「テロ支援国家指定解除」ライス爆弾声明への反応

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日米韓会談(注1)

筆者は、先の記事 米国、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除か? (作成日時 : 2008/06/20 06:06) で、米国ライス国務長官による6月18日の緊急爆弾声明、すなわち「北朝鮮のテロ支援国家指定を48日以内 に解除」の声明に対する筆者の批判と感想を述べた。

ここでは、この声明に続いて19日の夜、東京の日本外務省内で行なわれた日米韓の六ヶ国協議の主席担当官らの協議の模様を伝え、それに対する感想と懸念を述べる。参考として6月20日の日テレNEWS24の放送内容(参考1)と時事通信の6月19日の深夜ネット情報(参考2)を採用した。

 6か国協議の日米韓3か国の首席代表はこの夜、北朝鮮が近く提出する見通しの「核計画の申告」をどう検証するかなどについて協議した。外務省へ参集したのは、日本の外務省斎木アジア大洋州局長、米国国務省のヒル国務次官補および韓国の金塾・朝鮮半島平和交渉本部長である。

 (参考1)によれば、斎木アジア大洋州局長は「北朝鮮が約束した拉致問題の再調査は、具体的な方法が決まらないと『拉致問題の進展』とは言えず、テロ国家指定解除は慎重に行うべきだ」とヒル国務次官補に伝え、 ヒル次官補は「拉致はアメリカ政府にとっても関心ある問題だ。日本と北朝鮮との協議を見守りたい」と答えるに止まった とある。一方(参考2)によれば、斎木氏は、ライス米国務長官の「テロ支援国家指定解除」手続きに入るとの緊急声明に伴い、日本人拉致問題が進展しない限り解除しないよう求め、テロ支援国家指定解除問題で、日米が緊密に連携していくことを確認した とある。

この文章の(参考1)と(参考2)の表現は微妙に相異する。会談後の記者会見での発表に対する記者の受け止め方の相異であろう。(参考1)からは次の事が読み取れる。斎木局長の拉致問題をテロ支援国家指定解除の条件にすべきだとの強い主張にたいし、ヒル次官補の「拉致を条件としたいことは分かるが、当分、日朝の交渉を見守り、その結果で判断したい」という消極的姿勢が見受けられる。 ところが(参考2)からは、テロ支援国家指定解除問題では、日本人拉致問題も含め、日米が緊密に連携していくことを確認し、双方の考えが一致したような表現である。
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さらに(参考2)は会談終了後の記者会見の模様を説明している。斎木局長は、拉致問題が解決しない限り、テロ支援国家指定解除をしないように再度、ヒル国務次官補に明確に申し入れた。拉致問題に配慮する米側の姿勢は今までと変りがないと明言し、ヒル氏も「この問題で日本政府と緊密に協力していくことが非常に重要であり、拉致問題は米政府にとっても関心ある問題だ」と語ったそうである。 さらに斎木局長は、ライス国務長官の発言はいつも聞かれる常套文句だと言うニュアンスで切り捨てている((注2)右図)。

なお、(参考1)によれば、韓国の金塾朝鮮半島平和交渉本部長は、北朝鮮がよど号ハイジャック犯引き渡しの協力を約束したことなどから、日本も北朝鮮へのエネルギー支援に加わるべきだと主張したそうである。これは、この「金」なる韓国人が、いかに日本人の拉致問題に疎く、感覚が狂っているかを如実に物語っている。この人物は日本人の拉致問題が何であるかがまるで分かっていない。韓国にも470人もの人が北朝鮮に拉致されていながら、ハイジャック犯の引渡しだけで、拉致問題が進展したかのように考える。この感覚は一体何なのであろうか。このような白痴同然の人間がいる中でまともな外交を進めるのは、難しいことである。

(参考1)は、3か国の代表が、核計画の申告が行われた場合の検証メカニズムについても意見調整を行ったそうであるが、実はこれが最も重要である。核開発の専門家が何人か集まって検証せねばなるまい。ここからは専門家の出番である。IAEAなどの助けを借りることも必要であろう。ただ形式だけの検証査察だけでは意味がない。

この辺は六カ国協議のメンバが共同責任で厳密な査察検証を行なわねばならない。提出された書類や現物の審議を判別できる専門家集団はどうなっているのであろうか。そしてその指揮体制はどうなっているのであろうか。厳重な検査をやってもらいたい。

*******************終わり******************

(注1)日テレNEWS24の6月20日版より借用しました。記して謝意を表します。
(注2)時事通信6月19日深夜版より借用しました。記して謝意を表します。
(参考1)日米韓、北朝鮮の核計画申告の検証方法協議<6/20 2:37>
 6か国協議の日米韓3か国の首席代表は19日夜、北朝鮮が近く提出する見通しの「核計画の申告」をどう検証するかなどについて協議した。
 会談で、斎木アジア大洋州局長は「北朝鮮が約束した拉致問題の再調査は、具体的な方法が決まらないと『拉致問題の進展』とは言えず、テロ国家指定解除は慎重に行うべき」とアメリカ・ヒル国務次官補に伝えた。これに対し、ヒル次官補は「拉致はアメリカ政府にとっても関心ある問題だ。北朝鮮との協議を見守りたい」と答えるにとどまった。
 一方、韓国・金塾朝鮮半島平和交渉本部長は、北朝鮮がよど号ハイジャック犯引き渡しの協力を約束したことなどから、日本も北朝鮮へのエネルギー支援に加わるべきだと主張した。
 3か国の代表はこのほか、核計画の申告が行われた場合の検証メカニズムについても意見調整を行った。

(参考2)2008/06/19-21:58 テロ指定解除に反対表明=日本、米首席代表に-対北朝鮮
 北朝鮮の核問題に関する6カ国協議の日本首席代表を務める斎木昭隆外務省アジア大洋州局長は19日夕、同省内で米首席代表のヒル国務次官補と会談した。ライス米国務長官が北朝鮮の核申告に合わせてテロ支援国指定解除の手続きに入る方針を示したことについて、斎木氏は、日本人拉致問題が進展しない限り解除しないよう求めた。指定解除問題で、日米が緊密に連携していくことを確認した。
 会談後、斎木氏は「日本政府の考え方は米政府に明確に説明した」と記者団に述べた。同時に、ライス長官発言に関して「今まで述べてきたことを繰り返した演説だったと理解している」として、解除に当たって拉致問題に配慮するとの米側の姿勢に変わりはないとの認識を示した。
 ヒル氏も「この問題で日本政府と緊密に協力していくことが非常に重要だ」と記者団に表明。「拉致問題は米政府にとっても関心ある問題だ」と語った。
一方、韓国・金塾朝鮮半島平和交渉本部長は、北朝鮮がよど号ハイジャック犯引き渡しの協力を約束したことなどから、日本も北朝鮮へのエネルギー支援に加わるべきだと主張した。
 3か国の代表はこのほか、核計画の申告が行われた場合の検証メカニズムについても意見調整を行った。

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この記事へのコメント

容子の部屋
2008年06月22日 21:24
東郷さま

最近の米国外交はあちこちで生きずまり、せめて北朝鮮問題だけでも成功させたい一心のように見受けられます。
韓国は、「日本も北朝鮮へのエネルギー支援に加わるべきだと主張したそうである」これなど断じて拒否して欲しいと思います。
この六ヶ国は最後の資金援助は日本であると思っているようで、日本が願っている問題をハイジャック犯にすり変えて、解決したかのごとき態度です。
日本は今この福田首相を変えたくてもそれすら時期が悪すぎてそれもならず・・この福田氏の元で日本の国益はどんどんそがれていくようで苛立ちます。
2008年06月23日 12:19
容子の部屋 様
早速のコメント、有難うございました。
米国が単なる表面上の点数稼ぎのために、北朝鮮のテロ支援国家指定を解除したとなると、これは業績にはなりませんね。単なる目先の点数稼ぎを焦るようでは、米国も国家百年の計を誤ることになります。このように点数稼ぎを焦るのは、ブッシュ大統領もさることながら、君側の奸、ライスのなせる業だと思いますね。ライスは、あるいは何か将来の政治的野望があり、政治的な点数稼ぎを急いでいるのかもしれません。目先の点数稼ぎは、歴史の上に残る業績にはならないと思います。米国は、同盟国、日本の拉致問題を無視
2008年06月23日 12:24
(上に続く)しても、核問題の解決が先だとのシナリオに従ったテロ支援国家指定解除を二ヵ月後に行なうために見切り発車したのですが、最近の情報では、北朝鮮の核計画の報告書には、現有の核兵器や核物質については、報告しなくてもよいということになっているとか、そしてそれには審査する側は目をつむるとか、の噂があります。さらに北朝鮮が、技術者を派遣してイランやシリアの核兵器開発に協力したとの情報があります。
米国はそのようなことは無視して、今月中に提出された北朝鮮の核計画報告書を検討し、日韓を除いた中米ロの3国で核施設の立ち入り査察を行い、その結果でテロ支援国家指定と
対敵国通商法による制裁の解除を行なうそうです。
意外と日本や韓国を除く、米中ロは北朝鮮の核保有などはどうでも良いと思っているのかもしれません。
これでは拉致問題の解決はそのままにして放置されることになりかねません。

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