北朝鮮の核・拉致問題に対する米国務省内のせめぎ合い

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<北朝鮮の人権>

この記事では、容易には進捗しない北朝鮮の核放棄や拉致問題について、米国務省の中でどのような意見が交換されているか、検討することとした。検討の範囲は最近10日間に限定される。もし欠落している情報があれば、ご容赦いただきたい。

朝日新聞の1月18日のネット記事『)北朝鮮の人権「抑圧なお深刻」 国連特別報告者が会見 2008年01月18日22時24分』によれば、国連人権理事会の特別報告者として北朝鮮の人権状況を調査したタイのウィティット・ムンタボーン氏が1月18日、東京都内で朝日新聞の記者と会見し、深刻な食糧問題、自由の抑圧や拷問による組織的な人権侵害、日本人を含む他国民の拉致問題の深刻さに言及した(注:参考1)。

さらに1月19日の読売新聞のネット報道記事『米の北朝鮮担当特使、核問題の停滞に不満 (2008年1月19日0時30分 読売新聞)』や、同日の朝鮮日報のネット記事『核問題:「韓中の対北対応はぬるま湯的」記事入力 : 2008/01/19 08:40:07』によれば、

米政府のジェイ・レフコウィッツ北朝鮮人権問題担当特使は、1月17日、ワシントン市内で講演し、『1年後も北朝鮮の核問題は現状のままで解決しないことが、更に明白になった。来年1月のブッシュ大統領の退任までに、北朝鮮が核を放棄をする可能性は低い』 と述べた。さらに同氏は、
(1)韓国政府と中国政府は北朝鮮の核問題解決にぬるま湯のような甘い対応しか採っておらず、現状維持を望んでいるだけである、
(2)北朝鮮の人権問題の解決には、『ヘルシンキ・プロセス』のような対北朝鮮政策を推進すべきであり、日本人などの拉致問題を含む人権問題を安全保障上の問題として扱うべきだ』、
と述べている(注:参考2)。
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東京新聞の1月23日のネット記事 「『北朝鮮、テロ指定解除基準満たす』 米高官、拉致解決を除外 2008年1月23日 夕刊」によれば、

米国務省のデル・デーリー 「テロ対策調整官」は、1月22日、米国による北朝鮮の『テロ支援国家指定解除』問題について言及し、
北朝鮮はテロ支援国家指定解除の基準を満たしている ようだ、
本当に解除するか否かは、北朝鮮の核放棄の進展に依存する、
と述べたそうである。

これは明らかに、1月17日のレフコウィッツ氏の発言 『北朝鮮が核放棄は殆ど進んでいない。これを加速するには、核放棄以外に(拉致を含む)人権問題をも安全保障の一環として同時解決する方式に方針転換すべきである』にたいする返答である。北朝鮮はテロ支援国家指定解除の基準を満たしている と言うことは、人権問題は存在しないと言うことである。レフコウィッツ氏の発言の完全否定である。

なお、この報道は
『ライス国務長官は、同日(1月22日)、レフコウィッツ北朝鮮人権問題担当特使が、ブッシュ政権中に北朝鮮が核放棄する可能性は低いと述べたことに関し、「彼は6カ国協議とは関係ない。(協議参加国が)彼の名前を認識しているか疑わしく、参加国が混乱するとは思わない」と不快感を示した』そうである。

彼女がどうしてこのように取り乱したか?これはレフコウィッツ氏が部宇主大統領の任期中にこの問題が解決しないと言ったことに反応したのではなく、同氏が北朝鮮問題の解決に日本人の拉致問題解決をも入れるべきだと言ったことに敏感に反応したのである。何故なら、この問題から拉致問題を外す事は彼女の始めからの主張だったからである。100点万点中50点で合格にしようというわけである。

ライス長官が米政府内の他の当局者を批判するのは極めて異例だとのことである。それだけ国務省の中が対立し、混乱していることを表している。

さらに彼女は、「彼には協議についての発言権はない。わたしはブッシュ大統領の見解をよく知っている」と述べ、6カ国協議を進める米政府の方針に変更はないと強調したそうである。

ここまで言うのは極端である。自分に疚しいところが無ければ、これだけ興奮することはない。ブッシュ大統領の見解を良く知っていると言うが、大統領の見解が必ずしも完全にライス氏と一致していないから、混乱が生じるのではないかとも言える。

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デル・デーリー 「テロ対策調整官」の1月22日の発言は、1月23日に修正された。読売新聞の1月24日の報道 『北のテロ支援国指定解除、米報道官「すぐはない」(2008年1月24日10時50分 読売新聞)』がこれを伝えている。それは下記のとおりである。

ペリノ米大統領報道官は1月23日の記者会見で、北朝鮮のテロ支援国指定解除について、「すぐに解除されるということは決してない。北朝鮮からすべての核計画の申告を受け取ることが必要だ」と述べた。

米国務省のテロ対策責任者、デル・デーリー調整官が1月22日、北朝鮮が指定解除の「法的条件を満たしている」と発言したことに対し、指定解除は時期尚早との認識を示したものだ。

報道官は「ブッシュ大統領が指定解除をする際には、たくさんの要素がある」と強調。過去6か月間でテロ支援行為がないことなどを条件とした法的条件のほかに、北朝鮮が昨年末の期限を過ぎても提出してない核申告の早期履行が、指定解除に必要との方針を改めて示した。

国務省高官も1月23日、記者団に、デル・デーリー調整官の発言は「個人的な意見で、米政府の見解ではない」と述べた。

ペリノ米大統領報道官の記者会見は、デル・デーリー調整官の「北朝鮮のテロ支援国家指定解除が直ぐにでも行われるようなニュアンスだったことを修正するもので、レフコウィッツ氏の発言 『北朝鮮が核放棄は殆ど進んでいない。これを加速するには、核放棄以外に(拉致を含む)人権問題をも安全保障の一環として同時解決する方式に方針転換すべきである』との意見には賛成してはいない。

しかし、レフコウィッツ氏の意見は極めて貴重な意見として米国務省は尊重すべきであると考える


------------------終わり-------------------

(参考1)http://mikitogo.at.webry.info/200801/article_22.html北朝鮮の拉致と人権を解決するには?
(参考2)http://mikitogo.at.webry.info/200801/article_23.html 中国や韓国は北朝鮮問題に熱意がない!!!





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