天皇陛下に皇居移転を言う亀井氏の憲法無視の不用意発言

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12月28日のJ-CASTのネット報道は、亀井静香郵政・金融担当相が、12月27日(日)のテレ朝の番組「サンデープロジェクト」で、天皇陛下との会話の内容を明らかにしたことを報じている。詳しくは(参考1)を参照されたい。この問題で、筆者は①会話の内容の正しさ、②会話の内容を漏らしたことへの正当性、③鳩山内閣の企図の代弁ではないか、などについて疑問を持った。

この記事では、①のみについて注目してみたい。

亀井氏は、天皇陛下に「権力の象徴であった江戸城(現皇居)にお住まいになられるのではなくて、京都かあるいは(亀井氏の地元の)広島とかに(お住まいになれば)」と申し上げたそうである。

この発言は、「江戸城が権力の象徴である状態が現在も続いている」ことを前提にしている。そして「それが故に天皇陛下が東京にお住まいになることを否定しようとしている」ものである。

江戸城は確かに1603年(慶長8年)徳川家康が征夷大将軍として日本を支配し、1867年(慶応3年)の大政奉還までの265年間は徳川幕府の権力の象徴であった。大政奉還後の明治元年(1868年)から昭和20年(1945)までの76年間は、明治22年(1889年)に発布された大日本帝国憲法が、その第1条で、「大日本帝国は万世一系の天皇之を統治す」規定しているように、皇居は日本統治という権力の象徴であったことは間違いない。
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しかし昭和21年(1946年)以降、現在の平成21年(2009年)に至る64年間は権力の象徴であったとは言えない。昭和22年(1947年)に施行された日本国憲法では、その第1条で、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定しており、天皇には日本の統治権はない。従って天皇陛下のお住まいである皇居は、既に権力の象徴としての価値を失っている。この意味で亀井氏の発言は間違っている。

さらに、確かに京都には、794年の平安京遷都以来、明治2年(1869年)の東京遷都までの1176年間、京都御所と言われる皇居が存在した。しかし旧京都御所の財産所有権はどうなっているのか。さらには広島には皇室に関係した何等の土地・建物も損辞しない。現在の皇居に関する財産所有権の問題は筆者のあずかり知らぬところであるが、簡単に天皇陛下のお住まいを変えようとする発想は、財産所有権の問題も含めて、極めて疑問である。しかも事、皇室に関する問題である。如何に亀井大臣であろうとも、発言がおかしい。

さらに憲法第7条は、天皇の十項目にわたる国事行為を規定している。この国事行為は天皇陛下が、日本政府の存在する東京に居住されてこそ、それらの国事行為の遂行が可能である。現在の皇居を捨てて別の場所に移られた状態では、これ等の国事行為の遂行は不可能である。亀井大臣はこれ等の事実を無視した発言をしている。

さらには天皇陛下は、日本国の象徴として諸外国からの賓客とお会いになることが、定例となり、国内外にそれが定着している。さらに天皇に係る数々の宮中行事があり、皇室と国民との間の新年参賀等の行事など無視できない。今回の亀井大臣の発言は、現状を無視し、日本国民統合の象徴である天皇の立場を無視した憲法違反につながる発言である。

許すことはできない。

*******************(終わり)******************


(参考1)亀井氏が天皇陛下との会話漏らす 過去には辞任した閣僚も (2009/12/28 19:03) J-CASTニュース (http://www.j-cast.com/2009/12/28057147.html)
亀井静香郵政・金融担当相がテレビ番組の中で、天皇陛下に会った際、「権力の象徴であった江戸城にお住まいになられるのは、立場上相応しくないのではないか」と伝えた、と明かした。閣僚が天皇陛下との会話の内容を明らかにするのは極めて異例。過去には昭和天皇との会話をマスコミに漏らして辞任した閣僚もおり、亀井氏の発言は議論を呼びそうだ。
亀井氏は2009年12月27日、テレビ朝日の報道番組「サンデープロジェクト」に出演した。この日の放送は「鳩山政権100日記念」として、亀井氏のほか民主党の菅直人副総理や、社民・福島瑞穂党首、自民・谷垣禎一総裁など、党首級の8人が登場。米軍普天間基地移設や、鳩山総理の偽装献金問題など、現政権が抱えている懸案について議論した。
「陛下は『京都、好きです』とは言っておられた」
その中で、天皇の政治利用について討論した際、亀井氏が
「先日、天皇陛下と殿下にお会いしたとき、権力の象徴であった江戸城(現皇居)にお住まいになられるのではなくて、京都かあるいは(亀井氏の地元の)広島とかに(お住まいになれば)と恐れ多くも申し上げた」
と明かした。「権力の象徴であるお城にお住まいになられるのは、お立場上、相応しくないんじゃありませんか」と伝えたという。
亀井氏が陛下と会話したのは、12月24日、鳩山首相も参加した宮中昼食会と見られている。番組内では「陛下は黙って聞いておられました」としていたが、その後、報道陣の取材に対して「陛下は『京都、好きです』とは言っておられた」と暴露した。
73年には内奏漏らして防衛庁長官が辞任
政治的な利用を避けるため、閣僚は天皇とのやり取りを明かさないというのが慣例となっており、亀井氏の発言は極めて異例だ。
1973年には、当時の増原恵吉防衛庁長官が、昭和天皇に防衛問題について内奏(説明)後、記者に「昔の軍隊は悪い面もあったが、そこはまねてはいけない。良い面を取り入れてしっかりやって欲しい」などの昭和天皇の言葉を漏らした。これが国会で「天皇を自衛力強化に利用しようとした」として問題になり、辞任している。
01年にも、当時の田中真紀子外相が、国際情勢を内奏した際の陛下の発言を、外務省幹部に漏らした疑惑が浮上。田中外相自身は否定したが、「本当なら切腹もの」などと週刊誌が書き立てた。
それだけに、今回の亀井氏の発言も議論を呼びそうだ。平野博文官房長官は09年12月28日の会見で亀井氏の発言に触れ、「閣僚としての発言ではないと思う。亀井静香代議士の発言だろう」とし、あくまで亀井氏個人としての発言だと強調。「(皇居移転を)政府として考えているわけではない」と説明している。

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