉がほぼ合意に達したという。
 ホライズンはドイツの電力大手エーオンとRWEの2社が、英国で原発事業を展開するため09年に設立。まだ発電の実績はない。ドイツ政府による脱原発の表明などを受け、株主2社が今年3月、ホライズン株売却の方針を発表していた。
 一方、英政府は11年6月、国内8カ所の原発建設候補地を発表。ホライズンは、うち2カ所の土地を所有し、25年までに最大660万キロワット分にあたる4~6基を建てる計画だ。英国では発電と送配電を別の企業が担当しており、発電会社は自ら費用を集めて原発をつくり、送配電会社に電力を売って費用を回収する。このため日立は建設費用として必要な最大数兆円の資金について、一部は日本の政府系金融機関からの調達を検討する。
 日立の原発事業は、国内で進めていた3基の原発建設工事がすべて停止して収益が悪化している。ホライズン向けに自社製の原子炉を輸出し、発電事業を含めたノウハウを高め、新興国を中心に拡大する原発建設の受注に結びつける考えだ。

■国内にめど立たず、海外に軸足

 日立製作所がイギリスの原子力発電会社の買収をめざし、原発事業の軸足を海外に移す姿勢を鮮明にした。東京電力福島第一原発事故をきっかけに、国内でほとんどの原発が停止して保守・点検の収入が途絶え、新規建設のめども立たない。生き残りのために海外に活路を求めるが、事故を起こした「日本の原発」への目は厳しくなっている。
 日立は、2012年3月期の原発事業が赤字に転落。赤字は少なくとも数十年ぶりで、「参入直後を除けばおそらく初めて」(広報)という。「国内の新設案件を多く抱えていたため、事故後の工事中断がそのまま売り上げに響いている」と羽生正治常務は言う。
 国内で建設が進んでいたJパワー(電源開発)大間(青森県大間町)、中国電力島根3号機(島根県)、東京電力東通1号機(青森県)の3原発は、いずれも日立が手がけていた。原発の建設費用は1基あたり4千億~5千億円とされるが、進捗(しんちょく)に応じて代金が支払われるため、工事が中断している間は売り上げが滞る。
 大間原発に納める予定の原子炉圧力容器は広島県呉市の工場で完成しており、出荷を待つばかりだった。高さ20メートルもある巨大な鋼鉄の塊には、品質が落ちないよう今も維持管理にかなりの手間をかけている。ただ実際に出荷され、売り上げに貢献する日が来るかは見通せない状況だ。
 事故を起こした東京電力福島第一原発の廃炉に向けた取り組みや、他の原発の耐震工事など、これまでなかった受注もあるが、「大幅な売り上げ減を補うには全く足りない」(幹部)。
 日立は、原発の受注が内定していたリトアニアが行った国民投票で反対が6割を占め、先行きが不透明になったばかり。ホライズン買収で新たに発電事業も手がけ、原発建設から発電までのノウハウを一貫して身につけ、世界各国での原発受注競争を有利に運ぶ狙いもあるとみられる。
■東芝は米子会社頼み
 国内の原発建設が止まって苦境に陥っているのは、他の国内原発メーカーも同じだ。三菱重工業は原発部門の12年3月期売上高が前年の3100億円から600億円減少。13年3月期はさらに400億円減を予想する。
 原発向けの大型機器を作る神戸工場は今、来年以降の生産計画が全くの白紙という。同社の原子力部門の約半数にあたる2千人あまりが従事する主力工場だが、新たな受注のめどが立たないため、人員を一時航空部門などへ振り分けることを検討している。
 同社は国内の原発の半数近い24基の保守を請け負うが、原発が止まっているため点検や修理の発注が激減。新設工事と並ぶ収入の柱だっただけに、経営への打撃は大きい。
 一方、東芝は06年に買収した米ウェスチングハウス(WH)が原発事業の売上高の過半を稼ぐ。国内の目減りをWHが埋め合わせて「震災後も売上高はほぼ横ばい」(広報)という。
 ただ、東芝自身の海外事業では、福島第一の影響が影を落とす。トルコで原発の受注をほぼ確実にしていたが、事故後にトルコ側の意向でいったん白紙に戻され、現在は韓国企業と受注を争っている状況だ。
 トルコ側は今年8月、東芝の原発が福島第一原発と同じ「BWR(沸騰水型炉)」と呼ばれるタイプなのを問題視し、採用に否定的な考えを示した。事故の記憶が色濃いBWR(沸騰水型炉)への拒否反応は他国にも広がっており、東芝はWHが作る「PWR(加圧水型炉)」タイプでの受注を目指すという。
 海外では韓国やロシアなどが国を挙げて原発輸出を推し進める。日本の原発メーカーは事故の重荷を背負いつつ、国内以上に激烈な競争へと突き進もうとしている。

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