我が国の原発政策はこれで良いのか?

原子力発電に反対する声は、原子力発電の発足の頃からあった。そのもっとも激しいものはマスコミンによる反対であった。昨年3月11日の東日本大震災によって、福島第一原発は、原子炉の燃料棒の冷却機能を喪失し、運転停止だけでなく、水素爆発や放射能漏れによる大きな被害を蒙った。現在、この原子力発電所は、廃棄の憂き目に遭遇している。

爾来、日本政府は、現存の原子力発電所に、予想外の外圧(地震の震度や津波の高さ)が加わった場合にも対処できるように、ストレステストを課して来た。現状では、これらのテストのために、日本の原発で運転中の商用原発は、4月20日現在、17原発54基中1原発稼働1基のみだそうである。

これまで日本の電力の30%以上を原子力に頼っていたので、現状では、その大部分が火力発電に置き換えられている。火力発電は、現状では日本の電力の70%を賄っていることになる。ただ火力発電所に頼る場合、燃料の獲得とそれに要する購入費、火力発電所自体の耐用年数の問題、それに何よりも問題なのは、2酸化炭素の放出量の増大という問題がある。

菅前首相は、原子力発電を自然エネルギーに置き換えようとした。彼は原子力発電の中止を謳った最初の首相となった。世界中で、安全であり、最も確実に信頼できるのは、自然エネルギーの中でも、太陽エネルギーによる発電であるが、そのエネルギー効率と、膨大な地積、エネルギー買い上げと電気料金の問題等、克服すべき問題が山積している。

野田政権は、原子力発電からの撤退を否定してはいないが、さりとて原子力発電を肯定しているわけでもない。枝野経産相は、現在の原子力発電機54基を、今後、40年間、1基も更新しなければ、40年で、日本の原子力発電は自然消滅すると言っている。原子力発電機の寿命を40年と想定しての話である。彼は、この発言で、暗に40年すれば、原子力発電は自然消滅するという『原発非推進』発言をしたことになる。

ところで、ここへ来て、福井県の大飯原発が国家の課したストレステストを含む再テストを終了した。枝野通産相、仙谷由人副官房長官や、通産省副大臣らが、大飯原発再稼働を、福井県の県庁等の幹部に、要求し、説得したが、地元の福井県や滋賀県、京都府、大阪府までが、その首長が再開に反対している。どうやら、想定される災害の程度が低過ぎると云うことのようである。さらには、このまま、なし崩しに、原発再開が、永久に続くことを恐れた発言のようである。

このような大飯原発再開への反発に対し、前原・民主党政調会長は、政策担当者会議で、22日、(大飯原発)再稼働で、原発依存が低減しないとの懸念があるが、40年で廃炉というルールがあり。原発推進に変わるわけではないと理解を求めたそうである。さらに、彼は、再稼働のために、現在の原子力安全委員会、原子力安全・保安院が再度安全確認をした上で、再稼働に繋ぐべきだとの考えを22日朝のNHKで述べたそうである。

前原政調会長は、枝野通産相の言を借りて、「原発推進の変更」を担保しながらも、原発運転再開の最初となる大飯原発の運転再開を強く望んでいる。

筆者は、『「原発推進の変更」の担保』には賛成しないが、原発運転の再開には賛成である。さらに筆者は、今後も積極的に安全性の確保された原子力発電の推進を望むものである。

我が国は、これ迄、マスコミの反対と宣伝を押し切り、様々な困難に遭いながらも、原子力発電を推進し、原発製造の高度な技術を確立してきた。さらに今回の福島原発での事故に遭遇しながらも、その事故対策に奔走し、それを克服してきた。これこそ極めて貴重な経験である。これを今後、原発の安全性への担保に役立てないという事ほど愚かなことはない。これらの経験と知識は、日本の貴重な国家的財産である。これを世界のために役立てないという消極的考えは、止めるべきである。

20日の産経新聞は、『(参考1a),(参考1b)』に示すように、英原子力公社名誉会長のバーバラ・ジャッジ氏が最近来日して、原油などの資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」との考えを披歴している。参考にすべき言葉であると確信する。

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(参考1a)英原子力公社名誉会長「資源乏しい日本に原発は必要」 2012.4.20 22:12 (1/2ページ)産経http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120420/biz12042022130037-n1.htm
英国原子力公社のバーバラ・ジャッジ名誉会長=20日午後、東京都千代田区(瀧誠四郎撮影)
 国際会議出席のため来日している英国原子力公社(UKAEA)の">英原子力公社名誉会長名誉会長が20日、産経新聞のインタビューに応じ、原油などの資源が極めて乏しい日本のエネルギー事情を踏まえ、「エネルギー安全保障上、原子力発電は必要だ」との考えを示した。
 ジャッジ氏は、東京電力福島第1原発事故後に「脱原発」に大きくかじを切ったドイツの例を挙げ、「ロシアからの燃料輸入やフランスからの電力購入で他国への(エネルギー)依存度が強まっている」と指摘。「日本は他国に命運を委ねるような道を歩むべきではない」と提言した。
 さらに「エネルギー安全保障と電力の安定供給、地球温暖化ガス削減などの課題を解決できる電源は原発しかない」と指摘。日本の原子力発電所の建設技術については、東日本大震災によっても「建屋そのものは残り、プラントの頑健性が証明された」と評価した。
     ◇
 ジャッジ氏との主なやりとりは次の通り。
 --福島第1原発事故をどう感じるか
 「悲しい出来事で被災者に大変同情している。ただ、あれだけの地震・津波でも建屋そのものは残った。英国では事故後、原発反対派でさえ、日本の技術力やプラントの頑健性を高く評価するようになった。ベトナムなど新興国も引き続き日本の原発を欲しがっている。これが国際的、客観的な評価だろう」

(参考1b)英原子力公社名誉会長「資源乏しい日本に原発は必要」 2012.4.20 22:12 (2/2ページ)http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120420/biz12042022130037-n2.htm
英国原子力公社のバーバラ・ジャッジ名誉会長=20日午後、東京都千代田区(瀧誠四郎撮影)
 --日本に原発は必要か
 「日本も英国も資源の乏しい島国。輸入品のLNGや原油だけに頼っていたら、自国の命運を他国に委ねることになる。エネルギー安全保障上、原発は必要だ。また、発電の効率性や温暖化ガス削減を現実的に考えたら、原発しかない」
 --原発事故後、欧州では脱原発の機運が高まった

 「独は脱原発のせいで、発電コストの高い化石燃料の消費量が増え、電力会社の資金繰りが悪化。ロシアからのLNG輸入、フランスからの電力購入も増え、エネルギー面で他国への依存度が高まっている。日本は同じ道をたどるべきではない」
 --原発を引き続き利用していくにはどんな施策が必要か
 「各国政府や原発産業と利害関係のない技術者や識者が集まる国際機関の創設を提唱している。中立性の高い国際機関が各地の原発建設計画の安全性や必要性を評価し、情報公開を進める。その上で各国民に理解してもらい、支持してもらえるように努めたい」
     ◇
 米ペンシルベニア大、ニューヨーク大卒。米大手法律事務所で企業の金融取引を手がけ、1980年に米証券取引委員会委員。香港株式取引所顧問、英原子力公社(UKAEA)会長、ロンドン大エネルギー研究所所長などを経て、現在、UKAEA名誉会長。





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この記事へのコメント

通行人
2012年04月23日 23:57
イギリスとフランスの会社は、日本が命(大口顧客)ですから、必死ですがっているのではないでしょうか?日本の原発が止まり、通常の核燃料販売・再処理が止まっているだけで、彼らの経営の見通しが立たなくなり、目の前真っ暗だと思います。
深山飛水
2012年04月24日 18:39
通行人様
貴重なコメントを有難うございました。
再度、よく検討させていただきます。

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