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図1 6月3日の自民党国防部会(注1) 自民党・国防部会が、敵基地攻撃能力の保有を提言したという情報は、3日あるいは4日朝のネット報道で流された。NHKや日本テレビは3日の夜の報道で、これを伝えた。なお新聞のネット報道は、産経、毎日、時事通信などで行われた。これらの内容を、(参考1)〜(参考5)に示す。 なお、この問題を報道しなかったのは、読売新聞や朝日新聞である。朝日や読売はニュースバリューが低いと踏んだのであろう。しかし筆者は極めて重要な提案であると考えるので、この記事を纏めるに至った。報道内容の一例として、(参考6)のNHKの報道を参考にして、筆者の考えを述べる。この報道によれば、 自民党の国防部会は、3日の会合で、政府が年末に予定している「防衛計画の大綱」の策定に向けて提言をまとめ、この中では、北朝鮮の核実験などを受けて、自衛のために敵の基地などを攻撃する能力を自衛隊に持たせるべきだとしている。そうである。以下にこの報道の内容について、項目に分けて筆者の見解を述べる。 @北朝鮮が核やミサイル開発を推進し、中国も軍事力を近代化させているとして、平成15年度予算以来続く防衛費と自衛官の縮減方針を撤回し、維持・拡充すべきである。 ●筆者見解: 北朝鮮の弾道ミサイルや核開発は、前回の2006年の北朝鮮の実験に比べ、今年の実験では飛躍的に進歩した。テポドン2号は前回は1300kmほどしか飛ばなかったが、今回は3600km程度を飛翔した。核地下爆発の震度は3.6から4.7へと向上した。長崎へ投下された原爆並みだそうである。さらに北朝鮮は射程1000kmの日本全土をカバーするノドン弾道ミサイルを200基以上も用意しているそうである。その上、中国は、日本に比べると驚異的な軍事力を持っており、さらに拡充しようとしている。そしてその軍事技術が飛躍的に向上しつつある。核兵器ばかりでなく弾道ミサイルを保持しており、原子力潜水艦やステルス戦闘機まで開発、建造し、最近は航空母艦3隻を建造開始している。この状況を見れば、防衛費と自衛官の縮減どころか拡充の時であることは明らかである。 A今後の基本的な防衛政策として、日本へのミサイル攻撃が差し迫った場合に、敵のミサイル基地などを攻撃する能力を自衛隊に持たせるべきである。 ●筆者見解: この提言では、敵基地(ミサイル策源地)攻撃について『専守防衛の範囲で、ミサイル策源地攻撃能力を保有し、米軍の情報、打撃力と相俟った、より強固な日米協力体制を確立することが必要』とし、海上発射型巡航ミサイル導入を挙げたそうである。 現在、航空自衛隊の地上配備型PAC3ミサイルの射程距離は高々40km、日本海上のイージス艦上の迎撃ミサイルSM3の能力は迎撃最高距離が100kmと言われる。このような迎撃ミサイルで、北朝鮮の200基以上のノドンミサイルが同時発射されたら、防ぎ切れないのは明白な事実である。ノドンが発射されるとほぼ同時にこれを撃墜するには、SM3搭載のイージス艦は、北朝鮮の発射地点の100km以内の近距離にいなければならない。と同時に ノドン発射と同時にこれを撃墜するという作戦行動は、ノドン発射基地を攻撃することに近い。この結果、ミサイル策源地攻撃能力を保有するミサイルの開発ということになったのであろう。そこで問題になるのは、このミサイルの飛距離である。海上発射型巡航ミサイルを目標にしているそうであるが、果たして飛距離は大丈夫なのであろうか。 外交調査会長の山崎拓前副総裁は「北朝鮮のノドン200発を全部つぶすのか。(必要な装備は)トマホークでは済まず、爆撃機や空母も持たないといけない。現実問題としては難しい」と前回会合と同様に慎重論を唱えたそうである。しかしトマホーク((参考3)参照)級であれば、燃費の良いターボファン・エンジンにより射程は1000kmを超え、小型で、低空を飛行するので、戦闘機や地対空ミサイルでは、迎撃が困難である。ただ 速度は最大でマッハ0.75と、ロケット推進のミサイルがマッハ2以上で飛行するのに比べれば遅いという欠点を持つ。速度の改善が見込めれば有用であろう。我が国もノドン並みの先取攻撃型の弾道ミサイルの開発に踏み切ることはできないのであろうか。 B国内の防衛産業を育成するため、外国企業と戦闘機などの装備の共同開発が進められるよう、武器の輸出を制限している「武器輸出3原則」を見直す。 ●筆者見解: 我が国の戦闘機開発が諸外国から水をあけられているのは、戦後、米国によって航空機産業への進出を抑制されたのが祟っている。特に戦闘機の設計のためのノウハウは、連続的に設計を続けることにより養われると言われている。日本の戦闘機設計にはそのノウハウが足りない。戦争中、我が国の優秀な技術者が設計した「セロ戦」への誇りは、今やこの方面の技術者には消え失せてしまった。かつての誇りを取り戻すには、外国企業との共同開発を行い、技術のノウハウを蓄積する以外に方法はない。そのためには戦闘機の生産と輸出を解禁する以外になかろう。企業はただでは食って行けないし、優秀な技術者を育てることもできない。 Cミサイルの発射をとらえる早期警戒衛星をはじめ、防衛分野での宇宙利用を積極的に推進する。 ●筆者見解: 宇宙技術がどうして防衛関係に使われてはいけないのであろうか。この方面に携わる日本人に偏見があるのではないか。 D自民党の中谷安全保障調査会長は、国防部会の会合で、北朝鮮の核実験やミサイル発射について「冷戦後の新たな事態であり、日本の防衛のあり方を決める問題だ」と述べ、北朝鮮への対応が「防衛計画の大綱」をめぐる議論の焦点になるという認識を示した。 ●筆者見解: 「防衛計画の大綱」をめぐる議論の焦点は、北朝鮮ばかリではなく、もっと広い視野で考えねばならない。特に最近の中国の膨大な軍備拡張と最新軍事技術の開発の状況は無視できない。中国の人民解放軍の軍備拡充状況は東アジア地域に重大な脅威となりつつあることも肝に銘じなければならない。 以上、「自民党・国防部会が、敵基地攻撃能力の保有を提言」の問題について、項目ごとに私見を述べた。ご参考になれば幸いである。 図2 自民党・国防部会の山崎拓氏(注2) ******************(終わり)********************** (注1))(参考6)より借用、NHKに謝意を表する (注2)(参考5)より借用、NTVに謝意を表する。 (参考1)敵基地攻撃能力の保有を打ち出す 防衛大綱で自民提言案 (2009.6.3 19:52) 自民党は3日、国防部会防衛政策検討小委員会(今津寛委員長)で、政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」への提言案をまとめた。核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮を念頭に敵基地攻撃能力の保有を打ち出した。また、平成15年度予算以来の防衛費・防衛力の縮減方針を撤回し、防衛費と自衛官の定員を維持・拡充するよう要求した。近く首相官邸や防衛省へ提出する。提言を政府側がどれだけ受け入れるかが焦点になる。 提言案は敵基地(ミサイル策源地)攻撃について「専守防衛の範囲で、ミサイル策源地攻撃能力を保有し、米軍の情報、打撃力とあいまった、より強固な日米協力体制を確立することが必要」とし海上発射型巡航ミサイル導入を挙げた。 防衛費縮減方針の撤回要求の理由としては「陸海空自衛隊ともやりくりの限界を超えている。防衛力整備に必要な防衛予算および整備基盤の維持・拡充を行うべきだ」とした。政府の経済財政政策の指針「骨太方針」の中の防衛費縮減目標の見直しも求めた。 また、米国を狙う弾道ミサイルの迎撃など集団的自衛権の行使容認▽内閣直轄の対外情報機関や国安全保障会議(日本版NSC)創設▽他国との共同開発のための武器輸出三原則の緩和▽国境離島(防人の島)新法制定と離島の領域警備体制の充実−を盛り込んだ。 同小委の会合では(1)軍事大国にならない(2)専守防衛(3)非核三原則−に沿って防衛政策を進めることも確認した。今津委員長は記者団に「次期衆院選の争点の1つになるのが安全保障政策だ」と語った。中谷元・党安全保障調査会長「北朝鮮が核やICBM(大陸間弾道ミサイル)を保有するなら、専守防衛は変えないものの策源地攻撃能力を考えなければならない」と述べた。 (参考2)防衛大綱:提言、修正案を了承−−自民検討小委 政府が年末に改定する「防衛計画の大綱」に向け、自民党国防部会の防衛政策検討小委員会は3日、前回会合(5月26日)で示した提言案について、修正案を提示した。前回会合の意見を受け、敵基地攻撃能力の保有に関し「日米協力体制を確立する」との文言を加えたほか、防衛予算の維持・拡充なども盛り込んだ。小委員会は同日修正案を了承し、来週にも党が提言を正式決定した後、首相官邸に提出する。 修正案には、「策源地(敵基地)攻撃能力が必要」と記載した原案に、「米軍の情報、打撃力とあいまった、より強固な日米協力体制を確立する」との一文が追加された。党外交調査会長の山崎拓前副総裁は「北朝鮮のノドン200発を全部つぶすのか。(必要な装備は)トマホークでは済まず、爆撃機や空母も持たないといけない。現実問題としては難しい」と前回会合と同様に慎重論を唱えたが、賛成意見が大勢を占め了承された。【仙石恭】 (筆者注)トマホーク :イージス艦などの水上艦艇や潜水艦から発射可能な長距離巡航ミサイル。有人攻撃・爆撃機を危険にさらすことなく、敵地深くの指揮・通信施設、発電・変電所、石油精製・貯蔵施設などの戦略目標に攻撃を行なう精密誘導陸上攻撃兵器。湾岸戦争、コソボ紛争、アフガニスタンへの対テロ報復攻撃にも使用された。 (参考3)トマホーク巡航ミサイル 長距離巡航ミサイルの名称 本来はアメリカ・インディアンが戦闘に使用した斧の英語名 (参考4)防衛費縮減見直しを=自民 自民党の国防部会・防衛政策検討小委員会は3日、政府が年末に改定する防衛計画大綱に対する提言案をまとめた。北朝鮮を「核保有国として対外交渉力を保持した」とし、敵基地攻撃能力の保有や早期警戒衛星の導入を要望。防衛費の縮減方針を見直し、「適切な人員と予算の確保」を求めている。 提言案は、自衛隊の現状について「多様な役割が期待されるが、陸海空自衛隊ともにやりくりの限界を超えている」と強調。「一般の公共事業と同列に扱われるべきものではない」と、防衛予算拡充の必要性を指摘している。 また、集団的自衛権は行使できないとした政府の憲法解釈の見直しや、武器輸出三原則の緩和なども求めている。(2009/06/03-18:42) (参考5)敵基地攻撃能力の保有を提言〜自民小委(6/3 19:52) 自民党の防衛政策検討小委員会は3日、政府が年末にまとめる防衛大綱に向け、「敵基地攻撃能力を保有する必要がある」との提言をまとめることを決めた。 会議では、北朝鮮を念頭に「専守防衛の範囲で、我が国自身による『座して自滅を待たない防衛政策』としての策源地攻撃能力を保有し、米軍の情報、打撃力とあいまった、より強固な日米協力体制を確立することが必要である」との提言案が示された。北朝鮮を刺激するなどの慎重論もあったが、敵基地攻撃能力の保有を盛り込むべきとの意見が大勢を占め、提言案を基に取りまとめる方針が決まった。 提言は麻生首相に報告されるが、実際に政府の方針となるかは不透明。 こうした中、在日本朝鮮人総連合会が2日までに、与野党の国会議員に対し、北朝鮮外務省の談話をファクスしていたことがわかった。談話では、核実験の正当性を訴えた上で、「国連安全保障理事会が更に挑発する場合、それに対処する我々の更なる自衛的措置が不可避となろう」としている。 (参考6)自民部会 敵基地攻撃能力提言( 6月3日 21時54分) 自民党の国防部会は、3日の会合で、政府が年末に予定している「防衛計画の大綱」の策定に向けて提言をまとめ、この中では、北朝鮮の核実験などを受けて、自衛のために敵の基地などを攻撃する能力を自衛隊に持たせるべきだなどとしています。 提言によりますと、北朝鮮が核やミサイル開発を推進し、中国も軍事力を近代化させているとして、平成15年度予算以来続く防衛費と自衛官の縮減方針を撤回し、維持・拡充すべきだとしています。そのうえで、今後の基本的な防衛政策として、日本へのミサイル攻撃が差し迫った場合に、敵のミサイル基地などを攻撃する能力を自衛隊に持たせるべきだとしています。また、国内の防衛産業を育成するため、外国企業と戦闘機などの装備の共同開発が進められるよう、武器の輸出を制限している「武器輸出3原則」を見直すよう求めているほか、ミサイルの発射をとらえる早期警戒衛星をはじめ、防衛分野での宇宙利用を積極的に推進するなどとしています。自民党の中谷安全保障調査会長は、国防部会の会合の中で、北朝鮮の核実験やミサイル発射について「冷戦後の新たな事態であり、日本の防衛のあり方を決める問題だ」と述べ、北朝鮮への対応が「防衛計画の大綱」をめぐる議論の焦点になるという認識を示しました。 |
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東郷 幹夫の思いつくまま日記 2009/07/08 20:16 |
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