「日本を裏切りかねない米国の重大な方針転換」について

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図1 第1列島線と第2列島線

日本を裏切りかねない米国の重大な方針転換」について

筆者の最近の記事『日本を裏切りかねない米国の重大な方針転換 (作成日時 : 2009/08/01 23:59) 東郷幹夫の思いつくまま日記』にたいして、「大和」氏より、8月20日(2009/08/20 17:57)のコメントとして、貴重なご意見をいただいた。ここでは、大和氏のご意見にたいする当方の返答の形式で一文を作成した。それを下記に示す。

①いきなり太平洋2国分割は考え難く、おそらく2国間でソフトランディングを模索している段階だと思うのですが、当面、尖閣諸島における日本の施政権はそのままで、領有権は中国に渡る可能性が高いと見ております。
●筆者見解:中国人民解放軍の海軍は、すなわち中国は、いきなり図1の第2列島線を要求することはできず、第1列島線を要求して来るでしょう。第1列島線は、図1に示すように、日本の九州南部の南西諸島、沖縄列島を含み(勿論、尖閣諸島も含む)、さらに台湾東部の海域から南方海域を通り、フイリッピン東部海域を通り、ベトナム南岸に至る長大な列島線です。この海域には日本の領土、領海全域、黄海全域、東シナ海全域、南シナ海全域に至る広大な領域が含まれます。

第一列島線の要求自体と、このような話を、米中2国間のみで持ち出すこと自体、中国は勿論、米国自身が同盟国日本を裏切る行為です。さらに貴殿の言われる尖閣諸島の領有権は中国に、施政権は日本になどということは、あり得ない欺瞞です。領土でもない所に施政権はあり得ません。かりに米国がそれを許すとすれば、米国は禁反語則を犯したことになります。

河村官房長官は3月5日夕、中国も領有権を主張する尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されるかどうかについて「米国政府から、米国の見解は従来のものであって変更していないと確認を得た」と述べ、オバマ政権下でも適用されるとの見解を示しております。そして「尖閣諸島は日本国政府の施政権のもとにある。日米安保条約第5条は日本の施政のもとにある領域に適用されることを米国に確認した」とも語っています。この件については、小生の記事 『米国、尖閣諸島を日本領土として認識済み! (作成日時 : 2009/03/08 17:53 )東郷幹夫の思いつくまま日記 (http://mikitogo.at.webry.info/200903/article_10.html)』 をご確認下さい。なお上記の赤文字部を『尖閣諸島領有・河村発言』と仮称しましょう。

②上海万博が終わったあと中国による領海侵犯が頻繁になり、台湾も実質香港と同じ扱いになるで『しょう。
●筆者見解:確かに現在でも中国の潜水艦は我が領海侵犯を繰り返しています。これについては、筆者の記事、

国籍不明潜水艦の四国沖領海侵犯の意味するもの(A) (作成日時 : 2008/09/15 23:59)』、
国籍不明潜水艦の四国沖領海侵犯の意味するもの(B) (作成日時 : 2008/09/18 05:47)』、
国籍不明潜水艦の四国沖領海侵犯の意味するもの(C) (作成日時 : 2008/09/23 23:59 ) 』 、
国籍不明潜水艦の四国沖領海侵犯の意味するもの(D) (作成日時 : 2008/09/24 17:33 )

等をご参照下さい。ましてや来年2010年5月の上海万博に成功すれば、中国の受ける経済効果は20兆円とも言われ、その余勢を借りて、日本領海の侵犯はますます激しくなるばかりでしょう。

さらに台湾については、中国は、最近、頓に自国領土呼ばわりを開始し始めました。最近の台湾の台風災害にたいする救助活動は、他国を抜きんでて急速かつ大量多額であり、米国が沖縄駐在の軍用機で救援物資を送っています。日本は完全に出遅れました。中国のこの行為はますます台湾でのプレゼンスを増すものです。国民党の馬英九氏が総統に選ばれた時から、この傾向は始まっていました。米国の台湾関係法は一体、何だったのでしょうか。
日米間の同盟関係のすり合わせが、今一度必要です。

民主党は、台湾問題、尖閣問題、領海侵犯問題、日米同盟についてどう考えているのでしょうか。

③もし日本に対抗手段があるとすれば、その領海侵犯に対して実力行使で排除し、小競り合いをわざと起こし「尖閣諸島にて攻撃があった場合アメリカは対抗する」と言っている今、アメリカを引きずりだすしか方法がないのではないでしょうか。
●筆者見解:『尖閣諸島領有・河村発言』によれば、日米安保条約第5条は尖閣諸島にも適用されます。なお、念のため、この件は何度も米国に念を押す必要があります。尖閣諸島領有については、断固たる態度をもって臨むべきであることは、貴殿のご意見と同じです。武力には武力で対抗すべきだと思います。米国だけを頼りにせず、自分の国は自分で守る決意をするべきだと思います。既に日本は、東シナ海のEEZラインを、中国によって侵略されつつあります。これを黙って見ているから、侮られるのです。
ただもし仮に、民主党政権になった場合、彼らはどのような態度をとるのでしょうか?民主党は外交問題については全く未知数で不安な感じがしないでもありません。

④恫喝すれば黙って引き下がると思っている中国は、今後日米安保が解消しても迂闊には手を出せなくなり、核武装に対して合理的な理由にもなります。
●筆者見解:中国の恫喝には屈してはなりません。それは貴殿のお考えに同感です。ただ、現在、日米安保は日本の安全を守るためには是非とも必要だと思います。かりに民主党の政権になると、彼らは日米安保重視の姿勢を変えようとしていますが、これは邪道ですね。中国の思う壺だと思います。むしろ日米安保で日本の占める役割、集団的自衛を強化し、米国にも利益があるような方向を打ち出さない限り、米国は承知しないでしょう。

日本政府は、北朝鮮の驚異のみを喧伝しますが、怖いのは、北朝鮮の核弾道ミサイルよりも、実は、中国の核弾道ミサイルです。仮に日米安保が後退するようなことがあると、日本の独自核保有が戦略的に是非とも必要になります。日本が核を保有することは、極めて容易だと思いますが、現実に核実験の及ぼす人体への影響などを考慮すると、安易な選択は避けるべきだと思います。やはり日米安保の核の傘を信用し、核持ち込みに条件を付けないようにする必要があります。

⑤(かなり根回しと強引な外交手腕が必要ですが、まだそれが出来る経済力は残っていると思います)
●筆者見解:その辺の緻密な推定には、特殊な能力が必要だと思います。単なる想像や思い付きではなく、親中な恵さんが必要だと思います。

⑥その反面、米・中への経済交流は維持する2面外交が本来日本のとる道だとおもうのですが、領海侵犯に対してエネルギー庁と外務省が責任の擦りあいをしているような気概のない官僚には無理でしょうか。
●筆者見解:経済交流と武力外交の並立はやむを得ないでしょう。最近、官僚の縦のつながりよりも、横のつながりを重視しようという動きがあるようです。その成果を見たいと思います。

以上、「大和」氏の貴重なご意見にたいして、筆者の見解を申し延べた。外交・安保の問題には、政界再編が行われても、決して変わってはならない一貫した国の方針がなければならない。来たるべき選挙でどのような声援が誕生するか分からないが、我々国民は、この方針がいかに守られるか、細心の注意を払って見届ける必要がある。

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