国連の人権委で北朝鮮非難に賛成しなかった国々

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新聞情報、例えば、『(参考1)』の読売新聞の22日の情報によると、2005年以来7年連続して開かれている拉致問題など北朝鮮の人権侵害を非難する決議案が今年も採択されたそうである。採択の結果は、毎年、連続して賛成票が反対及び棄権票を上回っており、賛成票は過去最多の112票で、反対16、棄権55の合計数71票であったことを報じている。この報道は各新聞、共にほぼ同じである。

そして反対票には、北朝鮮、中国、ロシア、エジプトの4国が含まれることを、読売新聞は報道している。そして棄権票には、インドが含まれることを報道しているのは、日本経済新聞だけであった。親日的とも言われるインドが棄権票に含まれることは、極めて心外なことであるが、ロシアあたりからの反対勧誘があったのかもしれない。

ところで、北朝鮮が反対であることは、非難対象の当事国であるから、当然であろう。そして中国が反対票を投じたのは、北朝鮮との間に、『中朝友好協力相互援助条約((参考2)を参照)』が存在し、その条約の第三条や第四条(注)を、堅固に守り抜いているためであろう。

さらにロシアが賛成に加担している。これは中ロ間に、強力な協定として、『上海協力機構―通称SCO(Shanghai Cooperation Organization)』が存在するためと思われる。中ロ間の結束が、北朝鮮への対応でも現れたと云うことであろう。この機構は、加盟国による中央アジアの安全保障の確立を主な目的としている。ロシアは、北朝鮮との直接の友好関係以外に、中国と同じ歩調を採ることが、自国の安全保障につながると考えている。

さらに北朝鮮の人権侵害・非難・決議案への反対票には、上記のSCOへの加盟国であるカザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンなどの4国、またSCOに加盟していなくても、SCOに協賛的な思いを持つパキスタン、イラン、ベラルーシ、スリランカ、トルクメニスタン、トルコなどの6国が入るのではないだろうか。残る1国はどこであろうか。想像もつかない。

要は国連の安保理の人権擁護委員会は、実際には人権尊重という立場からは動いていない。安保理では、非常任理事国は、拒否権を持つ常任理事国の顔色を見ながら動いている。 『世界正義』と云うものは、国連では通用しない。国連の安保理・人権擁護委が真に機能することは、大国の利害が絡み合う限り、永久にありえないだろう。

なお、蛇足だが、今回の決議では、国連事務総長は何の貢献もしていない。国連事務総長などは、実は、居ても居なくてもよい。むしろ有能な事務総長は、常任理事国から嫌われるだけである。彼らにとっては、如何に扱いやすい無能な人材が、事務総長になっているかと云うことの方が重要なのである。


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(参考1) 北人権非難決議、過去最多で採択…国連総会委(2011年11月22日10時39分 読売新聞)http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111122-OYT1T00351.htm
 【ニューヨーク=柳沢亨之】国連総会第3委員会(人権問題)は21日、拉致問題など北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を賛成112、反対16、棄権55で採択した。
 決議は日本と欧州連合(EU)が主導。採択は2005年以来7年連続で、賛成票は過去最多となった。
 決議は拉致問題に加え政治犯に対する死刑、脱北を試み送還させられた国民への拷問など組織的な人権侵害を列挙し、「非常に重大な懸念」を表明した。中・露・エジプトなどが反対した。
 同委では、イランの人権侵害を非難する決議案も賛成86、反対32、棄権59で採択、ミャンマーの人権侵害を非難する決議案が賛成98、反対25、棄権63で採択された。ミャンマー決議には、一部政治犯の釈放を歓迎する文言も加えられた。(2011年11月22日10時39分 読売新聞)

(参考2)中朝友好協力相互援助条約 ウイキペデイアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9C%9D%E5%8F%8B%E5%A5%BD%E5%8D%94%E5%8A%9B%E7%9B%B8%E4%BA%92%E6%8F%B4%E5%8A%A9%E6%9D%A1%E7%B4%84
(参考3)上海協力機構 ウイキペデイアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%B5%B7%E5%8D%94%E5%8A%9B%E6%A9%9F%E6%A7%8B
<前略>SCOは加盟国による中央アジア(ユーラシア)一帯の安全保障の確立を主な議題としている。しばしばそれはテロ・宗教問題・分離主義についての意見交換へと発展している。ウズベキスタンのタシケントで2004年6月16日から17日にかけて開催されたSCOサミットでは、地域対テロ機構(RATS)が正式に設立された。2006年4月21日、SCOはテロリズム対策の一環として国境地帯での麻薬密輸の摘発を行う事を決議した。
強化される軍事的な協力関係に懸念が広がる中、SCOは軍事同盟になる計画はないと釈明した。しかし同時に地域対テロ機構を運営する上で軍事協力の強化は当然の事であるとも表明しており、初期の段階で加盟国間の共同軍事演習が複数回行われた。2005年8月19日、中露共同軍事演習「平和への使命2005」が大規模に行われた。平行してオブザーバーであったインドとの露印軍事演習も開催され、成功した二つの軍事演習に自信を深めたロシアはSCOの軍事協力に積極的な行動を見せた。2007年、SCOによる初の六カ国共同軍事演習「平和への使命2007」がウラル山脈付近のロシア領で開催、ロシアのセルゲイ・イワノフ国防相は軍事演習は開かれた形で行われると声明した。
2007年10月、ドウシャンベサミットでSCO議会はロシアが主導する軍事同盟・集団安全保障条約(CSTO)との共同活動に向けた合意に署名した。
<後略>

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この記事へのコメント

深山飛水
2011年11月23日 09:28
ち武者様
ブログ玉をいただき、有難うございました。
深山飛水
2011年11月28日 05:35
本文では、ロシアが北朝鮮の人権侵害を非難する決議案に反対したのは、『中朝友好協力相互援助条約によって北朝鮮と密接な関係にある中国への、ロシアの義理立てである。このような義理立てをする理由は、中ロ間に上海協力機構を通じた安全保障上の協力関係保持という協定があるからである』という主張をした。すなわちロシアの北朝鮮への配慮は中国を介した間接的なものであるという主張であった。

しかしロ朝間には、昔から現在に至る協調関係がある。初代の北朝鮮総書記・金日成はロシアの前身であるソ連のスターリン等の庇護の下に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を樹立したという歴史がある。特に最近、金正日総書記は、中国ばかりでなく、ロシアとの接近を図っており、中国を介さない直接の密接な経済協力が醸成されつつある。北朝鮮と中ロの3カ国の国境に位置する「羅新港」は日本海に面した優良港であり、ロシアはこの港の使用権を北朝鮮から獲得している。

22日の朝日新聞の報道は、
 最近、北朝鮮からロシア極東地域への労働者派遣が急 増し、ウラジオやアムール洲などで計画も含めて5千 人以上が増えた。北朝鮮にとり、少なくとも毎月
 400万ドル(約3億円)の外貨収入増につながった 模様。中国の北朝鮮への影響力拡大を嫌うロ朝両国の 思惑が一致した形だ。ウラジオでは来年9月に開かれ るアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の 会場建設や付近の道路整備などの現場で、昨年から北 朝鮮労働者約3千人が働いている。以下略。
と述べている。

このような最近のロ朝間の関係を見ると、国連の安保理の常任理事会で、ロシアが北朝鮮側に回るのは、むしろ当然すぎるほど当然と言えよう。

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