鳩山・オバマ会談の問題点

画像

9月23日午前、握手するオバマ米大統領と鳩山首相(注)

鳩山首相は、9月23日午前、ニューヨーク市内のホテルで、オバマ大統領と約30分間会談したことを、(参考1a)と(参考1b)に示す朝日新聞の記事が伝えている。この会談は先ずは日米両首脳の信頼関係の構築が目的であろうから、詳細な話し合いはできなかったことは事実である。しかし短い時間であればある程、肝心なことは、念を押しておかねばならない。このような立場から、筆者の感じた問題点を、列挙しよう。

(1)北朝鮮問題
北朝鮮の核問題で六カ国協議を通じて、日米が協力することを確認している。しかし国連が5月に出した安保理決議の厳重な実施とそれの確認にたいする言及が欲しかった。さらには日本には拉致問題がある。鳩山首相の「北朝鮮の核放棄と体制保持を引き換え条件にしてはならない」ことへの言及が不明確であった。体制保持は人権抑圧の是認、ひいては拉致問題の無視に繋がるからである。

(2)温暖化対策
オバマ大統領は、鳩山首相が国連で、「2020年のCO2削減目標を90年比25%とする」ことを国際公約としたことを評価したそうである。しかしこの数値は、鳩山首相の勇み足に過ぎる気がする。わざわざこちらから法外な数字を出して見せるのはその場限りのスタンドプレーのような気がする。もし実現できなければ、国際的な信用の失墜につながる。麻生内閣は8%という数字しか出せなかった。鳩山首相は20%という数字の科学的根拠を国民の納得が行くように説明せねばならない。

(3)核廃絶の確認
核廃絶の根本理念を確認をし合うのは結構である。しかし問題はそこに至る過程である。核廃絶への過程で、核攻撃を受ける可能性が発生したらどうするか。核廃絶の過程では、常にこのような危険が存在している。このような場合にたいする防御策は担保されねばならない。日本は好むと好まざるとにかかわらず、米国の傘の下に入らざるを得ない。鳩山首相は安保条約の堅持と日米同盟の重要性を、この会談で確認しているから、米国の核の傘に入ることは担保されているはずであるが、再確認が必要であった。現在、鳩山内閣は核密約を穿り回しているが、米国の核の傘に入ることを否定出来ないとすれば、矛盾した話である。

(4)アフガン政策
鳩山首相は、来年1月で「インド洋での給油活動を停止したい」とは言わなかったが、それに近いことを言った。すなわち、アフガンでの援助活動は「民間人の再教育」に力を注ぎたいと言った。謂わば、「給油活動」を止めて、その代りに「民間人再教育活動」でお茶を濁そうというわけである。要は、アフガン戦線に実戦部隊は派遣したくないという意思表示である。世界各国がアフガン戦線に参加していると言うのに、これが許されるのであろうか。

(5)日米安保条約の再確認
鳩山首相は、日米安保条約を日本の外交基軸とすること、さらには日米同盟を重要視することを表明し、鳩山内閣が「東アジア共同体」とか仮称する「東アジア諸国連合」を模索しかねないと疑っていた人々をひとまず安心させたかもしれない。しかし同盟とはどういうものか、よく考えねばならない。一方が他方を守るだけでは同盟とは言えない。双方が相手を守る立場に立たねば同盟とは言えないことをよく認識せねばならない。

総じて言えることは、民主党はマニフェストの中の汚れた間違いには拘ることはない。間違っている点は間違っていたと国民に謝る勇気が必要である。さらに言えば、すべて緻密な計算と裏ずけによって政策を実行しているという印象を国民に与えねばならない。そうしないと、国民は民主党について行かないだろう。今のところ綿密かつ緻密な政策検討が行われて、マニフェストが作られたとは、信じ難い。国民は民主党政府に騙されてはならない。

********************(終わり)*********************


(注)この写真は(参考1)から借用した。朝日新聞社に謝意を表する。
(参考1a)日米同盟の強化一致 鳩山首相、オバマ大統領と会談(1/2ページ) (2009年9月24日1時19分) 朝日
(http://www.asahi.com/politics/update/0923/TKY200909230223.html)
 【ニューヨーク=村松真次、藤田直央】鳩山由紀夫首相は23日午前(日本時間同日夜)、オバマ米大統領とニューヨーク市内のホテルで約30分間会談した。米国、日本で相次いで「政権交代」を果たした両首脳の初顔合わせ。首相は大統領を変革のパートナーと位置づけ、地球温暖化対策や核廃絶でも緊密に連携することを確認した。両首脳は日米同盟の強化でも一致。大統領が11月に初来日することも確認した。
 首相は来年1月に期限が切れるインド洋での給油活動の扱いや、連立合意に盛り込んだ日米地位協定改定の提起、在日米軍再編・基地のあり方の見直しなど各論には触れず、信頼関係の構築を最優先。会談後、記者団に「信頼のきずなができた」と成果を語った。
 日本側の説明によると、首相は「日米同盟を外交の基軸として重視していく」と従来の政府方針の継承を表明。「日米安保体制はアジア太平洋地域の平和と安定の礎であり、いかなる問題も同盟の基軸を強化する形で協力したい」と強調した。  首相はまた、核廃絶に向けた大統領の4月のプラハ演説に「非常に感激した」と述べ、「核のない世界をつくるために、2人で先頭を切って走ろう」と呼びかけた。
 アフガン支援については、「自らの問題として、日本にできうる復興支援に積極的に取り組みたい。我々が得意とする分野で積極的に貢献したい」と述べ、具体的には農業支援や元兵士の職業訓練などをあげた。大統領は「大変ありがたい」と応じた。

(参考1b)日米同盟の強化一致 鳩山首相、オバマ大統領と会談(2/2ページ) (2009年9月24日1時19分) 朝日
(http://www.asahi.com/politics/update/0923/TKY200909230223_01.html)
 両首脳は温暖化対策での協力も確認。大統領は首相が温室効果ガス削減の中期目標で、麻生前政権を大幅に上回る「90年比25%」を国際公約にしたことを評価。 両国はともにポスト京都議定書の枠組みに中国など途上国を取り込む必要性で一致しており、12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)に向け、連携を進めることで一致した。
 北朝鮮については核兵器の保有と開発を認めないことで一致。問題解決の最も有効な枠組みが6者協議であり、米朝協議がその枠組みの中で核の放棄に資する形で行われることが重要だと確認した。拉致問題について首相は大統領に支援の継続を求めた。
■日米首脳会談のポイント
・日米同盟が両国の安全保障と繁栄の基盤と確認
・気候変動、アフガン・パキスタン、テロ対策の協力で一致
・核軍縮、核不拡散のための緊密な連携で一致
・6者協議が北朝鮮問題で最も有効な枠組みとの認識で一致
・11月の大統領訪日を確認

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス

この記事へのコメント

2009年09月25日 06:30
ITUKYUU様
小生の記事をご採用いただき、さらに注解文を作成していただき、有難うございました。「北朝鮮問題」と「日米安保条約の再確認」に関する貴殿の記述は、まさに正鵠を射たものと思えます。もう一度詳しく検討させていただきます。
2009年09月25日 09:43
C/Bに感謝致します。以下参照ブログのご紹介です。御一見戴ければ幸甚です。
屁こきマダムのブログ
国民が選んだ民主党に大いに期待します。  作成日時 : 2009/09/08
http://41417573.at.webry.info/200909/article_10.html 
ブログ“薔薇、または日だまりの猫”さんの記事を下記に転載します。

この記事へのトラックバック

  • 警告 日本崩壊へのカウントダウン 青山繁晴 

    Excerpt: 昨日の9月23日、関西テレビの「スーパーニュースアンカー」で、 ジャーナリストの青山繁晴氏は、痛烈に鳩山政権(実質、小沢政権)を批判し、 国民は早く気づくべきであり、「やり直すなら今の内」、「もう.. Weblog: 風林火山 racked: 2009-09-24 21:27
  • 「鳩山・オバマ会談の問題点」について

    Excerpt: 「鳩山・オバマ会談の問題点」について (1)北朝鮮問題 鳩山首相の「北朝鮮の核放棄と体制保持を引き換え条件にしてはならない」ことへの言及が不明確であった。 体制保持は人権抑圧の是認、ひいては拉致.. Weblog: *自由の翼*ITUKYUU racked: 2009-09-25 06:01
  • 日中コンセンサス? 全体主義国家への危険な傾斜

    Excerpt:   ||| 日中コンセンサスはあったのか? |||  危機を招く鳩山政権の中国急接近。防衛・外交面の日米同盟の重要性に目覚めよ!  日本の政治の地殻変動。新設「国家戦略局」が暗示する全体主義へ.. Weblog: 米流時評 racked: 2009-09-25 14:44
  • 鳩山・オバマ初の首脳会談

    Excerpt:  オバマ大統領は、国連総会で初めて一般討論演説を行い、テロや地球温暖化など多様な国際問題の解決は、「米国だけの努力では不可能」と率直に認め、世界はあらゆる国々の努力が必要な「新しい関与の時代」に入った.. Weblog: 丹国前向き新聞 racked: 2009-09-25 15:55
  • 青山繁晴がズバリ! 民主党 順番が違うぞ

    Excerpt: いくらマニフェストに掲げたからといって、それを国民がすべて支持したわけでもなく、まだ国会も始まっていないのに政府だからといって、経済対策や地方の特別交付金をストップするわ、ダムや高速道路無料化などにす.. Weblog: 丹国前向き新聞 racked: 2009-09-25 15:55
  • 大和撫子 そよ風の街宣 9.23

    Excerpt: 鳩山政権の売国政策(法案)、反日マスコミ、そして反日教育機関に対して、 日本の危機を危惧した普通の主婦、普通のOLたちが、「そよ風」を結成。 Weblog: 風林火山 racked: 2009-09-25 20:24
  • G20ショック!イランの秘密核施設暴露で開幕

    Excerpt:   ||| イラン秘密のクム地下核施設を暴露 |||  G20ショック! サミット開幕直前にイラン秘密のクム核施設を 米英仏が暴露   米国を代表する重工業都市、東部ペンシルバニア州のピッツ.. Weblog: 米流時評 racked: 2009-09-27 07:21
  • オバマは知っていた・2度ある核は3度ある

    Excerpt:    ||| 核施設暴露で孤立化するイラン |||  国際協定を3度も破棄したイランの核施設に、国連の経済制裁強化を図るオバマ  ブッシュ時代のイラン核摩擦との相違点: 英仏に加えロシア・中国.. Weblog: 米流時評 racked: 2009-09-29 21:07
  • これでいいのか?閣内・完全不一致のインド洋給油問題!!!

    Excerpt: 民主党・政権の中で、我が国の外交と防衛・安全保障の問題が、未だに明確になっていない。 Weblog: 東郷 幹夫の思いつくまま日記 racked: 2009-10-09 03:59
  • 「鳩山・オバマ会談の問題点」について

    Excerpt: 「鳩山・オバマ会談の問題点」について <岡田外相>「核の先制不使用」 米に求める方針 毎日新聞 10月18日20時    引用。  岡田克也外相は18日、京都市内で講演し、核保有国が核.. Weblog: *自由の翼*ITUKYUU racked: 2009-10-18 21:58