中国艦隊の日本EEZライン内での目に余る行動

時事通信の記事『(参考5)』や東京新聞の記事『(参考6)』によれば、
赤星慶治海上幕僚長は13日の会見で、中国海軍の艦載ヘリコプターが8日、東シナ海で警戒監視中の護衛艦「すずなみ」に距離90m、高さ30mまで接近して飛行したことを明らかにし、「護衛艦の航行に影響が出た」と述べた
そうである。そして彼らはこのヘリコプター上から、「すずなみ」を撮影したそうである。その映像が14日(水)の朝日の朝刊の政治欄に掲載された。彼らは東シナ海の中部海域で艦載ヘリコプターの飛行訓練を行っていた。中国海軍の常軌を逸したこのような危険な行為は、許されない行為である。

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図1 我が国の経済的排他水域

 外務省は12日、中国大使館に事実確認を申し入れ、「危険な飛行だった」との日本側の認識を伝え、中国側は「事実を確認をする」と回答したそうである。しかし彼らは事実を確認しなくても、初めから知りぬいている。確信犯なのである。要するに東シナ海は中国の海であることを意識した示威行為なのである。わが国の護衛艦「すずなみ」は、当然図1に示す我が国のEEZライン内で活動していたのであろう。にもかかわらず、中国海軍がこのような行動に出るのは、彼らが戦略上の第一列島線を図2から図3に変更したことにあるように思える。

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図1 中国主張の戦略的列島線(その1)(注1)

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図2 中国主張の戦略的列島線(その2)(注2)

数年前までは、第一列島線は図2に示すように、東シナ海の我が国の排他的経済水域(EEZ)のライン上から台湾海峡を通る線であった。それが最近では、図3に示すように、我が国の南西諸島を通り、台湾の東側を通る線が設定されている。これはすなわち我が国領土の南西諸島と(我が国の領土ではない)台湾が、中国に侵略されている状態を意味する。日本の鳩山政権は、これ等の列島線は架空の意味しか持たない仮想的なものであると思って安心し切っている。しかし彼らの考えはそのような甘いものではない。中国の軍事力の制圧範囲をこの列島線まで及ぼそうと考えているということである。これは領土そのものも中国の支配下に入ることを意味する。今や、中国にとって、所謂『小日本』などは眼中にないという状態が近づきつつある。

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図4 4月10日中国艦隊の移動方向 その1(注3)

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図5 4月10日中国艦隊の移動方向 その2(注2)

上記のヘリコプターを「すずなみ」に異常接近させた潜水艦2隻を含み、ヘリコプターを搭載した10隻よりなる中国艦隊は、10日夜、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過して日本の島である沖ノ鳥島方面(注5)へ向かった。彼らにしてみれば、沖縄本島も宮古島も彼らの戦略ラインと考えている第一列島線上にあるから、この線を横断することは平気であろう。しかも潜水艦までも、潜水せず、浮上した状態で横断したそうである。しかも、(参考6)の東京新聞の記事は、横断海域は公海であったと言っているが、そうではなくて我が国の排他的経済水域の中を横断している。排他的経済水域であると言っても、鳩山内閣は媚中的であるから、抵抗感は無いのだろうということはよく理解できる。

ただ、このような中国艦隊の訓練とは言え、軍事的示威行為に見えることが、日本の排他的経済水域内で行われていることを許していてよいのであろうか。平時とは言え、日本周辺の制海権が中国に握られてしまっているということになる。

これを許している鳩山政権は、日本を中国に売ろうとしている政権以外の何物でもない。中国は普天間基地問題で揺れる鳩山政権を見くびり切っている。

(注1)(参考3)より借用。WorldTimes社に謝意を表する。
(注2)(参考4)より借用。Wikipedia社に謝意を表する。
(注3)(参考1)より借用。GooBlog「七生報国日記」氏に謝意を表する。
(注4)(参考2)より借用。特定アジアニュース社に謝意を表する。
(注5)この沖ノ鳥島は、第一列島線と第2列島線(伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るライン)の中間にある。この海域で、どのような訓練をするのであろうか。

*******************(終わり)********************


(参考1)【中国艦隊】沖縄近海を通過~鳩山首相:『東シナ海』は“友愛の海”にしましょう・・と。
2010年04月13日 | 【政治経済】七生報国日記
http://blog.goo.ne.jp/haibane_reki/e/832ee91a2530ab5d7eab32ee9d6f3cd7
(参考2)中国艦隊10隻が沖縄近海を通過して沖ノ鳥島方面に向けて南下中!(2010/04/13 Tue) 特定アジアニュースhttp://specificasia2.blog12.fc2.com/blog-entry-3445.html
(参考3)中国の海洋戦略 川村研究所代表元海将補 川村純彦氏に聞く(上) (平成16年(2004年)8月16日)http://www.worldtimes.co.jp/special2/china5/040816.html
(参考4)第一列島線 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%88%97%E5%B3%B6%E7%B7%9A
第一列島線は、九州を起点に、沖縄、中華民国、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを指す。
第二列島線は、伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインである。2020年までに完成予定。

(参考5)ヘリ近接飛行で事実関係照会=中国側に外交ルートで-防衛省 (2010/04/13-17:50) 時事通信  (http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010041300710
中国海軍の艦艇10隻が沖縄近海通過前、艦艇から発艦したとみられるヘリコプターが警戒監視中の海自護衛艦に接近して飛行した問題で、防衛省は13日までに、外交ルートを通じ中国側に事実関係の確認を申し入れた。赤星慶治海上幕僚長が同日の記者会見で明らかにした。
 防衛省によると、ヘリは8日午前、東シナ海中部海域を航行中の護衛艦「すずなみ」に接近。最接近時の水平距離は約90メートル、高度は約30メートルで、乗組員が安全航行上危険だと感じたという。
 中国海軍の艦艇は7日から9日にかけて同海域で艦載ヘリの飛行訓練を実施しており、接近したのは訓練中の艦載機とみられる。 
 ヘリを搭載した艦艇はこの後の10日夜、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過して硫黄島方面に向かった。(2010/04/13-17:50)

(参考6)中国海軍ヘリ接近 東シナ海 (2010年4月14日) 東京新聞 朝刊http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010041402000046.html
 赤星慶治海上幕僚長は十三日の会見で、中国海軍の艦載ヘリコプターが八日、東シナ海で警戒監視中の護衛艦「すずなみ」に距離九十メートル、高さ三十メートルまで接近して飛行したことを明らかにし、「護衛艦の航行に影響が出た」と述べた。
 外務省は十二日、中国大使館に事実確認を申し入れ、「危険な飛行だった」との日本側の認識を伝えた。中国側は「事実を確認をする」と回答した。
 国際民間航空機関(ICAO)は民間航空機が艦船に百五十メートル以上近づかないよう定めているが、軍には適用されない。艦載ヘリは操縦席の扉を開け、護衛艦を撮影した。
 艦載ヘリは、中国海軍東海艦隊十隻による訓練に参加中で、この十隻は十日、沖縄本島と宮古島の間の公海を抜けて太平洋に進出した。大規模な訓練を実施中とみられ、海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が監視している。一度に十隻の中国艦艇が日本周辺に現れたのは初めて。

この記事へのコメント

嫌虚
2010年04月16日 11:33
この中国戦艦の沖縄と宮古島間の通過の記事ですが、なぜかマスコミは皆公海としている。こちらの記述だけが排他的経済水域となっている。北沢防衛大臣が公海と言ったのかどうかは審らかではないが誰も訂正しないのが不思議だ。沖縄と宮古島の間に公海があるなんて普通に考えてもおかしい。
さらにその後の中国艦の動きについても追跡もしていないようだ。日本のごく近海で他国戦艦が動いていても監視もしない政府ではどう考えても日本を守る気持ちがあるとは言えない。
2010年04月19日 10:01
嫌虚 様
コメントを有難うございました。お返事が遅れ、申し訳ありません。
1982年に作られた「国連海洋法条約」によると、
「領海」は12海里以内、
「公海」は12海里外、
「排他的経済水域(EEZ)」は200海里以内
と定められています。
したがって外国船は領海外の公海上は航行できます。
ただし200海里以内のEEZライン内では、他国が漁業資源や海底の鉱物資源を調査したり、捕獲、採掘することはできません。

嫌虚
2010年04月21日 00:31
東郷様
ご返事ありがとうございます。沖縄と宮古島の間の海の表現があらゆるメディアで貴殿と違い「公海」となっているのがコメントの始まりです。
海上保安庁のHP http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html では公海は排他的経済水域の外側になっています。貴殿の記述によると海上保安庁はおかしいということになりそうですね。
ただ記事の正確さの観点から言うとやはり「中国艦船が日本の排他的掲載水域内を航行した。」というべきかと思います。中国の排他的経済水域内で…という記事は良く見ましたから、同様の表記法に従うべきでしょう。
2010年04月21日 10:37
嫌虚 様
コメントを有難うございました。
貴殿のご意見を拝聴いたしました。ご教示有難うございました。
先のコメントでは
http://www.kaijipr.or.jp/mamejiten/shizen/shizen_24.html
の記事を参照しました。しかしこの記事には、
「公海」は12海里外などとは、どこにも書いてありませんでした。これは排他的経済水域が設定される以前であれば正しかったのでしょう。現在は、国連海洋法条約で、公海は排他的経済水域外、すなわち200海里外として定められているようです。
そして排他的経済水域は、沿岸国の権利と沿岸国ではない他国の自由通航の確保という矛盾する要請を同時に満足させるための方策として考え出されたもののようです。
要するに、国際的に排他的経済水域を設定することにより、沿岸国に対しては、200海里内での経済的主権に限定して主権を認める代わりに、他国の自由航行は可能とする水域を確保したわけです。
以上はWikipedia の「排他的経済水域 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E4%BB%96%E7%9A%84%E7%B5%8C%E6%B8%88%E6%B0%B4%E5%9F%9F」を参照にしたものです。

したがって、新聞記事等の、『中国艦船が「公海」を航行した』という記述は明らかに間違いで、貴殿のご主張のように、「公海」は、「排他的経済水域」と書き直されるべきです。記事の本音は、中国艦船が領海内に侵入したのではないということを主張したかったのでしょう。それにしても、EEZライン内では、他国の艦船の航行が許されているとは言え、他国の軍艦が思うままにのさばるのは決して状態とは言えません。制海権が他国に奪われたような気がします。


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