深山飛水の思いつくまま日記

アクセスカウンタ

zoom RSS 馬英九・台湾新総統の就任と「三つのノー」政策?

<<   作成日時 : 2008/05/24 19:46   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 5 / コメント 4

画像

馬英九・台湾新総統の就任演説

(産経新聞より借用。謝意を表します。)

5月20日、馬英九氏が台湾の新総統に就任した。朝日新聞の20日と23日のネット記事は、それについて報道している。(参考1)と(参考2)にそれらの内容を示す。

馬英九・台湾新総統は就任演説で、
(1)統一せず、
(2)独立せず、
(3)武力行使せず
の「三つのノー政策」を表明し、台湾海峡の現状維持を対外関係の基調方針とすることを表明し、「中国の胡錦濤・国家主席も台湾問題について、これに近い認識を持っている」と評価したそうである。

台湾と中国の関係について、米国の取ってきた政策には『三つの米中共同コミュニケ』や『三不政策(「三つのノー政策」とも言う)』がある。今回の馬英九・台湾新総統の「三つのノー政策」は、これらとは違っている。これらについては筆者の記事(参考3)に述べてあるので、参照されたいが。念のため、簡単に述べると、「三つの米中共同コミュニケ」は、その中心が『台湾は中国領土であることを認める』内容であり、1972年のニクソンン大統領による上海コミュニケが、その最後のものである。また、米国の「三不政策」は、第4の米中共同コミュニケとも言うべきもので、1998年6月27日のクリントン大統領と江沢民国家主席との会談で確認された。その内容は
(a)「二つの中国」や「一つの中国、一つの台湾」を認めない、
(b)主権国家であることを条件とした台湾の国際機関への加盟を認めない、
(c)台湾独立を認めない
の3項目より成る。

今回の馬英九氏の「三つのノー政策」は明らかに、米国の「三不政策」と異なる。中国の国家主席・胡錦涛氏は、ブッシュ大統領の在任中、事あるごとに、同大統領と会って、米国が『三つの米中共同コミュニケ』や『三不政策』を守るように主張している。会談でのブッシュ大統領の返答のニュアンスがどのようなものであったかは、明白には分からない。Google上で、何度、ネット検索を試みても、何故か中国側の報道しか見つからないことは不思議な現象である。そして中国側の報道からは、米側の表明の微妙なニュアンスは全く伝わって来ない。中国に都合のよい表現の報道しか伝わって来ないのである。その分、真実が隠されていると見なければならない。

米国に向かって、中国の胡錦涛・国家主席が、台湾について主張している内容は、今回の馬英九氏の主張内容とは明らかに異なる。強いて同じと言えば、『(2)独立せず』の項目だけである。果たして、これで、馬英九氏の言明したように、「中国の胡錦濤・国家主席も台湾問題について、これに近い認識を持っている」と言えるのであろうか。馬英九氏が台湾海峡の現状維持を、対外関係の基調方針とすることは評価できるが、胡錦濤・国家主席に対する認識が甘すぎるのではないかと危惧する。

仮に胡・国家主席が暗に了解しても、中国人民解放軍の軍部が、『(1)統一せず』や、『(3)武力行使せず』に同意するか否かと言う問題がある。(1)や(3)について中国人民解放軍が不満を持った場合、中国による台湾侵略が始まる可能性がある。当面、経済面での交流を開始する計画が始まるようであるが、民主化された台湾が中国の共産主義体制に飲み込まれないような警戒が必要である。

(参考2)によれば、20日、就任式に出席した日本代表団の高橋雅二氏は、日本政府のメッセージを代読し、馬総統が中台関係で対話を目指していることについて、「当事者同士が直接話し合い、中台の問題が平和的に解決できることを期待する」と評価したそうである。「平和的に解決できる」ということは結構なことであるが、その結果、台湾が中国に吸収合併されることがあってはならない。馬英九氏は、元々、台湾の外省人であるという。台湾の本省人のアイデンティを守り抜いてもらいたい。台湾が中国に吸収合併されるようなことになるとすれば、それこそ日本の安全保障にとって、重大な問題であり、日本に対する侵略が始まったということである。日本としても黙っておれない。台湾は、まさかの時には、国を守り抜く覚悟を持ってもらいたいのである。
日本も台湾を守る体制を作る必要がある。


(参考5)によれば、22日、ブッシュ米大統領は国民党が8年ぶりに政権を奪還した台湾総統選について、同党候補の馬英九氏に祝意を表明した。さらに、「中台関係の平和と安定および台湾人民の福祉を維持することは、米国にとって非常に重要である」とし、これまで通り「1つの中国」政策を続け、中国と交わした台湾独立を支持しないなどとする「米中3つの共同コミュニケ」や「台湾関係法」を守るという米国の立場は変わらない、と強調したそうである。 ここで重要なのは、『「1つの中国」政策を続け、米中3つの共同コミュニケを守る』という表明の他に、『「台湾関係法」を守る』というブッシュ大統領の発言があることである。『「台湾関係法」を守る』という発言は、中国による武力行使に対抗して台湾を守り抜く決意を表明したものとして評価できる。このような場合、日本は黙ってはおれまい。それに向けた体制の整備が必要である。

************************ (終わり) **************************

次の参考事項は、主にURL消滅後の便宜を考えて記載してあります。強いてお読みいただく必要はありません。
(参考1)台湾・馬総統が就任 中台関係改善に強い意欲 (2008年05月20日13時05分)
 【台北=野嶋剛】3月の台湾総統選で当選した馬英九(マー・インチウ)新総統(57)が20日、就任した。00年の民進党勝利以来、8年ぶりに政権が国民党に戻った。馬総統は就任演説で中国に「平和と繁栄の歴史の新しいページを共に開こう」と呼びかけ、中台関係の改善に踏み出す強い意欲を示した。
 馬氏は「中華民国」の第12代総統で、96年の直接選挙導入以来、李登輝氏、陳水扁氏に続く3人目の総統。副総統には経済通で元行政院長の蕭万長氏(69)が就任した。
 馬総統は20日、台北市で日米など各国の代表団ら540人を前に就任演説。「統一せず、独立せず、武力行使せず」の「三つのノー政策」を表明し、台湾海峡の現状維持を対外関係の基調方針に据えた。
 胡錦濤(フー・チンタオ)・中国国家主席の台湾問題への認識を「我々の理念とかなり一致している」と評価。中台直行の週末チャーター便や中国人観光客の受け入れを7月から始めることで「両岸関係は新しい時代を迎える」と述べた。四川大地震にも「深い関心」を示し、台湾によるさらなる援助の提供を表明した。
 今後は中台交渉の再開が当面の重要な政治日程になる。国民党は来週、呉伯雄主席をトップにする訪中団を中国に派遣する。また、99年以来中断してきた中台交渉の復活も、6月中に対中民間窓口「海峡交流基金会」の江丙坤理事長が訪中して実現させる計画だ。
 中国側も北京五輪を控えるなかでチベット問題や四川大地震など難題を抱え、台湾問題で雪解けムードを演出する必要性が増しているとみられ、馬氏の登場を「歴史的好機」(胡錦濤・国家主席)ととらえている。
(参考2)日本政府、台湾・馬総統に就任祝賀メッセージ(2008年05月23日19時28分)
 【台北=野嶋剛】日本政府は20日、台湾の馬英九(マー・インチウ)新総統に対し、祝賀メッセージを送った。外交関係のない台湾の総統就任にメッセージを送るのは72年の日台断交以来初めて。台湾側は「馬総統への日本の期待感の表れと理解している」と歓迎している。
 メッセージは20日、就任式に出席した日本代表団と馬総統が昼食会を行った際、対台湾窓口「交流協会」の高橋雅二理事長が代読した。馬総統が中台関係で対話を目指していることを「当事者同士が直接話し合い、中台の問題が平和的に解決できることを期待する」と評価した。

(参考3)台湾に関する米国務省声明の意味するものは? (作成日時 : 2007/06/25 11:20)
(参考4)米国の「三つのノー」政策は国民党の「一つの中国」政策の産物  台湾独立建国聯盟〔声明〕 (1998年8月6日)
(参考5)<次期総統>ブッシュ米大統領が祝意、「中台間の新たなきっかけ」―台湾 (2008/3/24 18:38)
3月22日、米ブッシュ大統領は国民党が8年ぶりに政権を奪還した台湾総統選について、同党候補の馬英九(マー・インジウ)氏に祝意を表明した。香港「鳳凰ネット」が伝えた。
ブッシュ大統領は声明で「今回の選挙は中台関係にとって、平和をもたらす新しいきっかけになると確信する」と述べ、「双方は活発な対話を通じ可能な限りの方法で、平和と安定の基礎を築くことが急務である」と新政権への期待の大きさをのぞかせた。
さらに、「中台関係の平和と安定および台湾人民の福祉を維持することは、米国にとって非常に重要である」とし、これまで通り「1つの中国」政策を続け、中国と交わした台湾独立を支持しないなどとする「米中3つの共同コミュニケ」や「台湾関係法」を守るという米国の立場は変わらない、と強調した。中国の国務院も同日、馬候補の当選を祝う声明を発表。米台間について、「米国は台湾の新しいリーダーと協力して、経済や人的交流をさらに発展させることを期待している」と述べた。(翻訳・編集/NN)







台湾総統列伝?米中関係の裏面史 (中公新書ラクレ)
中央公論新社
本田 善彦

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 台湾総統列伝?米中関係の裏面史 (中公新書ラクレ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

【台湾お土産】台湾土産 食材送料無料! 萬通パイナップルケーキ10箱セット + 1箱オマケ 台湾土産 台湾お土産 台湾みやげ 台湾おみやげ
台湾小集(土産 食材 お茶 下着)
10個買うと、1箱無料でオマケします。お知り合いに配って、自分はタダで食べちゃいましょう♪メーカーの

楽天市場 by 【台湾お土産】台湾土産 食材送料無料! 萬通パイナップルケーキ10箱セット + 1箱オマケ 台湾土産 台湾お土産 台湾みやげ 台湾おみやげ の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

2004年台湾総統選挙の不正を告発する
楽天ブックス
楊富美 劉進慶(1931-) 地方・小出版流通センター発行年月:2004年12月26日 予約締切日:

楽天市場 by 2004年台湾総統選挙の不正を告発する の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(5件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
五輪開催に向けて仕掛けられた中国包囲網H(続・多極化時代のパワーバランスを読む:その16)
未曾有の被害をもたらした四川・チベット大地震。 中国の山奥深くで発生した地震にも関わらず、 何と米国は、中国当局よりもその内容を完璧に把握していた。 この驚愕の事実は、米国が中国の奥深くまでの潜入に 成功していることを示すものだった。 ...続きを見る
途転の力学
2008/05/29 21:28
「中華民国」回帰進める、馬台湾!!!
当ブログでは、台湾総督府閉鎖、移転をはじめとする、 馬英九の中華民国回帰路線の危険性を指摘してきた。 そして、また、馬英九が動き出した。 【ニュース】「中華民国」交通部が「台湾」切手を痛烈に批判、「台湾」切手廃 止へ 2008.5.30  交通部は5月28日、「台湾」の文字が入った切手の発行を8月1日発行分で終 了し、8月20日に発売する切手から「中華民国」に切り替える方針を明らかにし た。台湾の切手は、昨年2月に郵便事業を担当する国営企業である「中華郵政」 が「... ...続きを見る
義によりて勇を馳せる、保守派へ
2008/05/30 09:57
「馬英九・台湾新総統の就任と「三つのノー」政策?」について
「馬英九・台湾新総統の就任と「三つのノー」政策?」について 「義によりて勇を馳せる、保守派へ」様 TBをいただき、有難うございました。 馬・台湾総統について、大変うがった見方をしておられ、感心いたしました。台湾は、日本にとって戦略的に極めて重要であり、台湾が中国に完全に抑えられてしまいますと、次は日本が抑えられる番だと思います。 ...続きを見る
東郷 幹夫の思いつくまま日記
2008/06/05 18:52
陳水扁・台湾前総統の逮捕は何を意味するか?
陳水扁・台湾前総統の逮捕(注) 陳水扁・台湾前総統の逮捕は、国民党政権の民進党への圧力と見るよりも、馬政権の中国政府への接近ではないかと考える見方ができるかもしれません。裏に中国の画策があり、中台合併の伏線であるとの見方ができるような気がします。そうでないかもしれませんが、そうであるかもしれません。 ...続きを見る
東郷 幹夫の思いつくまま日記
2008/11/13 05:28
陳水扁・台湾前総統の逮捕は何を意味するか?
陳水扁・台湾前総統の逮捕(注) 陳水扁・台湾前総統の逮捕は、国民党政権の民進党への圧力と見るよりも、馬政権の中国政府への接近ではないかと考える見方ができるかもしれません。裏に中国の画策があり、中台合併の伏線であるとの見方ができるような気がします。そうでないかもしれませんが、そうであるかもしれません。 ...続きを見る
東郷 幹夫の思いつくまま日記
2008/11/13 05:28

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
東郷さま

台湾の馬英九新総統が中国訪問して、胡錦濤主席との対談の中で、3つのノーを提示して胡主席の同意を得たとの事ですが、私も中国人民解放軍の軍部が、それを認めるとは到底思えません。(1)統一せずや、(3)武力行使せずに同意するか・・・は長い事中国の意思として統一したい事に変わりがなく、ただ時の政権によって、戦争も辞さないでの統一か?話し合いでの統一カ・・
今の所胡政権は融和策で統一しようとの心でしょうが・・台湾人にとっては、それは飲めない事だと思います。
たまには私のブログにもコメント下さいね。
容子の部屋
2008/05/25 14:45
容子様
コメントを頂き、有難うございました。
中国は米国に対して長年にわたって台湾は中国の一部であるとの主張を繰り返し、1972年までに、それを米国に認めさせる米中共同コミュニケを三つも公表しています。米国は当時、冷戦関係にあったソ連を意識し、中国を米側に引きつけておく必要性から、それを飲んだと言われています。その一方で、米国は、台湾を中国の侵略から守る台湾関係法を作りました。それが今も生き続けています。日本も本当はそれに相当する法律を作るべきだと思いますが、今の国会の混乱状態ではとても実現は困難です。日本の政治家は、一体、何を 考えているのでしょうか。
東郷幹夫
2008/05/25 16:54
途転の力学 さま
TBをいただき、有難うございました。
東郷幹夫
2008/06/05 17:56
「義によりて勇を馳せる、保守派へ」様
TBをいただき、有難うございました。
馬・台湾総統について、大変うがった見方をしておられ、感心いたしました。台湾は、日本にとって戦略的に極めて重要であり、台湾が中国に完全に抑えられてしまいますと、次は日本が抑えられる番だと思います。

今の日本の若い人には、台湾は中国領土だと本当に信じ込んでいる人がいるようです。もし台湾の若い人も、そう思うようになったら、お終いです。馬政権は、「台湾」という呼び名を捨てて、「中華民国」という呼び名を採用するそうです。これでは「台湾」としての identity がなくなるような気がします。

もしかすると、馬政権は、本気でそのように考えているのかもしれません。中国には、共産主義政権よりなる中華人民共和国と国民党からなる中華民国が共存するということになれば、これは無血合併への第一歩ということになりかねません。

何となく、危険な雲行きを感じる今日この頃です。日本も何らかの手を打たないと、取り返しの付かないことになりかねません。
東郷幹夫
2008/06/05 18:19

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
馬英九・台湾新総統の就任と「三つのノー」政策? 深山飛水の思いつくまま日記/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる