|
筆者は9月11日の記事(参考1)で、「三笠フード・汚染米事件で、国民は『やかましくない』のに、国民の知らないところで起こった問題であり、農水省の監督不行き届きという誹りを、農水省は免れることはできない」 ことを指摘した。また9月13日の記事(参考2)では、「日本は、新幹線や人工衛星(H2A)などの信頼性工学の粋とも言うべき高度の技術を持ちながら、食品の品質管理も碌にできない。何か行政上の不備があるのではないか。今回の問題は、業者の安全管理に対する道徳心の欠如もさることながら、国としての根本的な考え方に改めるべきものがあるのではないか?」と指摘した。 筆者は、これまで、『いやしくも他国に輸出する米穀には、汚染物質(毒物)が入っていること自体、輸出国の管理の杜撰さを示すものであり、その輸出国の恥とも言うべきものである。輸出国はその責任を負わねばならない』と思っていた。さらに、『輸出国は米を輸出する場合、自国の責任において、安全性を厳重検査し、安全性の確認された米を輸出すべきであり、それが義務付けられるのは、国家間の商取引として当然のことである』と信じていた。このような国家間の商取引の当たり前の原則が輸出国と輸入国の間に確立しておれば、輸入米の入国の際の検査で、事故米など発生するはずはないし、仮に発生しても、不良品として輸出国に返還し、再度、良性の米に交換させることが出来るのである。 ただ、輸入米の入国時の検査で毒物入りであることが発見された場合、輸出国へ返品するには手間と経費が発生する。このような手間と経費は、当然輸出国の負担とするのが、商取引の原則である。このような手間と経費の発生をなくするには、輸入国が輸出国の現地に赴いて、輸出寸前の米に汚染物質(毒物)がないかどうかを検査する方法はある。なお、この場合には輸送中に混入するかもしれない毒物については、輸入米入国の折に再度検査する必要があるという問題はある。 (参考3)に示す9月22日の毎日新聞の報道は、この記事の冒頭に、政府の今後の方針として、『政府は22日、汚染米不正転売問題を受けて検討していた再発防止策や業者への対応策を発表した。輸入検疫で見つかった汚染米は輸出国に返送し、輸入後にカビなどが発生した場合は廃棄処分とすることが柱』と述べてある。 『輸入検疫で見つかった汚染米は輸出国に返送しする』という件は、筆者の意見に近いので、意を強くした。なお、 この記事で述べている「輸入後カビの発生した不良品は(事故米)とせず、廃棄処分にする」というのは、新たな勇断として評価せねばならない。 早速、(参考4)に示すように事故米の焼却処理が行われたそうである。問題は、この事故米と言えども、ただではないはずである。このようなことが起きた原因は徹底して追及されねばならない。 なお、「輸入検疫で見つかった汚染米は輸出国に返送する」と言っているのは、これまでは輸入検疫で汚染米が見つかっても、それを輸出国に返送する処置は実行していなかったことを意味する。ここで問題なのは、この返送が、何故、これまで実行されなかったかということである。この理由が究明されなければ、同じ事がまた繰り返される可能性がある。 さらに政府の方針ではっきりしないことがある。同時に輸入された米は、当然何個かの袋に分けて袋詰めして出荷されている。輸入検疫の場合、全袋について検疫を行うのか、抜き取り検疫を行うのかで、検疫の正確度が異なる。さらには検疫の結果、不良の発見されたもののみを変換するのか、全数返還を行うのかがはっきりしない。全数変換と部分返還では経費と手間が異なるのである。 今回、発生した事故米の問題は、事故米を平気で輸出する輸出国のモラルの低下が非難されねばならないが、それにもまして事故米の輸入を防げなかった行政の責任は重い。何故、それが防げなかったかに関する原因追及と行政の担当者の責任が追及されねばならない。 ******************(終わり)*********************** (参考1)三笠フード・汚染米事件と政府の責任 (作成日時 : 2008/09/11 15:50) (参考2)「三笠フード・汚染米事件と政府の責任」について (作成日時 : 2008/09/13 11:31) (参考3)汚染米:政府が再発防止策…輸出国に返却、廃棄処分 政府は22日、汚染米不正転売問題を受けて検討していた再発防止策や業者への対応策を発表した。輸入検疫で見つかった汚染米は輸出国に返送し、輸入後にカビなどが発生した場合は廃棄処分とすることが柱。汚染米と知らずに食品に使った業者には低利融資などの経営支援を行うほか、商品回収費用の助成や無償での製品検査に応じる。三笠フーズ(大阪市)が転売した殺虫剤メタミドホスによる汚染米800トンの流通先は、96%まで解明できたとしている。 今後の課題として、コメの流通経路を直ちに特定できるトレーサビリティー・システムや、加工食品に使われるコメの原産地表示の確立を検討する。食品衛生法などの改正も視野に事業者に対する罰則の強化も図る。 農水省に関しては、汚染米の売却と検査を同一部署で行っていたなどの問題点を踏まえ、売却担当者ではなく食品表示の担当者が検査を担当する▽検査マニュアルを厳格化する▽検査は抜き打ちにする▽他省を含めた人事交流により検査能力を向上させる−−などの改善策を打ち出した。 野田聖子消費者行政担当相は、22日午前に開いた関係府省の会議で「全容解明は道半ば。消費者目線で解決に取り組んでほしい」と指示した。【工藤昭久】 (参考4)農水省が事故米の焼却開始 最終的に240トンを処分へ 農薬などに汚染された事故米の不正転売事件に関連して農林水産省は3日、国が保有する事故米の焼却処分を開始した。この日は山口県下関市の廃棄物処理場など全国5カ所でカビが生えるなどした事故米計約4・9トンを処分。最終的には総計約240トンを焼却する方針。 焼却処分は不正転売事件を受けた再発防止策の一環。農水省はコメ関連商品について原料米の原産国表示の義務化や、食糧法改正によるコメ取扱業者への規制強化なども検討しており、11月中に骨格をまとめる方針。 この日、下関市の廃棄物処理場には、市内の港に保管されていた事故米約3・6トン(約120袋)がトラックで搬入され、処理場の作業員らが中身が燃えやすいように袋をカッターで切り開いた上で、焼却前の一般ごみが入っている集積場に次々と投入していった。 立ち会った農水省食糧貿易課の渡辺宏樹貿易業務管理官は「各自治体と協力し(国民のコメに対する)信頼回復に努めたい」と話していた。 2008/10/03 19:17 【共同通信】 もっと知りたい ニュースの「言葉」 事故米(2008年9月8日)基準値を超える残留農薬が検出されたり、カビが発生したりして食用にできないコメ。ミニマムアクセス(最低輸入量)米の中で出た事故米の大部分は農林水産省が汚染度合いによって工業用のりや肥料、飼料など用途を限定して民間に販売する。陸揚げ前に事故米になったコメは、輸入代行した商社が買い取り、販売。問題がない輸入米と比べると事故米の価格は十分の一以下と安い。 |
| << 前記事(2008/10/10) | トップへ | 後記事(2008/10/11)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
汚染米輸入検査の失敗を招いた農水省の汚れた体質
筆者は先の記事『事故米を何故、輸出国に引き取らせないのか?! (作成日時 : 2008/10/11 08:57 )』で、 国家間の商取引の当たり前の原則が輸出国と輸入国の間に確立しておれば、輸入米の入国の際の検査で、事故米など発生するはずはないし、仮に発生しても、不良品として輸出国に返品し、再度、良質の米に交換させることが出来るのである。ただ、仮に返品となった場合、返品には手間と経費が発生する。このような手間と経費は、当然輸出国の負担とするのが、商取引の原則であるが、このような手間と経費... ...続きを見る |
東郷 幹夫の思いつくまま日記 2008/10/11 15:24 |
全般的に信用失墜の中国製品
今年になってから、最初(2月)に起こったのが、天洋食品で製造され、ニチレイ・フーズが輸入したメタミドホス入りの冷凍餃子事件であった (これについては、筆者の記事 『「メタミドホス入りの冷凍餃子」事件であった。中国毒入りギョウザは食品テロかもしれない!!! (作成日時 : 2008/03/01 08:00) 』 や 『 中国製餃子中毒事件は信頼性の欠如 (作成日時 : 2008/02/01 11:38 )』を参照されたい)。日本政府から中国政府に対して、中国での発生の可能性と、発生したとす... ...続きを見る |
東郷 幹夫の思いつくまま日記 2008/10/17 16:35 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/10/10) | トップへ | 後記事(2008/10/11)>> |