沖縄基地問題に関する2010年 5月9日のNHK・日曜討論?

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図1 中国が侵略を企図する第一列島線

5月9日9:00 NHK・日曜討論会『普天間基地問題 どうなる“5月末決着”』が、NHK解説委員 島田 敏男氏の司会で、岡本 行夫氏(外交評論化家)、我部 政明氏(琉球大学教授)、鈴木 佑司氏(法政大学教授)、孫崎  享 氏(元防衛大学校教授)および森本  敏 氏(拓殖大学大学院教授)の5氏の間で討論が行われた。

残念ながら、筆者はその内容を漏れなく完全に視聴することに失敗した。そこで放送内容そのものが記載されている記事がないかと、ネット上を探索した。普通であれば、放送された詳細内容については、放送元のNHK自身がそれをネット上で公開するのが当然であると思うのであるが、それが全く見当たらない。筆者は、性来、ひねくれているのであろうか、書いたものにして、残してないのは、後々まで、その内容について物議を醸されないようにとの警戒心があるからだなどと、つい疑ってしまうのである。

ただ、探しているうちに、資料『(参考1)』を発見した。1時間の内容であるから、相当の量になると思っていたが、この資料の内容は意外に短かく、細かい討論内容は割愛されているように思われた。恐らくこの資料の著者は、細かい陳述は避けて資料の簡潔化に配慮したのであろうと推察した。このような配慮がある方が、参考資料として適切と思われたので、これを参照することとした。この資料の著者に感謝する次第である。

筆者は、この資料の内容を適切と考えられる項目に分割し、各項目ごとに概要を述べ、直接、筆者の見解を述べることにする。なお、極力、内容を簡潔化することに努力した。

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【1】普天間基地県内移設合意後
我部教授は、恰も96年の橋本・モンデール会談での県内移設が県民の合意を得ていないような不満を漏らしている。さらに孫崎氏は沖縄の県民の意志を尊重して日本全土を対象に基地を移設することを主張し、沖縄に海兵隊が駐留していることによる抑止力の存在を評価していない。岡本氏は沖縄県民は反対派ばかりではないことを述べ、森本氏は県外移設に反対している。
●筆者見解:我部教授は、元々、沖縄県人で、沖縄に一国二制度まで望みかねない強硬派であり、米軍の駐留を許していない。また孫崎氏は元外務官僚で、最後は防衛大学の教官を努めた。この人が、思いのほか、米海兵隊の日本本土への分散駐留を主張している。こういう人が鳩山首相のブレーンであったこと自体が間違いであった。しかも孫崎氏は、『沖縄に米軍基地があることが、必ずしも抑止力にはならない』という大きな偏見に汚れきっている。しかも彼は『抑止力』という言葉に否定的である。

【2】辺野古沿岸部案の妥当性
岡本氏と森本氏は、杭打ち案が、テロに弱く、建設費の地元への還元が薄い事を主張し、我部氏は地元の強い反対を強調している。
●筆者見解:岡本氏や森本氏の考えに賛成である。杭打ち法ではなく、埋め立て式のV字滑走路の方が優れていることは当然である。杭打ち法の採用は、鳩山首相の主張によるもので、埋め立て法が生態系に悪影響を及ぼすことへの配慮によるものであるが、テロ等に弱い姑息な手法である。
さらに1月24日の名護市長選では、稲嶺氏は僅差で、基地移設を容認の現職の島袋吉和氏に勝った。基地建設賛成派は反対派と同数だけいることを実証している。つまり地元には強い反対はないということである。


【3】県外移設が旨く行かない理由
森本氏は、沖縄と県外とに海兵隊基地を分散させることが、用兵上、困難かつ無意味であることを主張し、岡本氏は急な説得で、移設が旨く行くはずがないことを強調している。これに対し、孫崎氏は、『鳩山首相に県外移設を進言しており、鳩山首相もそのつもりでいた。しかし官僚が云う事を聞かず、鳩山首相も全面的県外移設を諦めるようになった』と述懐している。
●筆者見解:鳩山首相が頑固に現行案を忌避し、県外移設を主張した裏には、孫崎氏による重大な教唆があった。これは、現行案を覆そうとする重大な陰謀である。許されるものではない。この点、官僚機構は官僚を嫌う民主党政権下でも正常に機能した。官僚上がりである孫崎氏が、その官僚に裏切られた。

【4】海兵隊の国外分散を減らす米国の方針
我部氏や鈴木氏は、「米国は海兵隊が国外へ分散しているのを減らそうとしており、その動向に旨く便乗し、日本国内の海兵隊を減らす方向に動くべきである」と主張している。
●筆者見解:米国の海兵隊の米国内集約の方向に乗るべきだとの考えには同意できない。日本に防衛の空白ができることは許されない。海兵隊が日本に駐留していてこそ、日本の軍備の弱点が補われている。

【5】日本は尖閣諸島のみを守ればよいという考え
孫崎氏は、竹島や北方四島を見放し、尖閣諸島のみを守ればよいとしている。しかも「尖閣諸島については日本が守ることを日米で取り決めている」としている。
●筆者見解:孫崎氏は、北方四島について、日本領土外と見る考えを露わにしている。この考えは日本人として許せない。さらに、竹島は、米国が韓国領土と認めたような言い方をしている。これは大きな間違いである。『「竹島」について鳩山内閣の腰が引けている』のはこの人が背後にいるからだと云うことが分かったような気がする。さらに尖閣諸島は日本のみで守るというのも理解できない。それこそ安保条約はどうなっているのか。奇妙である。

【6】自衛隊の強化
孫崎氏は、尖閣諸島防衛に絡んで、自衛隊の強化を主張し、過剰な対米依存ではなく、自主防衛を計るべきだと主張した。岡本氏はこれに賛同し、防衛費の増額が必要としながらも、その困難なことを認めている。森本氏は即応性のある戦力の存在を強調した。
●筆者見解:自衛隊の強化には同感である。ただ現在の我が国の防衛費は年間3兆円にたいして、中国の防衛費は10兆円以上に及ぶと想像される。日本が、日本だけで自国を守れないような状況になりつつある。さらに悪いことは、日本国民に防衛意識がないことであり、愛国精神がないことである。さらに自衛力増強のための法整備が全くない事であり、憲法改正の動きすら現れないことである。

【7】米軍のプレゼンス
岡本氏は、『中国は脅威を増大させており、尖閣諸島の侵略を企図している。このような状況では、日米の緊密な協力関係を中国に見せつける必要がある。にもかかわらず、地元県民の米軍のプレゼンスに反対する動きは、これに逆行するものである』と述べている。また森本氏は『中国は領有権の曖昧な場所に進出して来る』と述べている。
●筆者見解:日本の防衛力の弱い現在、尖閣諸島一つについて考えても、沖縄での米軍のプレゼンスは絶対必要である。中国は、西太平洋侵略のための第一次戦略線を、南西諸島から台湾の東海岸に置くラインに想定している(図1を参照)。彼らは、尖閣諸島に止まらず、沖縄本島、尖閣諸島を含む南西諸島や台湾を中国領土とすることを目標にしている。中国のある高官は、30年後には日本という国は地球上に存在しないと言明している。

【8】終わりに
(1)沖縄への過度の基地集中を避けよ。(孫崎)
(2)米軍が沖縄県民に追い出される形を取るべきではなく、沖縄の抑止力を軍事的合理性の下に保ちながら、それを縮小すべきである。(岡本)
(3)軍事的合理性の前に政治的合理性がある。参院選の前に鳩山首相はこの政治的合理性を国民に説明せよ。(鈴木)
(4)増してきた中国の脅威に対応できる体制作りが必要である。(森本)
(5)これまでの経験を元にして、11月末までにこの体制作りに努力すべきである。(岡本)

●筆者見解:沖縄から米軍基地を撤去し、米軍がこの地域からいなくなることには反対である。自衛隊の存在を沖縄方面で強化することには賛成であるが、これと相対的に米軍の兵力を減らすことには反対である。もし米軍が沖縄からいなくなれば、中国は忽ち台湾に侵略の魔手を伸ばすことは間違いない。今回の討論では、台湾問題については、全く語られていない。米国は、台湾関係法に従い、台湾が中国から受ける可能性のある侵略の防止と、もしそれがあった場合の対応を考えているはずである。日本自身も台湾の防衛に積極的に力を貸すことが、自身の防衛につながる。この日曜討論会では、この重要問題が忘れ去られている。これは、この討論会への全参加者の重大な認識不足である。

******************(終わり)********************


(参考1)5月9日「日曜討論」を見ながら~岩上安身つぶやき編集 2010年5月 9日 (日)http://honnosense.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/59-a466.html
○我部教授
「96年前、橋本・モンデールで普天間の返還で協議し、その時、県内移設で合意した。それ以来、物事が進まない」
○岡本行夫氏
「沖縄の地域首長には賛成派もいた」
○孫崎
「沖縄の意思を無視せずに、時間をかけて、九州全域で、あるいは日本全域で受け入れ先を探したらどうか。また、抑止力と言う間違った議論はすべきではない。日米関係はそんなに簡単に崩れない」
○森本
「プロセスが間違っている」
○鈴木
「政権運営はこんなに難しいのか」
○岡本
「くい打ち案は、テロにもろい」
○孫崎
「難しい」
○森本
「二度、過去に検討され、つぶれた。住民に近い。地元にカネが落ちない。技術的に無理」
○我部
「建設方法いかんに問わず、地元は反対する」
○孫崎
「鳩山さんは、ずっと県外と言ってきた。その思いを官邸、外務省、防衛省とも実現しようとしなかった。 さびしい話」
○岡本
「もっと時間をかけて、静かな対話を続けて説得すべきだった」
○森本
「徳之島への訓練移転は、玄関先に靴がない、ようなもの。無理」。
○孫崎
「1月と3月の2回、長崎の自衛隊施設を使う案を首相に提案。しかし官僚が検討しなかった」
○岡本
「孫崎さんのいい方が説得力があるから首相がぐらつく。訓練を九州にもて行くのはできない。部隊を全部持っていくしかない。その施設はない」
○森本
「分散するのは難しい」。
○我部
「すでに海兵隊は分散移転。これ以上は分散したくないと米軍は思っている」
○鈴木
「殴り込み部隊である海兵隊が国外にあるのは、日本に駐留する海兵隊のみ。米国自身の要請で撤退してゆく過程にある」
○孫崎
「抑止力というのは、核はまず、本土の大陸間弾道弾の問題。対象となるのは管轄地。北方領土は対象外。竹島はブッシュ時代、米国はこれを韓国領と認めてしまったのでこれまた管轄外。となると対象は尖閣諸島なのだが、
日米間の取り決めで島の防衛は日本が行うことに。自衛隊を強化すべき」
○岡本
「最後の部分、自衛隊の強化については賛成。今も防衛費は低すぎる。しかし、防衛費の増額は、現実的に難しい」
○森本
「即応性のある戦力が存在することは意味がある」
○孫崎
「外務省は70年代までは過剰な対米依存は危険、自主防衛が必要とみていた。自ら防衛を。総額では防衛費は高い」
○岡本
「中国の脅威は増大。尖閣を狙っている」
○岡本
「地元の反対がある場合、日米の緊密な関係を見せつけることにはならない」
○森本
「中国は領有権の曖昧な箇所を狙って進出してくる。海洋はその最たるもの」
○鈴木
「ナイの唱えたソフトパワーが必要」。
○孫崎
「沖縄の過度の集中を改めるべき」
○岡本
「縮小していく方向に変わるべき。しかし、軍事的な合理性で縮小すべき。地元の反対で、米軍が追い出される形で下がるのはまずい」
○鈴木
「軍事的合理性が先、という議論はおかしい。政治がまず決断し、軍事がその範囲で合理性を追求するべき」
○鈴木
「選挙を前にして苦しいが、鳩山さんは、国民に直接、時間をかけて自分の考えを説明するべき」
○森本
「冷戦の崩壊とともに、中国の脅威が増してきた。 これに対して対応すべき」
○岡本
「時間軸でいえば、真のリミットは11月末。ここまでかけてせっかく学習してきた鳩山総理がやるべき」

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