APECで原子力政策について二枚舌を使う野田首相?

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会談を前に握手する野田佳彦首相(左)とクリントン米国務長官

野田首相は昨年の8月に首相に新任した直後、「文芸春秋」に寄稿して、エネルギー政策について述べている。
その要点は、
菅前首相が原発を廃止して自然エネルギーに切り替えることに、余りにも性急であったことを反省してか、電力を安定的に供給する体制をつくる責任があるが、現実には、安全性を徹底的して検証した原発は、当面は再稼働する必要がある。そのため再稼働への安全性の再確認と立地自治体の協力が必要である。
原子力技術は蓄積するが、現在9%である自然エネルギーへの依存度を、2020年代には、20%まで上昇させる
となっている。

ところが、(参考2)の報道によれば、野田首相は、現在、ロシアのウラジオストックで開かれているAPECの会合の空き時間を借りて、8日に、米国のクリントン国務長官と会談した席上で、
「原発ゼロ」を含む新エネルギー戦略を近くまとめる
ことを言明した。これにはクリントン国務長官も驚き、
「原子力政策は日米関係にも重要だ」として、日米間で緊密な意見交換が必要
との申し入れがあったそうである。米国が驚いたのは、
米国は日本との間に、原子力の平和的利用のための日米原子力協定を結んでおり、なおかつ、米政府は一貫して原発推進の政策は続けており、日本の原子力政策の転換によって、米国の原子力政策や日米の技術協力、米の原子力産業にも影響しかねない
からであると、朝日新聞は指摘している。

野田首相の発言は、1年間のうちに、原発20%から0%に変わった。それにしても激しい変わり方である。この時期、このような言明をするのは、最近、民間で騒がれ、某大新聞がこれに悪乗りしている「原発ゼロ」の宣伝に便乗し、近く行われる衆院解散総選挙への人気取りと、点数稼ぎが、もう始まっているのではないかと勘ぐるのは、間違いであろうか。

それにしても、原発と手を切ると言えば、有識者の間で強く望まれている、防衛への核エネルギーの利用への道も閉ざされることになる。この問題は、安全保障上の問題からも、無視できない問題である。

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(参考1)野田新政権の原子力政策を特に注視する青森(2011年8月31日22時16分 読売新聞)(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110831-OYT1T00418.htm)
 山積する課題の中で、とりわけ青森県関係者が注視するのが原子力政策と東日本大震災からの復旧復興策だ。菅首相の発言に振り回されただけに期待が集まる一方、不安の声も上がる。
 「原発についてどういう考えを持っているか分からないが、トップとしてきちんとした方向を示し、自信を持って政策を展開してほしい」
 大間原発を抱える大間町の金沢満春町長は同日、役場内で記者団の取材に答え、原発推進への期待感をにじませた。東京電力福島第一原発事故の影響で大間原発は建設工事が約4割進んだところで中断。地元経済界を中心に再開を求める声が大きくなっているからだ。
 野田氏は今月発売の月刊誌「文芸春秋」に寄稿した事実上の政権構想で、原子力政策について、「原発の依存度を減らす方向を目指しながらも、少なくとも2030年までは、一定割合は既存の発電所を活用することが現実的」と明記し、菅氏の「脱原発」路線からの転換を打ち出した。それだけに立地自治体の期待も膨らむ。
 また、定期点検中の原発の再稼働について野田氏は、「政府には電力を安定的に供給する体制を作る責任がある。安全性を徹底的に検証した原発は再稼働に向けて努力することが最善の策」と前向きな姿勢を示す。県内事業者の1人は「脱原発を掲げた菅氏との違いは明らか。とにかくぶれずにやってもらいたい」と語る。
 ただ、野田氏は核燃料サイクル政策のあり方や個別の原発については言及していない。サイクル政策の基幹施設である使用済み核燃料再処理工場(六ヶ所村)の事業者・日本原燃は29日夕、「エネルギー政策は国家の行方を左右する重要な課題であり、エネルギー資源をほとんど持たない我が国の現状を踏まえて十分に議論を尽くしていただきたい」とするコメントを発表した。同社が首相就任に合わてコメントを発表するのはまれ。サイクル政策が今後、議論の俎上そじょうになることを見越して、けん制した格好だ。
 一方、反対派からは不安の声が漏れる。浅石紘爾・核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表は「野田氏の原子力政策はあまり聞いていない。不安と期待が半々」と率直に語る。その上で、「菅政権時代に脱原発の方向性が定まった。その方向性をふまえた上で国の原子力政策の舵取りをしてもらいたい」と注文を付けた。
          ◆
 【野田新首相の「文芸春秋」寄稿文のエネルギー政策要旨】
 電力は日本社会の「血液」そのもの。政府には電力を安定的に供給する体制をつくる責任がある。厳しい現実を直視すれば、安全性を徹底的に検証した原発は、当面は再稼働に向けて努力することが最善の策ではないか。立地自治体の方々との信頼感なくして再稼働はあり得ない。首相が自ら足を運び、意見をうかがい、自らの言葉で語る、真摯な姿勢が電力危機を回避する第一歩だ。中長期のエネルギー戦略の建て直しも重要。原発の新増設が難しいのは明らか。原発の依存度を減らす方向を目指しながら、少なくとも2030年までは、一定割合は既存の発電所を活用する、原子力技術を蓄積することが現実的な選択であろう。自然エネルギーの拡大は新時代の国家戦略。現在、自然エネルギーの比率は9%に過ぎないが、20年代に20%まで上昇させるのが当面の目標だ。(2011年8月31日22時16分 読売新聞)

(参考2)「オスプレイ、国内で懸念」首相、米国務長官に伝達 (2012年9月9日0時35分) 朝日http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201209080424.html
会談を前に握手する野田佳彦首相(左)とクリントン米国務長官=8日午後7時31分、ロシア・ウラジオストク、仙波理撮影
 野田佳彦首相は8日、ロシア・ウラジオストクで米国のクリントン国務長官と会談した。沖縄に配備予定の米新型輸送機オスプレイが米国で市街地に緊急着陸したことについて「日本国内で安全性への大きな懸念が寄せられている」と伝えた。一方、クリントン長官は野田政権の脱原発政策について「米国も関心を持っている」と表明した。
 オスプレイは今年2度墜落事故を起こしており、首相は「地元への説明に努めることが重要だ」として、日本での運用前に日本政府として安全確認する必要性を強調。これに対し、長官は安全性に自信があるとして、情報提供など日本に協力していく考えを示した。
 首相は会談後、緊急着陸について「詳細な報告が入っていない」としたうえで、「安全性の確認ができない限り日本での飛行運用はしない方針に変わりはない」と記者団に語った。
 一方、日本のエネルギー政策見直し論議について、クリントン氏が関心を表明したのに対し、首相は「原発ゼロ」を含む新エネルギー戦略を近くまとめることを説明。両氏は「原子力政策は日米関係にも重要だ」として、日米間で緊密な意見交換が必要との認識で一致した。首相は会談後、原発政策について「米国からも関心が提起された。緊密に意思疎通しなければならない」と記者団に述べた。
 日米両政府は、原子力の平和的利用のための協力を定めた日米原子力協定を結んでいる。米政府は原発推進の政策は変えておらず、日本がこれまでの原子力政策を転換すれば、米国の原子力政策や日米の技術協力、米の原子力産業にも影響しかねないことから、米側が「関心」を示したとみられる。
 また、竹島の領有権問題では首相が「冷静な対応を韓国に呼びかけている」と述べ、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に向けた経緯を説明。両氏は尖閣諸島問題でも意見交換し、東アジアの安全保障の観点から中国や北朝鮮への対応を念頭に、日米韓の連携が重要だとの認識で一致した。
 首相は、東日本大震災のがれきが北米に漂着している問題で、米国に見舞金計500万ドル(約3億9千万円)を供与すると伝え、長官は「歓迎する」と語った。
 オバマ米大統領は、民主党大会など大統領選に関係する日程の都合から、アジア太平洋経済協力会議(APEC)を欠席した。(ウラジオストク=大島隆、土佐茂生)




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