東シナ海ガス田共同開発の合意は慎重に!!

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図1 東シナ海でのガス田開発の一例

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図2 中国海軍の近海防衛戦略

中国側の東シナ海のガス田開発は、多分6年前(2002年、平成14年)頃からであろう。その開発は営々として進められており、既に図1に示すようなガス田がいくつか開発されている。日本政府は、平成16年5月、東シナ海で中国がガス採掘施設「白樺」の建設を始めたことを知った。以後も中国は、中間線付近に計4つの試掘施設を建設している。
中国のガス田開発に気づいた日本政府は、2004年(平成16年)に、ガス田共同開発を中国側に申し入れ、以来4年の永きにわたって日中局長級協議が続いている。これに携わるのは互いに両国の外務省である。

日本も、当然、中国が東シナ海のガス田開発を始めた頃から、彼等と同時進行の状態で、EEZラインの日本寄りの海域でガス田開発を日本独自で行なうべきであった。中国側が既成事実を作っているのと同程度まで、日本も既成事実を作るべきであった。既成事実なしに、いきなりガス田共同開発を中国に申し入れた。 これは第一の失策であった。

共同開発を申し入れた以上、日本側は自前の開発を差し控えるという立場を執らざるを得ない。一方、中国側は、共同開発交渉を長引かせておきながら、その間にどんどん既成事実を作ってしまった。そして交渉の条件を自分達に有利にしてしまった。そして4年もかかりながら、日本にとって事態は一向に好転せず、悪くなる一方であった。このような経緯は始めから分かっていた筈である。外務官僚の中にはチャイナ・スクールなるグループがあると聞く。外務省はその連中の媚中感覚に麻痺させられて、物事の見分けがつかなくなっているのではないか?

中国との交渉が始まった1年後の2005年(平成17年)4月に日本独自の力で、東シナ海でガス田開発を行なおうという案が持ち上がった。その主唱者が当時の小泉内閣の経産相・中川昭一氏であった。中川氏は、中間線の東側海域に鉱業権を申請していた帝国石油に試掘権を付与した。しかし何故か、中川氏は農水相へと更迭され、二階俊博氏(現自民党総務会長)が経産相に選任された。同氏は有名な超・媚中派である。彼の就任と共に、「私は試掘の道をとらない」と計画を中止させ、その後動きが止まり、独自ガス田開発案は水泡に帰した。中川氏から二階氏への経産相更迭は、中国側の圧力、もしくは外務省チャイナ・スクールの圧力があったことは確かであろう。 少なくとも、 日本政府は、ここで第二の失敗を犯した。
日中間の交渉は、外務省間で行なわれたが、日本政府は、中国の東シナ海ガス田開発には、中国人民解放軍の影が見えている ことに気づかなかった。誇張した言い方かもしれないが、外務省のチャイナ・スクールの連中は日本に味方するよりも、中国に味方するのである。中国の「あくどさ」が分からないのである。
中国は東シナ海に戦略的な第一列島線を構築することを望んでおり、ガス田の櫓の建設はその列島線上の砦と考えねばならない。彼等はこれを足がかりとして、第二列島線の確保、すなわち日本の占領である。 これを見抜けなかったのが第三の失敗である。 第一列島線と第二列島線については図2を参照されたい。

昨年の暮れに、福田首相は北京を訪れ、胡錦涛国家主席の来訪までに、東シナ海ガス田問題が解決するよう申し入れをした。その後、外務省次官級の交渉を行なっているが、一向に進展しない。最近では、3月11日に、崔天凱・駐日中国大使は、東京・元麻布の中国大使館内で日本人記者団と懇談し、中国製ギョーザ中毒事件や東シナ海のガス田開発問題について、胡錦濤・中国国家主席の訪日日程と「関連付けるべきではない」と強調している。

東シナ海のガス田問題については、『中国側には、本気で日本と交渉し、妥協しようという気がない』のではないか。いや『その気がない』と断言したくなる程である。
仮に中国に纏める気があるとしても、これだけ交渉が長引くということは、双方の条件が折り合わないということである。中国は自国の条件に合わないのであれば、譲歩してまで纏める意思はないのであろう。しかし筆者は、中国に譲歩してまで、日本に不利な条件で、交渉を纏めるべきではないと思う。

よく外務官僚は、外交交渉で、それぞれの条件が100%満足されるということはない。60%満足されれば、それで良しとせねばならないと言う。しかし、今回の中国のやり方は、国際的に認められているEEZラインを無視した行為であり、さらに日本の領土(尖閣諸島など)まで簒奪しようという許せない行為である。日本は何も国際的に間違ったことを犯したわけではない。不利な条件で纏めるくらいなら、交渉決裂ということもやむを得ないのではないか。


なお、<付録>として筆者がこれまで作成した『東シナ海ガス田問題』のブログ記事の題名の大部分を列挙した。参考になれば幸いである。

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<付録>『東シナ海ガス田問題』(「東郷幹夫の思いつくまま日記」より)
中国脅威論について (作成日時 : 2006/01/11 04:26 )
二階経産相よ!気が狂ったのか!! (作成日時 : 2006/01/15 06:42)
経産相は国益をどうするのか? (作成日時 : 2006/01/15 10:49 )
「通産相は国益をどうするのか」への眠り姫さんのコメントにたいし (作成日時 : 2006/01/16 07:55)
「二階経産相、彼も中国のエージェント?」について ( 作成日時 : 2006/01/17 03:08 )
「「二階経産相、彼も中国のエージェント?」について」について (作成日時 : 2006/01/21 12:54 )
東シナ海のガス田試掘はどうなったのか?(作成日時 : 2006/01/21 13:46)
李肇星部長の発言(No3) 東シナ海協議 (作成日時 : 2006/03/08 21:22 )
「李肇星部長の発言(No3) 東シナ海協議」について(作成日時 : 2006/03/10 19:45)
東シナ海は中国領土か!! ( 作成日時 : 2006/04/19 08:05 )
また中国に騙されるのか! ( 作成日時 : 2006/04/19 09:18 )
東シナ海ガス田「春暁」生産開始!! (作成日時 : 2006/08/08 20:06 )

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温家宝首相の訪日の本音は何か? (作成日時 : 2007/04/07 21:30 )
温家宝氏と日中共同プレスの問題点 (作成日時 : 2007/04/12 17:30)
日中共同プレスの東シナ海ガス田問題は? (作成日時 : 2007/04/15 02:34)
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この記事へのコメント

2008年04月29日 12:34
本文中、不確実なところがありました。次の文章を補足致します。
 日中間の局長クラス協議で、中国側は局長級協議で日本がEEZラインの日本側で試掘した場合でも「そうなれば(中国海軍は)軍艦を出す」と複数回発言しているそうである。

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