北の安全の保証は「核放棄」と「人権尊重」の両方である!

北朝鮮は米朝二国間協議で、核放棄の見返り条件として、現体制の保持を条件としていることは、すでに、筆者の記事『米国は北朝鮮の「核と人権」の包括的解決を!(作成日時 : 2009/09/18 16:48 ) 東郷幹夫の思いつくまま日記 (http://mikitogo.at.webry.info/200909/article_9.html )』 で述べた。しかし、北朝鮮のこの考えは間違っていることを、この記事の中で主張した。北朝鮮は、昨年暮れに、米国から「テロ支援国家指定の解除」を克ち取ることに成功した。この時も、六者協議での「核放棄への過程に関する条件」を飲むことを引き換え条件にした。

米国は、既にこの時、重大な過ちを犯している。何故なら、北朝鮮は、「核放棄」の見返りに、「人権無視の許容」というカードを克ち取ったからである。「人権無視の許容」には、勿論、「日本人の拉致問題」や「韓国人の拉致問題」も含まれている。米国は、ブッシュ政権からオバマ政権に代わってから、「テロ支援国家指定の解除」が早計であったとの反省があるのかもしれない。最近、北朝鮮と米国との間で、密かに行われたと言われる米朝二国間協議では、北朝鮮は、米国が切りかねない、「テロ支援国家指定の解除」の撤廃、すなわち「テロ支援国家への再指定」を先手を打って封じ込めようとした可能性がある。

すなわち、北朝鮮は「テロ支援国家の再指定の拒否」を、「北朝鮮の体制維持」という言葉で置き換えたのである。
米国のクリントン国務長官にこれが分からぬはずはない。果たして米国はどのような外交手段に訴えるであろうか。

筆者が言いたいのは、『北朝鮮の「核放棄」も、「体制維持=人権無視」も、同列に論じられねばならぬ問題である』ということである。外交上、この両方は、一方を他方の引き換え条件にできない重要性を持っている。筆者が先の記事で、米国は、北朝鮮の「核と人権」の包括的解決を計らねばならないことを主張したのは、このためである。米国が、北朝鮮と密かに2国間協議を行うのは、米国の勝手である。しかし拉致問題を抱える日本にとっては、米国が勝手に人権問題で妥協してしまうことは、著しく不利を招く結果となる。日本には許し難いことである。

さらに又、ここへ来て、外交上、好ましからざることが、つい最近、起きた。(参考1)の朝日の記事が述べている内容である。21日の国連での韓国大統領イ・ミョンバク(李明博)氏の演説である。
同氏は北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)体制に「安全の保証」を与えることで核放棄を導き出す考えを正式に表明した。この取引に応じることが、体制の存続にとって「最後のチャンス」とも語り、核の放棄と6者協議への復帰を決断するよう求めた。
そうである。韓国は、日本と同様に拉致の問題を抱えながら、日本ほどには、拉致問題に鋭敏ではない。今回のイ氏の国連演説は、日本および韓国の拉致問題が棚上げにされかねない危険性を持っている。

イ氏はそれを承知で、米朝2国間接近を許し、核問題と人権問題が外交上引き換えにされることを許したことになる。韓国大統領は、日本の拉致問題や韓国のそれよりも、米国の外交の停滞を恐れたかに見える。

筆者は、イ・ミョンバク氏の国連演説の内容に反対である。むしろ国連が、今年5月の北朝鮮の核実験と弾道ミサイル発射実験にたいして下した北朝鮮への安保理決議が再確認されるべきであり、北朝鮮への締め付けはさらに厳重に行われるべきである。ややもすれば、時間とともに、安保理制裁決議が、実行されなくなるのは極めて遺憾である。日本は、先頭を切って安保理決議の実行に邁進すべきであり、安保理決議の履行が再確認されるべきである。

にもかかわらず、新政権・鳩山内閣は北朝鮮にたいし、何らの意思表示もせず、韓国にたいしては、極めて低姿勢である。果たして、これで日本の外交が円滑に推進され、拉致問題が解決されるのか極めて微妙である。一体、岡田外相は何を考えているのか。米国との密約を暴き立てる前に、もっとするべきことがあるのではないか。国家間の問題は「友愛精神」だけでは通用せぬ問題を以ている。友愛精神は相手によって使い分けせねばならないのである。


********************(終わり)**********************


(参考1)北朝鮮に「安全の保証」、核放棄迫る 韓国大統領が講演 (2009年9月22日21時29分) 朝日 印刷
【ニューヨーク=村山祐介】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は21日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)体制に「安全の保証」を与えることで核放棄を導き出す考えを正式に表明した。この取引に応じることが、体制の存続にとって「最後のチャンス」とも語り、核の放棄と6者協議への復帰を決断するよう求めた。国連総会で訪れた当地での講演で語った。
 大統領は北朝鮮が核放棄の意思を見せず、「対話と緊張の繰り返しに終始してきた」と批判。このパターンを打破するため、北朝鮮を除く5者が「明確な行動計画」で合意する必要を強調し、北朝鮮が核兵器開発計画の主要な部分を放棄する見返りに、5者は安全の保証や経済支援をすべきだとの考えを示した。
 李大統領は、これを受け入れることが北朝鮮にとって「生き残りを確かなものにする唯一の道」と述べた。
 一方、同行した柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は同日、クリントン米国務長官と会談し、北朝鮮への国連安全保障理事会の制裁決議の履行を引き続き徹底することなどで一致した。同席したキャンベル米国務次官補は会談後、記者団に「韓国のメッセージの基調は、米国が北朝鮮と慎重に直接交渉することに備えはできているというものだった」と述べ、米国が検討している米朝直接対話への支持が得られたとの認識を明らかにした。




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