2007年版防衛白書 「中国部門」に思う!!!

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2007年版防衛白書が発表になった。
防衛省による「2007年版防衛白書」の発表にあたり、その内容の注目点について、朝日、読売、産経、日経の各新聞が報道している。何も報道していないのは毎日新聞だけである。ここでは、主に産経新聞の記述をかりて白書が主張している要点の中で中国に関する部分を、箇条書きで示し、各項ごとに簡単に検討する。(なお詳細は
「平成19年版 防衛白書」を参照されたい。)

(1)今年度の中国の国防予算が対前年度比で17. 8%増と19年連続で2ケタの伸び率を示し、日本の防衛関係費(約5兆円)を初めて超えた。
【筆者見解】これは嘘である。中国の国防費は既に15兆円を越えている。既に日本のそれの3倍に達している。筆者の記事「中川昭一政調会長の時宜を得た発言!!!」「日本の国防費・外交等に関するコメントの往復!!!」を参照されたい。

(2)中国の軍事力の近代化によって、「中国、台湾の軍事バランスは中国側に有利な状態へと変化しつつある」。中国の軍備の透明性が必要。
【筆者見解】これは既に衆知の事実である。中国に透明性を要求したり、相互に武官が会って話をしたり、合同演習などやってみても、無駄である。本当のことを言うのであれば、もう既に言っている。読売の社説は、「日中関係は、首脳の相互訪問が軌道に乗り、改善している。外務次官級の戦略対話や安保対話を深め、防衛交流を拡充する好機である。率直な意見交換を通じて信頼醸成を図ることが大切だ」と言っているが、そんなことをやったら、こちらの情報が漏れるだけで、向こうの情報は何も入って来ない。いかにもこの社説は考えが甘く、幼稚であり、人が良すぎる。

(3)中国の軍事力近代化の目標は、台湾のみならず、さらに可能な限り、遠方海域で敵の作戦を阻止することを目指している。具体的証拠として
(A)引き続き潜水艦能力の向上を目指している
(B)揚陸艦や補給艦の増強を進めている
(C)空母保有を強く望んでいる
【筆者見解】中国には、すでに台湾・東シナ海を結ぶ第一防衛ラインが想定されており、第二防衛ラインとしては、小笠原・フィリッピン沖を結ぶラインが想定されていることは、衆知の事実であり、彼らが台湾だけでは満足しない覇権国家だということは、分かりきった事実である。

潜水艦の能力向上というが、既に潜行して至近距離まで接近できる能力を持っている。筆者の記事「中国潜水艦は何故キティホークの至近距離に近づけたか?」を参照されたい。

中国は、これまでもロシアの中古空母を購入したりして、空母の建造を計画しており、既に超大型原子力空母の建造計画のプロジェクトが発足したことを、最近聞いた。米国の現有の満載排水量が10万トン・クラスのニミッツ級航空母艦(運用費1000億円/年)に近い原子力空母の建造を望んでいるのではないかと思われる?


(4)航空戦力については、中国本土の防空能力の向上以外に、より前方での制空、対地・対艦攻撃能力の構築を進めている。その証拠として
(A)機動性に優れた国産のJ10の増強、
(B)ロシア製SU27などの「第4世代型戦闘機」の増強
(C)大型輸送機の大量導入
【筆者見解】第一防衛ラインを超えた第二防衛ラインの構築を考えている証拠である。

(5)人工衛星に対する攻撃技術を確立している。
今年1月の人工衛星破壊実験では、破壊用ミサイルに、弾道ミサイルの技術が使用され、衝突の最終段階では高度な誘導技術を使用した。これらの技術は十分確立されている。
【筆者見解】 中国はすでに人間衛星を飛ばしており、月探査衛星を計画しているという。人工衛星の分野での衛星戦争ということになると、米国やロシアのレベルに達しつつあると思われ、日本にとっては確かに脅威である。


【結論】現状を直視し、筆者が既に別の記事「中国の対日米戦略に勝利するには?」 で述べたように、よく周囲情勢を理解し、日本は総力を挙げて、米国と協力し、日米同盟をより強固に機能する方向に向かう以外に方法は無いと考える。米国が日本の考えに同調するように、米国を日本側に引き付け、間違っても中国と同調し、日本がその枠外に弾き飛ばされないような綿密細心な外交活動が必要である。ロビー活動が必要であれば、日本は中韓に上回るロビー活動を試み、米国民に対する必要な洗脳は本気になって行なうべきであると考える。これを実行するに当たって、日本人は物怖じしてはならない。勇気を持って当たるべきである。会話能力の向上は物怖じしないことから始まる。民間レベルでの日米間交流も是非とも実現したいものである。


日本の防衛―防衛白書 未来に向けた確かな安全保障のために〈平成18年版〉

この記事へのコメント

2007年07月07日 15:53
 イラク開戦時には、アメリカの軍事力はふたつの戦線を維持できると信じられたから、自衛隊の派遣に踏みきった。コリアクライシスか、チャイナクライシスの勃発時には、アメリカが助けてくれると信じたから、自衛隊は派遣されたのでしょう。その後、日米安保の信頼性は、目をおおいたくなるほど失墜していますよねぇ。台湾沖で日本のタンカーが中国海軍の臨検を受けたり、あるいはテポドンが飛んできたとき、本当にアメリカは武力行使に動きますかねぇ。とりわけ、そのときの大統領がミセス・クリントンで、総理大臣が、菅直人だったりしたら、絶望的だと思う。
 われわれは他国の大統領は選べないから、せめて日本の政治は、しっかり選択する必要がある。安保が信頼できなければ、自衛隊の信頼性を高めるしかない、ということですかねぇ。
2007年07月10日 14:45
罵愚様
コメントを頂きながら、お返事が遅れ、申し訳ありません。
確かに、米国では、政権が変わるたびに、方針が変わる傾向があります。クリントン政権のとき中国に対し、台湾について三不政策を約束しました。ブッシュ政権になってから台湾関係法の重視に変わりました。最近ではそれが、また少し怪しくなっております。時の国務長官によっても大分違うようですね。とは言うものの、台湾海峡へ米国の空母が派遣されたのはクリントン政権の時であり、その結果、三不政策が出現しました。また最近では、米空軍の12機の最新鋭ステルス戦闘機F22が嘉手納基地に今年の5月までの3ヶ月間、駐留しました。これは中国空軍の最新鋭戦闘
2007年07月10日 14:47
(上に続く)機「殲10」が台湾海峡の中国側に配備され、台湾海峡の均衡が破れそうになったことに配慮したものと思われます。
しかしやはり自前で自分の国は自分で守るという気概は必要だと思います。米国にだけ頼らず、台湾は日本が守るくらいの気概が必要かもしれません。米国のMDAに頼り、米国の核の傘に入れてもらっているわけですが、貴殿の言われる自衛隊の信頼性の向上は是非とも必要ですね。いつも米国の武器を購入するようなことを頼りとせず、日本独自の技術で中国を上回るステルス戦闘機の自前製作を可能としたいものです。戦争中は、日本も優れた航空機製造技術を持っていたはずです。陸軍の「隼」や海軍の「一式大艇(飛行艇)」は世界的に有名でした。
2007年07月12日 06:04
 たとえば武器輸出規制を緩和して、人民解放軍に対応した戦闘機を開発して、支那の周辺に輸出するとか、非核三原則を見直すとか、独自のMDシステムを開発して自由と繁栄の弧の地域に配置するとか、そういうところでは、あなたとは一致できそうな気がするのです。
 しかし、もっと基本的な部分で…たとえば、今回のあなたの「台湾は日本が守るくらいの気概が必要かもしれません」に出会うと、ちょっとちがうな~、と違和感を感じるのです。台湾は、台湾人が守るのであって、日本はその要請があれば応分の協力ができる、という程度のもので、こちらの都合を押しつけるのは、どういうもんかと……
2007年07月13日 05:05
勿論、台湾は台湾人自身で守るべきだと思います。ここでは、「【米国にだけ頼らず】、台湾は日本が守るくらいの気概が必要かもしれません」と言っているのであって、台湾の行なうべきことを日本が肩代わりすると言う意味ではありません。従来、台湾関係法などにしたがって米国が台湾に行なっていたことを、日米同盟の立場から、部分的にでも日本が肩代わりすることが出来ないかという意味です。台湾が中国領土となった場合、第一に影響を受けるのは日本なのですから、この程度の覚悟は必要だと思います。中国の眼もありますから、(日本版)台湾関係法は作ることは出来ないと思いますが、米国の肩代わりをするなり、部分的支援をする覚悟が必要だろうと言うことです。ただそうなると「殲10」を上回る高性能ステルス戦闘機の開発が必要ですし、中国の潜水艦を上回る超低音潜航可能な原子力潜水艦の建造などの問題があります。安部首相が、ブッシュ大統領に米国の「F22A」ステルス戦闘機100機(250億円/機)の購入を打診したという話がありますが、日本政府自身が何らかの危険を感じ取っているのではないかと思います。
2007年07月13日 10:54
 それには、核武装もありえますか?あるいは、周辺アジアが共産中国に向けている猜疑心とおなじものを、かれらに与える心配は、ありませんか。
2007年07月13日 21:25
原子力潜水艦を作ると言うことは原子力で潜水艦を動かすと言うだけであって、核武装をするということではありません。核武装をするということは、核廃絶を訴えている日本のとるべき道ではないと思います。
2007年07月14日 03:16
 日本は核武装をしない、核ミサイルはもたない、ということですね。核武装をしない日本が、アメリカに代わって台湾防衛に協力する。核ミサイルをもっている共産中国と、台湾海峡をはさんで対峙するのは、むしろ危険ではありませんか?

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