北朝鮮制裁解除に係わる6月20日の高村発言

筆者は、最近の記事 「テロ支援国家指定解除にからむ最近の日米朝の動き」の中で、日本政府がとった行動として、次の事項を述べた。
斎木昭隆外務省アジア大洋州局長と北朝鮮の宋日昊・国交正常化交渉担当大使との間で、6月11日と12日に行なわれた協議の結果を受け、政府は、6月13日に次の発表をした。
●北朝鮮側は日本人拉致問題の再調査を約束し、
●日航機「よど号」ハイジャック関係者の日本への引渡しに合意した。
●日本側は見返りとして制裁を、次のように一部緩和する。
(1)人的往来の規制解除
(2)チャーター便の規制解除
(3)人道的支援関連物資輸送を目的とする北朝鮮国籍船舶の入港許可

筆者は、この記事の中で、このような制裁解除は極めて危険であることを述べた。この問題は家族会の人々によっても危険性が指摘され、政界でも警戒感が強まっている。

このような、国内の反響を受けて、高村外相は、6月20日午前の記者会見で、制裁緩和の措置の実施についてさらに付言している。同日の朝日新聞のネット報道 『拉致再調査、着手段階で制裁緩和も 高村外相が示唆 2008年6月20日14時30分』 が、これを報道している その内容を(参考1)に示す。この内容について、筆者の感想を述べたい。

(1)北朝鮮が約束した拉致被害者の再調査に関して、高村外相は、「生存者を発見し、日本に戻すことに向けた真摯な調査であると認識できれば、その時点で、制裁を一部解除する可能性はある」と述べている。
前にも言ったが、「調査」とは何か。この言葉の発端は、元々、北朝鮮は、『日本人の拉致被害者は北朝鮮にはいない』との北朝鮮のこれまでの主張を尊重した言葉である。我々、日本人としては、今更、「調査」はないのである。
拉致した日本人をどこに隔離し、どこに誰がいるか分からないはずはあるまい。その情報を、そのまま出して来ればよいはずである。高村外相は、「日本人の生存者を発見し、日本に戻す調査」と言っているが、これ自身が極めて卑屈な発言である。北朝鮮が「調査」と言っているのに合わせた言葉であろう。本当は、「日本人の生存者を発表し、日本に戻す行為」と言って欲しいものである。

(2)高村外相は、『北朝鮮が協力を約束した「よど号」ハイジャック犯の引き渡し問題の前進だけでは制裁緩和は難しい』と言っている。これは、わざわざ言うまでもない当然のことである。ところが、米国や韓国には、「よど号」ハイジャック犯の引き渡しが、日本の拉致問題解決に重要な役割を果たすと誤解している節が濃厚に見える。彼等が帰ってきても、拉致被害者が帰って来たわけではない。それに彼等が、拉致被害者に関する情報を握っているわけではない。一部、日本人拉致に干与したハイジャック犯はいるのであるが、彼等とて日本人拉致被害者の拘束され監視されている場所、人物、人数などに関する情報は持っていないと思う。北朝鮮指導部が、そのような情報を彼等に流すわけがなく、また情報を持った人間を日本に返すわけがないからである。

筆者の6月20日の記事 『 「テロ支援国家指定解除」ライス爆弾声明への反応 ( 作成日時 : 2008/06/20 10:34 ) 』 で述べたように、6月19日の夜、外務省に日米韓の六ヶ国協議の主席担当官が集まった。この集まりで、外務省斎木アジア大洋州局長、米国国務省のヒル国務次官補および韓国の金塾・朝鮮半島平和交渉本部長でらによって、北朝鮮が近く提出する「核計画の申告」の検証の方法などが協議された。

この席上で、韓国の金塾朝鮮半島平和交渉本部長は、『北朝鮮がよど号ハイジャック犯引き渡しの協力を約束したのであるから、日本も北朝鮮へのエネルギー支援に加わるべきだ』と主張したそうである。筆者は、これについて、『この「金」なる韓国人が、いかに日本人の拉致問題に疎く、感覚が狂っているかを如実に物語っている。この人物は日本人の拉致問題が何であるかがまるで分かっていない。韓国にも470人もの人が北朝鮮に拉致されていながら、ハイジャック犯の引渡しだけで、拉致問題が進展したかのように考える。この感覚は一体何なのであろうか。このような白痴同然の人間がいる中でまともな外交を進めるのは、難しいことである』と主張した。今回も筆者のその気持ちは変らない。

(3) 6月11、12日の両日にわたり、北京で行われた日朝公式協議で、日本側は対北朝鮮制裁の一部解除で合意したが、高村外相は 『行動対行動の原則から言えば、まず向こうに実行に着手してもらわなくてはいけない』 と指摘し、『(北朝鮮側が)実は踏み出していなかったとなれば、(日本側も)踏み出したものをまた戻ることは十分にある』とも述べたそうである。

制裁を一部解除したとは言え、北朝鮮側の対応如何によっては制裁緩和を即座に撤回してもらいたい。そもそも米国や韓国が北朝鮮に甘すぎる。日本人の中にも、北との対話再開を求める余り、制裁緩和を主張する輩が多すぎる。北の取引に騙されて煮え湯を飲まされていることを忘れてもらっては困るのである。

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聞くところによると、北朝鮮が近く、中国へ提出する非核化報告書には北朝鮮の現有核兵器は含まれないそうである。日米韓は6月19日夜の外務省での三者会議で、これを確認したそうである。北朝鮮は、ごねにごねて、核保有国を6者協議で認めさせようとしている。それにしては、ライス国務長官は北朝鮮に甘すぎるのではないか。困ったものだ。もしかすると、彼女は日本人が嫌いで、日本人に不利なことを試みて内心喜びを感じているのではないかと、勘ぐりたくなることがある。 なお、この勘ぐりは、男性としての筆者が、彼女が余り美人ではないことに触発されて、密かに抱いた嫌悪の念に依存したものではないことを付言したい。

********************** 終わり ***********************
(参考1)拉致再調査、着手段階で制裁緩和も 高村外相が示唆 2008年6月20日14時30分
 高村外相は20日午前の記者会見で、先週の日朝協議で北朝鮮が約束した拉致被害者の再調査について「生存者を発見し日本に戻すことに向けた真摯(しんし)な調査であると認識できれば、その段階で(制裁の)一部解除はありうる」と述べ、北朝鮮が調査に着手すれば結果が出る前でも制裁を緩和できるとの考えを示した。
 一方で高村氏は、北朝鮮が協力を約束した「よど号」ハイジャック犯の引き渡し問題の前進だけでは制裁緩和は難しいとの見方も示した。
 北京で行われた日朝公式協議で、日本側は対北朝鮮制裁の一部解除で合意したが、高村氏は「行動対行動の原則から言えば、まず向こうに実行に着手してもらわなくてはいけない」と指摘。さらに、「(北朝鮮側が)実は踏み出していなかったとなれば、(日本側も)踏み出したものをまた戻ることは十分にある」とも述べ、北朝鮮側の対応が不十分と判断すれば一度緩和した制裁を復活させる可能性にも言及した。

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