民主党代表選への小沢氏出馬の是非?

画像

小沢氏出馬を語る鳩山前首相(注)

小沢一郎氏が、民主党の総裁選挙に出馬すると云う。7月11日の参院選挙を控えて、鳩山内閣の支持率が急落し、これでは参院選挙は戦えないということで、鳩山由紀夫首相は、責任を取って首相の座を降りることになった。
支持率急落は、普天間基地移設先決定が難航し、沖縄県民の民意の強い反感を買ったことと、民主党の代表でもある鳩山由紀夫氏と党の幹事長である小沢一郎氏の両氏について、政治資金にまつわる不透明な事件が問題となったことである。鳩山首相は責任を取って首相の座を降りることになったが、その時、彼は小沢氏にも幹事長辞任を勧め、両者ともにその座を去った。これはつい6月のことであった。

首相の座を継いだのは、当時、副首相の座にあった菅直人氏であった。このような経緯があるので、9月14日に行われる民主党恒例の代表選挙には、菅直人首相だけが立候補して終わりかと思ったら、小沢一郎氏も立候補すると云う。小沢氏は8月26日にこの意志を公式に発表した。菅首相は、民主党代表選出という洗礼をまだ受けていないと云うこともあり、そしてまた小沢氏は、菅氏63歳に対し、68歳であり、政治家としては、そろそろ引退の時期に近いというそれぞれの事情がある。

普通の常識で言えば、ここは菅首相のみが代表に立候補して、菅首相がそのまま首相を引き継ぐのが、極めて常識的である。外国から視ても、毎年、首相が変わる日本の政情を視ていると、それだけ日本と言う国を信用しにくくなる。一人の同じ首相が、せめて3,4年の間は、首相を続けるのが、政情安定と映る。

ところが、つい6月に幹事長を自発的に辞任したはずの小沢一郎氏が代表選に立候補すると云う。上述したように小沢氏の年齢が政治家としての限界に近ずいていると云うこと以外に、どうやら民主党内の多人数の(150名とも言われる)小沢支持グループや側近(例えば山岡賢次副代表)の立候補への懇請があったのかもしれない。彼らは小沢氏に繋がって、政権に就きたいのだ。そして一説によると、鳩山由紀夫前首相は、始めは菅首相の続投を支持していた。そして小沢支持グループの政権への直接関与の機会を与えるように菅首相に忠告した可能性がある。すなわち小沢グループから閣内に何人かを加わらせる提案を行った。しかし菅首相は、必ずしもこれに賛成しなかったのではないか。

さらにもっと裏を言えば、鳩山由紀夫前首相は、当初、政界から引退するなどと言っていたが、どうしたものか、最近、変な色気が出てきた。彼は現在、63歳で、菅首相と同年である。もう一度、返り咲きすることを秘かに望んでいるのかもしれない。とすれば自分が立候補できないので、小沢氏に立候補させ、小沢氏が仮に代表になった場合には、自分が閣僚の重要な地位に座ることなどを狙っているのではないか。つい最近、鳩山氏は小沢支持を表明した。小沢氏を応援し、小沢氏が代表当選の場合には、小沢内閣の例えば外相の座に就く。そして鳩山氏得意の『友愛外交』を展開する。菅首相に3,4年も居座られると、自分の出る幕が無くなってしまう。小沢氏を首相にした方が、今度、自分が首相に帰り咲くチャンスが増えるというものである。

しかし小沢氏に降りかかっている最大の問題は、政治資金に係る検察との戦いである。小沢氏はこれまで議会のしかるべき審議機関で彼の政治資金に関する数々の疑惑を説明したことがない。国民は小沢氏に関しては、政治資金に係る疑惑に強い批判の目を向けている。小沢氏にすれば首相の座を射止めることにより、検察への圧力を増すことができる。しかしこれも射止めた上での話である。

小沢氏側は、参議員選挙での民主党の敗因を、自分達の政治資金問題への批判を避けるために、菅首相の消費税値上げ問題検討開始発言が原因であると主張し、菅内閣は普天間基地を辺野古移設とし、県外移設を考えないと批判し、衆院選時の選挙マニフェストの忠実な実行を要求し、菅政権のマニフェスト修正の姿勢を非難している。そして参院での捩じれ国会に、菅内閣では対処できない、官僚政治に回帰しているなどと批判している。しかし小沢氏側のこれ等の批判は、この批判の対象となる問題について、菅政権が、民主党前政権、すなわち鳩山政権よりも改善されていることを意味する。

以上の諸点を勘案すると、筆者は小沢氏の代表選立候補には反対である。

(注)この写真は(参考3)から借用した。産経新聞に謝意を表する。

***************(終わり)****************

(参考1)鳩山氏の支持が決め手 小沢氏、総理と一騎打ちへ(08/26 11:46)
 民主党の小沢前幹事長は26日朝、鳩山前総理大臣と会談し、来月14日の代表選への出馬を表明しました。「脱小沢」路線を変えない菅総理大臣に真っ向から対決を挑みます。
 民主党・小沢前幹事長:「(鳩山前総理から)全面的に協力し、支援していきたいというお話を頂きましたので、代表選に出馬する決意をいたしました」
 鳩山前総理大臣:「私の一存で小沢先生には民主党に入って頂いた。その経緯からして、私としては応援をする、それが大義だ」
 会談のなかで、鳩山氏は、菅総理が「脱小沢」路線を変える意思のないことなどを小沢氏に説明しました。そのうえで、民主党と自由党が合併した時の小沢氏の決断を高く評価したうえで、小沢氏の支援を打ち出しました。これを受けて、小沢氏は、国会議員票で優位に立てる可能性が高くなったことから出馬を決断しました。代表選は小沢氏と菅総理の一騎打ちになる見通しで、党内を二分する激しい戦いになりそうです。

(参考2)鳩山氏「菅首相応援は当然」 代表選支持あらためて表明2010年8月17日21時24分
 【北京=山田明宏】中国を訪問中の鳩山由紀夫前首相は17日、9月の民主党代表選について「総理として頑張っている姿を民主党議員として応援するのは当たり前。国民に役立つ政治に協力することは当然だ」と語り、菅直人首相の再選を支持する考えを改めて示した。北京市内で記者団の質問に答えた。
 これに先立ち、鳩山氏は北京・中南海で中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相と会談。鳩山氏は東アジア共同体構想について「環境問題を軸に協力することで、東アジア共同体構想を作り上げていくことが大事だ」と伝えた。温首相は「早い時期の菅総理の訪中を心待ちにしている」と語った。
 鳩山氏は民主党議員でつくる「日中環境協力推進議員懇談会」の会長として16日から訪中。樽床伸二国会対策委員長や中山義活前首相補佐官らが同行している。

(参考3)【小沢氏出馬】鳩山前首相の発言全文 「問題ありながら決断した」 (2010.8.26 09:53)産経
鳩山由紀夫前首相の26日午前の代表選に関する記者団とのやりとりは次の通り。
               ◇
 --小沢一郎前幹事長が、「鳩山氏の支持を得るということで、出馬を決意した」との趣旨の話をしたが、事実関係は
 「その通りです。昨日の菅総理との会談の模様を尋ねられましたので、私の方から概要を申しあげました。その結果、それならば(平成15年に当時の民主党と旧自由党が合併した)民由合併の時からの同志としての協力が得られるならば出馬をしたいというご意向を述べられたところであります。
 --鳩山氏は全面的に小沢氏を支援するか
 「私は、私の一存で小沢先生には民主党に入って頂いたと。その経緯からして、私としては応援すると。それが大義だと思っています」
 --これまで菅首相支持を表明してきたが、その考えは
 「常に、今、政権として行動しておられる総理に対して、民主党の一議員として応援するのは当然だという意味で申しあげてきました」
 --首相が替われば1年で3人目だ。国民の不満があると思うが、その点についてどう考えるか
 「それは、より良い国になれば、当然、評価は変わると思います」
 --小沢氏は「政治とカネ」の問題で、国民の批判があるが、それに対してどう説明する考えか。小沢にどう説明を求めたいか
 「うん、それは小沢先生がそのようなことを背負いながら、しかし、それでも、この国のために行動しなきゃならんと。それを超えてね。自分自身の問題がありながら、国のために命をかけたいと。そのように決断されたということでしょう。すなわち、ご自身がそのことはしっかりとなさると」
 --鳩山グループとして小沢さんを支持するか
 「…」




Voice (ボイス) 2008年 12月号 [雑誌]
PHPソフトウェア・グループ

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Voice (ボイス) 2008年 12月号 [雑誌] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

日本経済を衰退から救う真実の議論
かんき出版
片山さつき

ユーザレビュー:
団塊後の世代として、 ...
私たちや子供達の未来 ...
面白い。日本の課題が ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 日本経済を衰退から救う真実の議論 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

民主党政権は日本をどう変えるのか (家族で読める family book series 004) (家族で読めるfamily book series—たちまちわかる最新時事解説)
飛鳥新社
上杉 隆

ユーザレビュー:
鳩山総理は民主党のマ ...
さらりと読む本著者は ...
知識だけでなく感触が ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 民主党政権は日本をどう変えるのか (家族で読める family book series 004) (家族で読めるfamily book series—たちまちわかる最新時事解説) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル




Voice (ボイス) 2009年 01月号 [雑誌]
PHP研究所

ユーザレビュー:
危機をどう乗り越える ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Voice (ボイス) 2009年 01月号 [雑誌] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック