日本領土・上空を空自の戦闘機が飛べない不思議?

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日本の領空でありながら、航空自衛隊の航空機は、勿論、日本の航空機も、ヘリコプターも飛べない。しかし韓国の航空機は飛べる。このような不思議な空域が日本の上空には存在する。それは正に竹島上空である。

(参考1)の産経の記事によれば」、大分、前のことになるが、
大韓航空は世界最大の旅客機「エアバスA380」のソウル-成田便就航を前にした6月16日に竹島上空をデモフライトした。この領空侵犯への対抗措置として、松本剛明前外相が外務省の全職員に対し、『6月18日から1ヶ月間、大韓航空機は、どの航空機であれ利用するな』との指示を出した。これに対し、韓国政府は外交ルートを通じ、利用自粛の措置を即時撤回するよう日本側に申し入れた。
ことがあった。しかしこの措置で、韓国がどれだけダメージを受けたことであろうか。外務省の役人は、元々、ほとんど韓国の航空機を利用しない。韓国に対し、この措置は何の痛痒も与えなかった。もっと徹底した制裁を与えることを考えねばなるまい。

通常は、竹島の上空は、日本の領空であるから、他国の航空機が予告なしに、この空域を飛べば、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して退去を明じなければならないところである。しかし松本前外相の上記のような抗議の程度で終わってしまった。これでは解決にならない。

どうしてこのような韓国による領空侵犯が起こるのであろうか。それには重要な問題点がある。これについて、産経新聞の外信部の水沼啓子氏が『(参考2a)、(参考2b)』で貴重な解説を提供している。それを次に示す。
日本の領土上空を他国機が勝手に侵入した場合、普通は航空自衛隊がスクランブル(緊急発進)もかけますが、現況では自衛隊機は竹島上空を決して飛ぶことができません。
 それは、竹島空域が日本の「防空識別圏」(ADIZ)から外れているためです。ADIZとは、領空に近づく航空機が敵機かどうかを判別するために設けられた空域のことです。奇襲攻撃などをたくらむ敵機が領空に侵入してからアラート発進していたら間に合わないためADIZが設定されています。このADIZの空域を事前に通告せず、勝手に飛行すれば、国籍不明機として空自の戦闘機がスクランブルをかけますが、竹島はその圏外ですから、自衛隊機は上空を飛べないのです。一方、韓国側は竹島空域を自国のADIZとして運用しています。
ADIZとは、
Air Defense Identification Zoneの略称で、防空識別圏のことである。日本上空は、全国のレーダーサイトに配備された超遠距離レーダーにより、これらの防空識別圏内の国籍不明機が領空侵入前に事前探知され、追跡される。その位置情報を含む詳細情報はデータリンク回線を介して中央司令所に送られ、処理され、目標に近い航空自衛隊基地への指令として発信される。 竹島の場合はその上空が日本のADIZに入っておらず、韓国のADIZの中に入っているのだそうである。このような重大な間違いが」なぜ生じたか。水沼啓子氏は、
現行のADIZは、終戦後に駐留米軍が設定し、領空侵犯措置が日本側に移管された際にそのまま引き継がれました。
と述べている。

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戦後(1945年以降)、GHQが日本に君臨し、マッカサー元帥が日本を統治した。1950年6月25日 から 1953年7月27日までの間、朝鮮戦争が戦われ、その後も、米ソ間は冷戦状態にあった。米軍は日本だけでなく、韓国にも駐留し、米軍自身による防空警戒網を構築した。日本ではこれを BAGEシステムと呼んだ。このシステムは日本では1960年代に、米軍から自衛隊に移管され、現在は、さらに高度に発展したSAGEシステムとして運営されている。同じく韓国駐留の米軍が構築した韓国向けBAGEシステムも、韓国空軍に移管された。これらのBAGEシステムでは、竹島上空は、韓国空軍のADIZ に含まれ、日本のADIZ には含まれていなかった。これは、当時の米軍の重大なミスであり、当時の占領軍司令官・マッカーサー元帥の重大な過誤である。彼は、
1952年4月28日に効力を発生したサンフランシスコ条約で、竹島が日本領土であることが明確にされたこと、そしてこれに関連して米国務省が韓国政府に送ったライス書簡には『竹島が日本領土である』ことを明記したこと 
を知らなかったのであろうか。もしそうであるとすれば、マッカーサー元帥は軍人としては優れていたが、政治家としての資質には欠けていたことになる。故意に見逃したとすれば、もっと悪意のある人物ということになる。

BAGEシステムが米軍から日本や韓国に移管されたのは、サンフランシスコ条約の発効した1952年よりも何年か後である。竹島のADIZを日本に移すという変更をすべきであったのに、米軍はそれを怠った。米国務省と米国防省との間で、この問題について、疑義提起がなかったことは極めて不思議である。今や、韓国は、竹島のADIZが韓国側にあることを、竹島の韓国領有への重要な根拠としようとしている。

韓国の竹島に関する横暴については米国内でも、日本に同情する声はある。これについては(参考3)の記事を参照されたい。06年4月、当時のトーマス・シーファー駐日米国大使が竹島問題と関連し、「(韓国が)狂った行動をしたり問題を起こしたりしないか懸念される」と発言をしていた事実を、ウィキリークスが9月2日に公開しているそうである。これについては(参考3)を参照されたい。

さて竹島につて、日本側は、今後、どうするのか、頭の痛い問題である。しかし解決せねばならない問題ではある。

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(参考1)松本外相、職員に大韓航空機「利用禁止」指示 竹島デモ飛行に対抗 韓国は即時撤回要求 (2011.7.14 12:28) 産経 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110714/plc11071412300013-n1.htm
 松本剛明外相が外務省の全職員に対し、すべての大韓航空機を利用しないよう指示していたことが14日、分かった。先月16日に同機が竹島上空でデモフライトを行い、領空を侵犯したことへの対抗措置で、同省が特定の航空会社の利用を「禁止」させるのは極めて異例だ。
 利用禁止は18日から1カ月間。職員は外国出張の際は原則、日本の航空会社を利用するため、大きな影響はないとみられるが、強い抗議の姿勢を示した格好だ。これに対し、韓国政府は外交ルートを通じ、利用自粛の措置を即時撤回するよう日本側に申し入れた。
 大韓航空は世界最大の旅客機「エアバスA380」のソウル-成田便就航を前にした6月16日に竹島上空をデモフライトし、松本氏は「極めて遺憾だ」と述べていた。

(参考2a)日本の領土なのに、竹島の上空を自衛隊機は飛べない? (2011.8.15 18:00) (1/2ページ) 産経http://sankei.jp.msn.com/world/news/110815/kor11081518000004-n1.htm
 【今回のなぜ?】日本の領土である竹島の上空を日本の飛行機は飛べない
 【解説】竹島は日本固有の領土ですが、現在、韓国が不法占拠し、領有権を日韓両国が争っています。竹島は韓国では独島と呼ばれ、ヘリポートや宿舎などの建物を次々に建て、実効支配を強めています。
 大韓航空の旅客機が6月にデモフライトした際、通常の飛行ルートを取らずに、まるで日本を刺激するかのようにわざわざ竹島上空を飛行しました。こんな韓国側の挑発とも取れる行為に、日本側が反発するのは必至です。松本剛明外相は「領空を侵犯した」とし、外務省の全職員に大韓航空機を利用しないよう指示しました。この対応に韓国側は「韓国の国籍機が自国領土の上空を飛行したことに他国が干渉するな」と反発する騒動になったのはご記憶に新しいと思います。
 日本の領土上空を他国機が勝手に侵入した場合、普通は航空自衛隊がスクランブル(緊急発進)もかけますが、現況では自衛隊機は竹島上空を決して飛ぶことができません。
 それは、竹島空域が日本の「防空識別圏」(ADIZ)から外れているためです。ADIZとは、領空に近づく航空機が敵機かどうかを判別するために設けられた空域のことです。奇襲攻撃などをたくらむ敵機が領空に侵入してからアラート発進していたら間に合わないためADIZが設定されています。このADIZの空域を事前に通告せず、勝手に飛行すれば、国籍不明機として空自の戦闘機がスクランブルをかけますが、竹島はその圏外ですから、自衛隊機は上空を飛べないのです。一方、韓国側は竹島空域を自国のADIZとして運用しています。

(参考2b)日本の領土なのに、竹島の上空を自衛隊機は飛べない? (2011.8.15 18:00) (2/2ページ)産経  (http://sankei.jp.msn.com/world/news/110815/kor11081518000004-n2.htm
現行のADIZは、終戦後に駐留米軍が設定し、領空侵犯措置が日本側に移管された際にそのまま引き継がれました。実は北方領土の空域もADIZに入っていません。日本の最西端にある与那国島も以前は島の3分の2しか日本のADIZに入っておらず、残り3分の1は台湾側のADIZに含まれていました。米軍が与那国島の存在を無視して、日本のADIZの最西端を東経123度で設定したためにこうした不都合が生じましたが、2010年に問題は解消され、現在は与那国島全体がすっぽり日本のADIZ内に入っています。
 もちろん竹島空域もADIZに入れようという見直し論もあります。しかし、防衛省などは「今のままで運用に支障がない」「ADIZを拡大すれば隣国のADIZとの衝突は避けられないので、簡単には見直せない」と消極的です。このまま竹島空域が日本のADIZに入らないでいると韓国はやりたい放題で竹島の実効支配はますます強まるだけなのですが、日本政府は及び腰のようです。(外信部 水沼啓子)

(参考3)駐日米大使「韓国が独島関連で狂った行動をしないか心配」…ウィキリークス (2011年09月06日11時13分) 中央日報日本語版] (http://japanese.joins.com/article/537/143537.htmlcomment2mixihatena15 ).
日本の独島(ドクト、日本名・竹島)沖水域調査計画発表で韓日両国が対立した06年4月、当時のトーマス・シーファー駐日米国大使が独島問題と関連し、「(韓国が)狂った行動をしたり問題を起こしたりしないか懸念される」と韓国を侮蔑する発言をしていた事実が、ウィキリークスが2日に公開した公電で明らかになった。
日本の米国大使館が米国務省などに送った極秘(secret)公電によると、シーファー大使は06年4月20日、当時の谷内正太郎外務事務次官と面談した席で、独島問題について「日本は国際法の許容範囲内で権利行使をしている」と肩を持った。
半面、韓国に対しては「非合理的(irrational)に行動している」と述べた。特に「米国は韓国が狂った行動(do something crazy)をしたり重大な問題を引き起こしたりしないか憂慮している」と述べた。シーファー大使は「問題の平和的な解決のために双方が一歩ずつ譲歩する必要がある」と付け加えた。
シーファー大使の発言は、独島問題をめぐる韓国政府の対応方式を好ましく思っていない米国政府の意中が反映されたものとみられる。

(参考4)下條先生の反論レポート「韓国が知らない10の独島の虚偽」http://www.pref.shimane.lg.jp/soumu/web-takeshima/takeshima04/dokutonokyogi/dokutonokyogi10

この記事へのコメント

深山飛水
2011年11月04日 11:12
秋桜様
ブログ玉を有難うございました。
阿見次郎
2019年07月23日 12:38
最近の日韓関係を見ると、速やかに竹島周辺空域をADIZに引き直す必要があると思います。本日(20190723)もNHKの昼の総合TVNEWSは、韓国の報道をそのまま報じており、ロシア軍機が竹島周辺で領海侵犯したことを我が国の対応として一言も触れていないのは異常です。外務省・防衛省は実質的に影響が少ないと言っているようですが、韓国の実効支配を中・露を使って認めさせようとする動きであり、速やかに対応措置を決定すべきです。

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