台湾は断じて中国の「不可分領土」ではない

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台湾は台湾

先に、筆者の記事 『(参考1)台湾地位未確定発言は勇み足ではない!!! (作成日時 : 2009/05/06 21:28 )』で、台湾の地位の問題で、
日本の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が1日、(台湾南部・嘉義県での講演で)「サンフランシスコ平和条約で日本が台湾の領有権を放棄後、台湾の国際的地位は確定していない」と発言したことは、『4つの日中間政治文書の精神を堅持せよ』との中国側の主張に対する日本政府の回答と受け止めることができる
と主張した。事実、4月29日の麻生・温会談で温首相は、麻生総理に『4つの日中間政治文書の精神を堅持せよ』と迫った。これは『台湾は中国領土だということを忘れるな』という脅し文句である。4月30日の麻生・胡会談でも、胡氏は歴史問題尊重という言葉で日本に譲歩を迫った。(参考1)でも述べたように、4つの日中間の政治文書では、『日本は台湾は中国固有の領土であることを尊重する』と中国に言わされている。これらの文書を交換するたびに、中国は日本に対して、『台湾は中国固有の領土であることを認める』という文書を交換することを求めたことは間違いあるまい。何故なら、米中間で取り交わされている3つの共同コミュニケの中には、『台湾は中国固有の領土であることを認める』という文面が挿入されているからである。米国はこのような微妙なニュアンスには鈍感である。しかし日本はそれほど鈍感ではない。

筆者が主張しているように、斉藤・台北事務所・代表の今回の発言、『台湾の国際的地位は確定していない』は、上記の中国の『台湾は中国の固有の領土』見解にたいし、『台湾は中国の固有の領土ではない』との日本政府の見解を、斉藤・台北事務所・代表の今回の発言、『台湾の国際的地位は確定していない』という表現で中国に示したものと、筆者は受け取っている。

(参考1)によれば、この斉藤発言に対し、台湾の馬政権は、台湾を侮る無礼な発言として反発し、「1952年の日華平和条約で、台湾の主権が中華民国に戻った事実はすでに確認されている」と言明した。問題は、1952年当時の中華民国総統・蒋介石は国連を重視せず、後に中華民国を国連から脱退させてしまったことである。このため中華民国という国は、国連から存在を認められていないという事実がある。中華民国は、国際的に認知されておらず、国際的地位は確定していないのである。

(参考2)や(参考3)は斉藤発言に対する5日の中国の反発を述べている。例えば(参考2)は、
馬朝旭報道官は、「台湾は中国領土の不可欠な一部分である。これは、国際社会から公認されている事実である。『台湾帰属未定論』を作るいかなる企みも、中国の中心的な利益に対する挑発であり、中国政府と人民にとって絶対受け入れられないものだ」と強調しました。
と述べている。斉藤発言にたいし、極めて厳しく、挑発的でかつ奢り高ぶった挑戦的発言である。筆者個人としては、到底、許せぬ発言である。『台湾は中国領土の不可欠な一部』と如何にも高圧的である。 

これに対し、台湾外交部は12日に(参考4)に示すように反発している。
「日本が第2次世界大戦後に台湾を中華民国に返還したことは否定できない事実で、中国(中華人民共和国)の統治権は台湾に及ばない」とする声明を発表した。
筆者としては、中国の統治権は台湾には及ばないとする馬・台湾政権の見解を支持する。

日本は、何度も言うように、4つの日中間政治文書で、上述したように、 
『日本は台湾は中国固有の領土であることを尊重する』
という文言は交わしているが、いまだかつて
『日本は、台湾が中国固有の領土であることを認める』とは決して言っていない。今後は漸次、台湾は中国の帰属ではないことを強調してゆかねばならない。斉藤発言の『台湾帰属未定論』は台湾は台湾人のものであって中国領土ではないことを暗に意味する発言である。馬政権は、斉藤発言の本意を理解せねばならない。

我が国の政治家の中でも、台湾は台湾のものであって中国のものではないことを理解できない人が2,3人見られる。こういう人は日本の戦略的立場の理解できない欠陥人間である。


********************(終わり)***********************

(参考1)台湾地位未確定発言は勇み足ではない!!! (作成日時 : 2009/05/06 21:28 )
(参考2)中国外務省、日本の関係者の台湾問題についての発言に不満(2009-05-05 15:55:51 )
 中国外務省の馬朝旭報道官は5日、「中国は、日本交流協会の台北駐在事務所の斎藤正樹所長が『台湾地位未定論』を公然と発言したことに対して強く不満を表わす」と述べました。中国政府はすでに日本に厳しい交渉を示しました。
 馬朝旭報道官は記者会見で、「日本側は『さきの発言は日本政府の立場を代表しない。台湾の帰属問題で、1972年の『中日共同声明』に基づいて、日本政府は中国政府の「台湾が中華人民共和国領土の不可欠な一部分だ」との立場を十分に理解し、尊重している。日本のこの立場は変わりはない。今後も変わらない』と表明している」と語りました。
 また、馬朝旭報道官は、「台湾は中国領土の不可欠な一部分である。これは、国際社会から公認されている事実である。『台湾帰属未定論』を作るいかなる企みも、中国の中心的な利益に対する挑発であり、中国政府と人民にとって絶対受け入れられないものだ」と強調しました。(翻訳:玉華 チェック:大澤)

(参考3)中国も「強い不満」と反発 「台湾地位未定」発言に(2009.5.5 18:26)
 【北京=矢板明夫】日本の対台湾窓口である交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が講演で、台湾の帰属は定まっていないとする「帰属未定論」に言及したことについて、中国外務省の馬朝旭報道官は5日、「台湾の帰属未定論を持ち出すことは、中国の核心利益への挑戦であり、中国政府と人民は絶対に受け入れられない。日本側に対し厳正な申し入れを行った」と論評し、強い不満を表明した。
 斎藤代表の発言を受け、中国各紙は連日、「日本政府高官が台湾独立を支持する言論を発表」などと題して大きく報道した。インターネットでは日本政府や斎藤代表を批判する書き込みが殺到した。
 国際情報紙「環球時報」は斎藤代表について「在中国大使館の公使、駐カンボジア大使を歴任したが、李登輝(台湾元総統)に心酔しているといわれており、彼が『台湾地位(帰属)未定論』の考え方を持つことは驚くにあたらない」と指摘。発言の真意に関しては「最近の両岸(中台)の急接近に対し、日本政府内に不満をもつ人がおり、こうした政府内の右翼勢力(斎藤代表)が今回、馬英九政権の対日政策を測ろうとして、その反応を探るために発言したのではないか」と分析している。

(参考4)中国の「不可分領土」談話に反論=台湾
 【台北12日時事】台湾外交部(外務省)は12日、中国政府が先に「台湾は中国の不可分の領土」とする談話を発表したことについて、「日本が第2次世界大戦後に台湾を中華民国に返還したことは否定できない事実で、中国(中華人民共和国)の統治権は台湾に及ばない」とする声明を発表した。
 中国側の談話は、日本の対台湾窓口である交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が台湾の法的地位は定まっていないとする「地位未定論」に言及したことを受けて出された。台湾外交部は声明で「斎藤代表の不当発言については、わが政府が厳正な立場を表明しており、中国が口をはさむ余地はない」と反論した。(2009/05/12-23:03)




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この記事へのコメント

2009年05月16日 05:44
台湾問題について日本人は余りにも危機意識が低すぎるように思える。政治家自身にも台湾について関心が薄い。何と言っても中国が怖いのだろう。それに最近の日本の歴史教育が間違っている。日本人の中には台湾が中国領土だと本気で信じ込んでいる人がいる。嘆かわしことである。
2009年05月18日 04:00
台湾問題について政治家の中にも、全く不見識な発言をする人がいる。小泉政権が出来た直後のある女性外相は、中国高官に向かって、
『台湾を合併されるときには、香港方式によられたらどうですか』と云ったそうである。彼女はその後間もなく外相の席を罷免された。外務省を抑えきれないことが理由であった。しかし本当の理由はよくは分からない。
NEVER
2009年05月18日 13:22
台湾は日本が漢民族(つまり中国大陸)から奪った土地である、との文脈に沿わせて、NHKはテレビ番組「ジャパンデビュー(台湾)」で中国の代弁を試みました。

しかしNHK、中国の思惑とは反対に、台湾人も日本人もこれに反発してデモを行っています。NHK聴取料ボイコット運動まで広がり、国会議員も問題視し始めました。

帰属を定めていない領土問題は、台湾の他に千島列島、樺太があります。台湾を語ることは日本を語るに等しい部分があるのですが「歴史教育の偏重」で多くの日本人は無関心です。

そして現代の教育機関はテレビなどのマスコミですから、放っておけば日本人は「無学の民」に成り果てそうです。
2009年05月22日 08:47
NEVER様
お返事が遅れました。貴重なコメントを深謝いたします。
NHKは「ジャパンデビュー(台湾)」について、世間の反発を浴びながら、謝罪らしい謝罪をしていません。
この人達は、台湾や日本の将来を一体どのように考えているというのでしょうか。

中国は外国と共同文書を取り交わすことが好きです。そしてそれを手枷足枷にして後々の外交手段の言い訳に使います。

今後日中間で取り交わす文書には
「台湾は中国固有の領土であることを尊重する」を
「台湾は中国固有の領土であるとの主張は承知する」に、さらに
「台湾は中国固有の領土であるとの主張は承知するが、承認したわけではない」に変更してゆくべきだと思います。
通りすがり
2018年02月07日 11:38
代表権を争う二つの政府が連合国の占領下となった日本国領域の台湾と朝鮮で犯した戦争犯罪により連合国から追放された中国は、台湾を日本領として尊重する国際法上の義務から免れる権利を得ていません。

『日本国との平和条約第二条b(台湾と澎湖諸島に対する日本の全ての権利,権源及び請求権の放棄)の利益を受ける権利』は日本国との平和条約第二一条と第二五条により、第二五条の規定による第二次世界戦争の最終的な連合国の諸国と朝鮮が排他的に独占する権利です。

日本国との平和条約
第二条
(b)日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。


第二十一条
 この条約の第二十五条の規定にかかわらず、中国は、第十条及び第十四条(a)2の利益を受ける権利を有し、朝鮮は、この条約の第二条、第四条、第九条及び第十二条の利益を受ける権利を有する。

第二十五条
 この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第二十三条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。第二十一条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。

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