オバマ大統領の核廃絶声明について質問する!!!

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朝日新聞の5日のネット記事を(参考1a)と(参考1b)オバマ大統領の「核廃絶」に向けた演説の概要が示されている。この中で、『オバマ大統領は「核を使用した唯一の核保有国として、行動への道義的責任がある」と言っている』問題について、筆者の今日14日の別の記事 「『オバマ大統領の核廃絶演説』について思う (作成日時 : 2009/04/14 05:31)」で述べた。ここでは、その他の疑問点について指摘したい。

便宜上、項目を挙げて述べることとする。
(1)核廃棄の検証
核弾頭と貯蔵核兵器の法的拘束力のある削減条約をロシアとの間で年内に作ると言うが、削減の確認、削減すべき核兵器の滅却処理の手段、処理された廃棄物の処理、等、膨大な時間と労力が必要である。何がどれだけ廃棄されたかを中立的に確認する必要がある。お互いに相手国に乗り込んで削減されたことを確認するにしても、どのような物的証拠によるのか?お互いに相手の目の前で、自分の持っている核を滅却して見せるしか方法がない。そのようなことが果たして可能なのであろうか?

(2)包括的核実験禁止条約の批准
米国が率先して今年中にこれを実施すると云う。本当にその覚悟があるのか? そして他国はそれに追随する可能性はあるのだろうか。米国だけが実施しても他国がついて来なければ、全く意味がない。米国には他国が追随するという自信があるのか?

(3)カットオフ条約の実施
カットオフ条約では、核兵器用の核分裂性物質の生産を検証可能な方法で禁じると言うが、実際に作られなかったという保障措置(核査察)をどのように行うか。第3者機関で行うとしても、隠ぺいする国が出る。IAEA以外の別の機関を作るのか?
これまでのIAEAの権限はそれほど強くなかった。現に北朝鮮とIAEAとの関係がそうである。北朝鮮は、最近、IAEAに国外退去を命じ、核燃料の再処理を開始した。IAEAは意外と非力である。それよりも強い権限を持った監視機関の設立が可能なのであろうか?

上記に核廃絶が、いかに困難かを指摘した。このような困難の根本をなすのは、自国のみならず、他国がどれだけ信用できるか、そして他国がどれ位、自国を信用するかという問題がある。

問題の根底をなすのは、相互信頼がどれ位確実に保証されるかということである。この根本的問題が解決されない限り、いかに核廃絶を叫んでも、絵に描いた餅に過ぎない。


*********************(終わり)************************
(参考1a)オバマ大統領の「核廃絶」に向けた演説要旨(1/2ページ)(朝日2009年4月5日22時6分)
 米国は、核を使用した唯一の核保有国として行動への道義的責任がある。核兵器のない世界に向け、具体的な方策を取る。米国の安全保障戦略上の核兵器の役割を減らし、他国に同調するよう求める
 核弾頭と貯蔵核兵器の削減のため、ロシアと新たな戦略兵器削減条約を交渉し、年内に法的拘束力のある大胆な新合意を目指す。一層の削減に全核兵器国の参加を促す。
 核実験禁止のため、私の政権は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を直ちに目指す
 米国は核兵器用の核分裂性物質の生産を検証可能な方法で禁じる新条約(カットオフ条約)を目指す。
 我々は核不拡散条約(NPT-Nuclear non-Proliferation Treaty)を強化する。そのため国際的な査察を強化する必要がある。規則を破ったり、理由なくNPTから脱退しようとしたりする国に、すぐに実のある措置をとる必要がある。民生用原子力協力のため、国際的な核燃料バンクを含む、新たな枠組みを作り、核拡散の危険を増さずに原子力利用ができるようすべきだ。
 今朝、我々は、核の脅威に対応するため、より厳しい新たな手法が必要なことを改めて思い起こした。北朝鮮が長距離ミサイルに利用できるロケットの実験を行い、再び規則を破った。この挑発は行動の必要性を際立たせた。今こそ厳しい国際対応をとる時だ。北朝鮮は脅しや違法兵器では安全と敬意を得られないことを理解しなければならない。
 イランに対し、私の政権は相互の利益と尊敬に基づく関与を追求し、明快な選択を示す。我々はイランが査察を条件に原子力エネルギーの平和的利用の権利を認める。あるいは一層の孤立や国際圧力、中東地域での潜在的な核兵器競争を選ぶこともできる。

(参考1b)オバマ大統領の「核廃絶」に向けた演説要旨(2/2ページ)(朝日2009年4月5日22時6分)

 はっきりさせよう。イランの核や弾道ミサイルをめぐる活動は、米国だけでなく、イランの近隣諸国や我々の同盟国の現実の脅威だ。チェコとポーランドは、これらのミサイルに対する防衛施設を自国に置くことに同意した。イランの脅威が続く限り、ミサイル防衛(MD)システム配備を進める。脅威が除かれれば、欧州にMDを構築する緊急性は失われるだろう。 テロリストが核兵器を手にすることが最も差し迫った大きな脅威だ。標的になりそうな核物質を4年以内に安全な管理体制下に置くため、新たな国際的取り組みを始める。
 核物質の闇市場をつぶす取り組みも必要だ。大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)や核テロリズムに対抗するためのグローバル・イニシアチブ(GI)などを恒久的な国際機関に変えるべきだ。米国は1年以内に核管理に関する首脳会議を主催する。




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この記事へのコメント

tomtom
2009年05月10日 22:07
核兵器は実際に使用する機会が皆無に等しい(65年前に2度戦争時に使われた)と考えると、数千の核弾道を保持することは武器の経済効果を考えると負の効果しかないと考えても可笑しくはないと思いますが如何なんでしょうね。
TBをさせていただきました。
2009年05月14日 17:35
tomtom 様
TBおよびコメントを有難うございました。確かにご指摘のように、持っていても実際には使われない武器の保有は、経済効果ゼロです。にもかかわらず、インド、パキスタンは核を保有しました。そして北朝鮮やイランは盛んに持ちたがっています。核を持っても、外交上の威嚇手段にはならない、そしてそれは世界的な共通犯罪であるという観念と、使用した場合の世界全体による使用国への制裁則を作る必要があると思います。

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