北朝鮮と中国の軍事協力強化は何を意味するか?

先に発表した筆者の記事 『(参考1)』で、
中国の温家宝首相は、10月4~6日の3日間にわたって北朝鮮を訪問し、10月4日に、北朝鮮と中国政府は、万寿台(マンスデ)議事堂で「経済援助に関する交換文書」など諸種類の協定と合意文、議定書、覚書きなどに調印した。
ことを述べた。北朝鮮が、今年、4月5日には長距離弾道ミサイル実験を、5月25日には核爆発実験を行い、国連安全保障理事会は、6月12日、北朝鮮に対し核開発や弾道ミサイル開発計画の廃棄を求める制裁決議を全会一致で採択している。北朝鮮は国連安保の決議に従って制裁を受けている最中である。北朝鮮の周辺諸国であり、六ヶ国協議への参加国でもあり、しかもその幹事国である中国としては、極めて理解に苦しむ行動である。

中国は、このような行動をとっているにもかかわらず、今月(11月)17日のオバマ米大統領と胡錦濤中国国家主席との共同声明では、(参考2)に示すように、
北朝鮮核問題で6カ国協議のプロセスを進め、05年9月の共同声明( 『(参考3)』を参照)を実行することの重要性を確認。各国と協力し、対話を通じて協議の目標を全面的に実現させたい。中国は米朝間のハイレベルの接触を歓迎。米中とも協議の早期再開を希望する。
と言っている。何か中国が中米間で言っていることと、実際の行動は大いに異なっているように見える。いや、そう見えるのではなく、大いに異なっている事は(参考1)の報道で明らかである。

(参考4)の韓国紙「中央日報」は、
北朝鮮・平壌(ピョンヤン)を訪問中の中国の梁光烈国防部長は22日、金永春(キム・ヨンチュン)北朝鮮人民武力部長が主催した宴会で「朝中両国の軍隊と人民の団結した力は永遠だ」と述べた。
ことを報じている。

これは何を意味するのであろうか。中国と北朝鮮の国防省ともいうべき軍部の総責任者同士が、露骨に中朝間の軍事同盟を強調しているように見える。と同時に中国の軍隊は、北朝鮮の中に政変でも起きようものなら、たちまち中国が北朝鮮へ乗り込み、天安門事件で行ったような軍事力による鎮圧を試みる可能性を物語っている。中国は、北朝鮮の政変が、韓国や米国の介入を許すことを極端に嫌っているように思える。もっと穿った見方をすれば、中国は北朝鮮に、何らかの政治的変化や内乱でも起きようものなら、それを理由にして北朝鮮を完全に中国に併合することを狙っているのかもしれない。北朝鮮の現状は、極めて危険な状態にあると言える。

*****************(終わり)**********************

(参考1) 断じて許せぬ!! 「中国の北朝鮮への経済援助」 (作成日時 : 2009/10/09 23:59) 東郷幹夫の思いつくまま日記
(参考2)米中共同声明詳報 (2009/11/17 20:50 更新) さきがけ onTheWeb|秋田新報社
米中両政府が17日発表した共同声明の要旨は次の通り。
一、胡錦濤中国国家主席の招請でオバマ米大統領は2009年11月15日から18日まで中国を公式訪問。両国首脳は深く、率直な会談を行い、豊富な成果があった。双方は米中国交30年来の関係発展を積極的に評価し、新時代の関係発展推進について合意した。
<中略>
一、北朝鮮核問題で6カ国協議のプロセスを進め、05年9月の共同声明を実行することの重要性を確認。各国と協力し、対話を通じて協議の目標を全面的に実現させたい。中国は米朝間のハイレベルの接触を歓迎。米中とも協議の早期再開を希望する。
<後略>

(参考3)第1346回 「 6ヶ国協議 共同宣言の意味 」 (2005年9月19日 月 開会
<前略>
第4回6カ国協議共同声明(全文)
  2005年9月19日 北京
  2005年7月26日から8月7日まで及び9月13日から19日まで、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本国、大韓民国、ロシア連邦、アメリカ合衆国は中国・北京で第4回6カ国協議を行った。
  中国外交部・武大偉・外務次官、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)外務省・金桂冠(キム・ケグァン)外務次官、日本外務省・佐々江賢一郎アジア大洋州局局長、韓国外交通商省・宋旻淳(ソン・ミンスン)次官補、ロシア外務省・アレクセーエフ次官、米国国務省(東アジア・太平洋担当)・クリストファー・ヒル国務次官補がそれぞれ代表を務めた。
  中国外交部・武大偉・外務次官が協議を主催した。
  6カ国は朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定という観点から出発し、相互尊重、対等な関係による協議の精神に基づき、これまで3回の6カ国協議の共通認識の基礎として、朝鮮半島の非核化という目標を実現するために、真剣で、実務的な協議を行い、以下の合意に達した。
【1】6カ国は、平和的な方法による、核査察を行い、朝鮮半島の非核化を実現することが6カ国協議の目標であることを重ねて申し合わせた。
 北朝鮮は、一切の核兵器及び現在の核計画を放棄し、早期に「核拡散防止条約」(NPT)に復帰し、及び国際原子力機構(IAEA)の監督の下に戻ることを承諾した。
 米国は、朝鮮半島に核兵器がなく、核兵器や通常兵器を用いて、北朝鮮を攻撃したり、侵攻したりする意思がないことを確認する。
 韓国は、1992年の「朝鮮半島非核化宣言」に基づいて、核兵器を搬入・配備しないことを承諾し、韓国内に核兵器がないことを確認する。
 1992年の「朝鮮半島非核化宣言」を遵守・実行すべきである。
【2】6カ国は、「国連憲章」の主旨と原則および各国が公認する国際関係に基づいて、お互いの関係を処理することを承諾する。米国と北朝鮮は、相互の主権を尊重し、平和共存し、各自の政策に基づき、徐々に関係正常化を実現することを承諾した。日本と北朝鮮は、「日朝平壌宣言」に基づき、過去の歴史を清算し、懸案を適切に処理するという基礎に基づいて、徐々に関係正常化を実現することを承諾した。
【3】6カ国は、2カ国間および多国間において、エネルギー、貿易、投資分野の経済協力を促進することを承諾した。中国、日本、韓国、ロシア、米国は、北朝鮮にエネルギーを援助することを望んでいることを示した。韓国は、2005年7月12日に提示した北朝鮮への200万キロワットの電力援助案を再度申し出た。
【4】6カ国は、東北アジア地域の持続的な平和と安定に向けて、共同で努力することを承諾した。当該国は、個別に交渉を行い、朝鮮半島の永久的な平和メカニズムを構築するよう努力する。6カ国は、東北アジアの安全協力を強化するための道を模索することに同意した。
【5】6カ国は、「承諾には承諾で、行動には行動で応じる」という原則に基づき、一致協調した歩調で、段階的に上述の共通認識を実現していくことに同意した。
【6】6カ国は、第5回6カ国協議を2005年11月に北京で開催することについて合意した。具体的な日程は別途協議する

(参考4)平壌入りした中国国防部長「朝中軍隊の団結は永遠」 (2009.11.24 12:07:43) 中央日報
北朝鮮・平壌(ピョンヤン)を訪問中の中国の梁光烈国防部長は22日、金永春(キム・ヨンチュン)北朝鮮人民武力部長が主催した宴会で「朝中両国の軍隊と人民の団結した力は永遠だ」と述べた。
韓国戦争(1950~53)に参戦した経験がある梁部長の訪朝は06年4月の曹剛川国防部長以来、3年7月ぶりとなる。梁部長の訪朝をはじめ、最近、朝中間では高官レベルの軍事交流が盛んに行われている。19日には北朝鮮軍部の主要人物とされる金正覚(キム・ジョンガク)軍総政治局第1副局長が中国・北京で徐才厚中央軍事委員会副主席に会った。3日には金光秀(キム・クァンス)空軍副司令官が中国を訪問した。
韓国外大中国学部の呉承烈(オ・スンリョル)教授は「中国が対北制裁の局面を脱却、北朝鮮軍部への管理など介入政策に転じた雰囲気」という見方を示した。専門家は、先月初旬の温家宝・中国首相の訪朝や対北援助の約束を前後にした軍事交流という点に注目している。 金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の後継づくりで中心的な役割を果たす軍部を管理する一方、北朝鮮の急変事態時に介入できる軍部ラインを築くレベルという分析もある。国防大のキム・ヨンス教授は「温首相が平安南道(ピョンアンナムド)にある毛岸英(毛沢東元主席の息子で、韓国戦争時に北朝鮮で戦死)の墓地を訪問し、朝中友好をアピールした後、軍事交流が大きく強化された」と指摘した。 しかし具体的な成果より象徴的なレベルにとどまるというのが大方の見方だ。統一研究院の鄭永泰(チョン・ヨンテ)上級研究員は「武器の援助など実質的な軍事協力は秘密裏に行われる」とした後「官営の媒体を通じて公開したのは、対外的にアピールするためのものかもしれない」という認識を示した。




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    Excerpt: 大阪市鶴見区では、十数年前から中国人の大量移民による、現地住民とのトラブルが発生している。毎週日曜日になると、中国人たちが住宅街を不法占拠し、中国人の朝市が行われているのだ。 Weblog: 風林火山 racked: 2009-11-28 00:46